特別になれなかった私が、最愛のあなたの寵妃になるまで

夕立悠理

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ひとまず、今まで以上に授業を真面目に受けているけれど、私の内面が特に磨かれたということはない。でも、あと二ヶ月後にアンドリューと結婚する上で、必要になってくることだから、決して無駄ではないのだけれど。

 そういえば、と思う。私にも過去に、婚約者がいたように、アンドリューにも恋人がいたのだろうか。私自身のことも知ってほしいけれど、アンドリューのことももっと知りたい。気になったので、尋ねてみることにした。

 いつも通り、アンドリューに朝の挨拶をしようと、隣の部屋を訪ねると、先客がいた。

 ジェフだ。ジェフは、アンドリューの乳母兄弟で腹心だと聞いた。アンドリューの部屋に通されたものの、ジェフがいるなら、挨拶だけして出直した方がいいだろうか。

 「おはよう」
「おはようございます」
「おさようございます、セリーヌ様」

 お忙しいところ、失礼しました。そういって、退出しようと思ったけれど、それより先にアンドリューに引き留められた。

 「ジェフとの話は、丁度終わったところだ。貴女が、遠慮する必要はない」
ジェフを見ると、ジェフも大きく頷いた。
「婚約者殿との憩いの時間を邪魔して、私も馬に蹴られたくはないですからね」
では、とジェフは退出してしまった。

 けれど、ジェフがいなくなってしまうと、過去にどんな恋をしたかなんて聞くのは、不躾だろうかと緊張する。
「どうした?」
アンドリューが不思議そうに、そんな私を見た。

 でも。知りたいのは事実だし、アンドリュー自身も、アンドリューのことを知ってほしいと言っていた。怒られたら、謝ればいい。そう思って、尋ねてみる。

 「あの、アンドリュー様は、これまでどのような方とお付き合いされてきたのですか?」
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