私は、木になりたい。

夕立悠理

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 「……はぁ」
ようやく全て読み終わりました。読み終わるのに、半日もかかってしまいました。

 もうこのまま眠ってしまいたい気分ですが、まだ一つするべきことが残っています。
「ソリア、一つ聞きたいことがあるのだけれど、いいかしら?」
「はい、何でしょう。マリー様?」
 首を傾げる姿も可愛いですね。……じゃなくて。

「私に何か不満などないかしら?あったら教えてほしいの」
 侍女として一番私の傍にいるソリアが、一番私の欠点を見ているはずです。殿方に振り向いて頂くためには、自分の欠点を知っておきたいですし。

 「……本当によいのですか?」
「ええ、絶対に怒らないから教えて」
 私がそう言うと、ソリアは暫く躊躇うように、視線を動かしました。自分でいっておいてアレですが、私の欠点ってそんなに言いにくいほど酷いものなのでしょうか。心配になってきました。

 ソリアがほんのりと頬をピンクに染めて微笑みました。
「でしたら、マリー様の髪を整えさせて頂けないでしょうか?」
「……髪?」
「……はい」
 それって、見苦しいくらい私の髪がやばいということでしょうか。そこまで大変なことにはなっていないと思うのですが。そう思っているのは私だけ……とか。

 「髪がお綺麗なのに、マリー様は夜会の時以外、一切飾りつけようとされないでしょう。リボンだけでは勿体ないですわ」

 見苦しいわけでは無さそうですね。それでも、なんていうか。

 「……わかりました。では、明日の朝からソリアが私の髪を整えてくれるかしら?」
「喜んでやらせて頂きます!」

 こちらが恥ずかしくなるくらい、嬉しそうな笑みを浮かべられました。

 こんな顔を見ることが出来るのなら、もっと早く言えばよかったですね。

 「では、もう寝るわね。おやすみなさい」
「おやすみなさいませ、マリー様」

 ■  □  ■

 ……やっぱり善処します、くらいに留めておけばよかったかもしれません。
「出来ました!」
「ああ……。ありがとう、ソリア」
 首もとがすーすー、します。それに何だか頭が重い。一体私の髪はどうなっているのでしょうか。

 「マリー様、お綺麗ですわ!!」
「ありがとう」
 すでに私が起きてから、二時間が経過しています。二時間ですんでまだマシだったというべきか。

 かなり遅めの朝食をとりながら、今日の日程を確認します。

……一番始めから、ミツバ博士の授業ですね。

 全て読み終わりましたが、不安が残ります。あとで、もう一度、軽く読むことにしましょう。


 「?」
 何だか外が騒がしいですね。どうしたのでしょうか。
 「何かあったの?」
近くにいた事情を知っていそうな使用人に尋ねます。
「あ、ああ、お嬢様。それが……」
 「え゛」
――どうやら、国王陛下がこの屋敷にいらっしゃるようです。 

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