甘すぎ旦那様の溺愛の理由(※ただし旦那様は、冷酷陛下です!?)

夕立悠理

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いつから

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 ……懐かしい夢を見た。
 夢だとわかる、もう二度と戻れない過去。
 その愚かさと眩さにくらくらする。

 できれば、見たくない夢だった。
 これ以上、過去を思い出したくないので、どうにか意識を覚醒させようとする。

 すると、ふわり、と温かいものが私の頬に触れた。
「……ぴ!」
 ぴ?
 聞き覚えがあるその鳴き声に、意識が急速に浮上していく。
「……ん」
 まぶたを開けると、心配そうなルクシナード様と小鳥がいた。小鳥の緑の羽も、つぶらな青の瞳も見覚えがあった。

 馬車で移動中の時についてきた小鳥だった。
 ……転移後は姿が見えなかったから、てっきり転移から逃れられたのかと思っていたけれど。

「ミレシア、大丈夫ですか?」
「はい。……ご心配をおかけしました。少し驚いてしまって」

 辺りを見回すと、どうやら夫婦共有の寝室のようだった。

「ところで、この小鳥は?」

 緑の小鳥は、首を傾げて私を見ている。
「紹介がまだでしたね。……この小鳥はイオ。俺の従魔です」

 従魔とは、人と契約した魔法生物を指し、従魔は契約により自由ではなくなるものの、魔力を契約者から与えられるのだ。

「あなたが隣国からこちらへ来る際に、護衛を頼みました」
「……そうだったのですね!」

 魔力量に応じて、従魔は自由に姿を変えられる。だから、この小鳥が護衛をしてもちっとも不思議ではない。

「はい。イオ、ご挨拶を」
 ルクシナード様の言葉に、イオは、ぴ! となくと、イオが光に包まれる。

 そしてイオを包む光が解けた時、可愛らしい男の子が立っていた。緑の髪に青の瞳は小鳥のときと同じだ。

「ぼく、イオ。ルクシナード様がそばにいられないときは、ぼくがミレシア様を守るよ!」

「イオ、よろしくお願いします」

 イオはふんわりと笑うと、また小鳥の姿になった。

「……ところで」
 ルクシナード様は首を傾げた。
「ミレシア、体の調子はどうですか?」
 そうだった。
 城の案内をしてもらっていたのだったわ。

「はい、全く問題ありません。また案内していただけますか?」
「はい、それはもちろん」

 ベッドから起き上がり、寝室を出る。
 賭けのこともあるし、今度こそしっかりと案内を聞こう。

 ……それにしても。

 ーー建て替えました。

 ぴかぴかの笑顔で言われた先ほどの言葉を思い出す。

 建て替える、と言葉で言うのは簡単だけれど、相当な時間がかかるはずだ。
 ……いったいいつから、ルクシナード様は私を望んで、待っていてくれたのだろう。


「ミレシア?」
「いえ。……何でもありませんよ」

 不思議そうな顔をしたルクシナード様に微笑む。

 それだけの想いを返せるかはわからないけれど。まずは、目の前のことに一つ一つ集中しよう。
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