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現実なのならば。どうしようもない。とりあえず、義弟だという、ロレンのところに行ってみよう。
私が体を起こすと、ナンシーは、心配そうな顔をした。
「……ロレンのところに、行くわ」
「! お嬢様、それは……」
制止しようとする、ナンシーを振り切り、ロレンの部屋に行く。もし本当に彼が跡取りとして扱われているのならば。その部屋は、ルットに与えられるべきだった部屋のはずだ。
ノックをすると、扉は開いた。出てきたのは、やはり、ロレンだった。
お父様とお母様はいない。もう、自室に戻られたのだろうか。
私の顔を見ると、ロレンは、途端に顔をしかめた。
「それで? 今日は何のようです。いい加減、私を蔑むのも飽いたと思っていましたが」
「私が、貴方を蔑む?」
そんなこと、するはずない。いくら、私の立場がロレンにとってかわられたのだとしても。
「私のこの黒髪が気に入らないのでしょう。悪魔の色だと言ったのは、貴女では?」
「そんなことない! とても綺麗だと思うわ」
黒曜石のようだと、そう思った。私がそういうと、ロレンは気味の悪いものを見るような顔をした。
「目的はなんです。今さら媚びられても、貴女への感情は変わりませんよ」
そういって、扉は閉められた。
呆然と、立ち尽くす私の肩にそっと触れたのは、一瞬、お父様やお母様を期待した自分がいたけれど、ナンシーだった。
「ねぇ、ナンシー」
「……はい」
「私は……」
記憶がないの。ねぇ、私の空白の2年間に、何があったの。私は、何をしてしまったの。
私が体を起こすと、ナンシーは、心配そうな顔をした。
「……ロレンのところに、行くわ」
「! お嬢様、それは……」
制止しようとする、ナンシーを振り切り、ロレンの部屋に行く。もし本当に彼が跡取りとして扱われているのならば。その部屋は、ルットに与えられるべきだった部屋のはずだ。
ノックをすると、扉は開いた。出てきたのは、やはり、ロレンだった。
お父様とお母様はいない。もう、自室に戻られたのだろうか。
私の顔を見ると、ロレンは、途端に顔をしかめた。
「それで? 今日は何のようです。いい加減、私を蔑むのも飽いたと思っていましたが」
「私が、貴方を蔑む?」
そんなこと、するはずない。いくら、私の立場がロレンにとってかわられたのだとしても。
「私のこの黒髪が気に入らないのでしょう。悪魔の色だと言ったのは、貴女では?」
「そんなことない! とても綺麗だと思うわ」
黒曜石のようだと、そう思った。私がそういうと、ロレンは気味の悪いものを見るような顔をした。
「目的はなんです。今さら媚びられても、貴女への感情は変わりませんよ」
そういって、扉は閉められた。
呆然と、立ち尽くす私の肩にそっと触れたのは、一瞬、お父様やお母様を期待した自分がいたけれど、ナンシーだった。
「ねぇ、ナンシー」
「……はい」
「私は……」
記憶がないの。ねぇ、私の空白の2年間に、何があったの。私は、何をしてしまったの。
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