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高校生編
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私が美紀ちゃんと遼子ちゃんに朝の挨拶をしたあと、席に座っていると、前川が話しかけてきた。
「道脇は、理系と文系どっちにするか決めたか?」
実際に理系と文系に別れるのは二年生からなのだが、鳳海学園は一年のうちにアンケートをとるのだ。
「理系にしました。だって、ナントカ一世とか二世とか三世とか覚えられないですし」
「お前なぁ、そんな適当な理由で決めると後で後悔するぞ」
いいんですよ、多分どうにかなりますって。
それに、私の目標はバリバリ稼ぐエリートとなって、淳お兄様の右腕になることだ。それが叶うのならば、理系でも、文系でも問題ない。
私がそういうと、前川は何とも言い難い顔をした。
「ちなみに、前川様はどっちにするんです?」
「理系だ。一樹兄さんが、文系だからな俺は理系に進んで兄さんを支える」
いや、前川もそういう理由なのか! 化学の分野に興味があるとかそういう理由だろ、そこは。
それにしても、進路かぁ。もっと具体的に私がなりたいものって何だろう。
「ところで、全く関係ない話なんですけど」
「? なんだ?」
ふと、気になった。もし、桃の好きな人が前川だとして、前川には好きな人いるんだろうか。
「前川様って、好きな人いらっしゃいますか?」
「はっ、はぁ!? いっ、いるわけないだろ」
桃と全く反応が同じだ。これは、いるな。
やっぱり、桃と両思いなのだろうか、と前川の方をじっと見ると、前川は近くの机にぶつかり、机がガタンとゆれる。
興味本意で誰が好きなのか聞こうとすると、ホームルーム開始のチャイムが鳴ってしまった。うーん、残念。
■ □ ■
さて。そろそろ期末テストが近い。
自室で、教科書とみつめあうこと、10分。
「………………さっぱりわからん」
毎度のことではあるが、自分でもよく10番以内に滑り込んでいるな、と思ったがそれはスーパー家庭教師淳お兄様の力である。
淳お兄様が別邸に移られてからは、新たなスーパー家庭教師が私の成績を維持してくれていた。
スーパー家庭教師に電話し、結局図書館で勉強をすることになった。
「……12から10選ぶのと、12から2選ばないのは、一緒だろ。これを余事象といって……」
なるほど、なるほど。私がうんうんと話を聞いていると、キッと睨まれた。
「お前なぁ、そんなんで理系に行って本当に大丈夫なのか?」
スーパー家庭教師もとい、前川は深刻な顔で私を見た。えっ? ライバルに手の内を見せていいのかって? 前川は毎回のテストでぶっちぎりで2位なので、中学の間に勝つことは諦めた。それよりも、こうして前川に教わった方が早い。
「くそ、今回こそは隼に勝ってやる」
ちなみに、毎回1位は赤田である。赤田はいつも満点をとるのだ。
「勝てるといいですね」
「全然気持ちがこもってないだろ。ほら、ここ解いてみろ」
言われた通りに、問題を解く。
それにしても、前川の好きな人って誰なんだろう。
問題を解く合間にちらり、と前川を見ると、目があった。
「なんだ?」
「いいえ、何でも」
──スーパー家庭教師のお陰で今回も、何とか10番以内に滑り込むことができた。
ちなみに、前川はやっぱり2位だった。
期末テストが終われば、夏休み。
目一杯楽しむぞ!
「道脇は、理系と文系どっちにするか決めたか?」
実際に理系と文系に別れるのは二年生からなのだが、鳳海学園は一年のうちにアンケートをとるのだ。
「理系にしました。だって、ナントカ一世とか二世とか三世とか覚えられないですし」
「お前なぁ、そんな適当な理由で決めると後で後悔するぞ」
いいんですよ、多分どうにかなりますって。
それに、私の目標はバリバリ稼ぐエリートとなって、淳お兄様の右腕になることだ。それが叶うのならば、理系でも、文系でも問題ない。
私がそういうと、前川は何とも言い難い顔をした。
「ちなみに、前川様はどっちにするんです?」
「理系だ。一樹兄さんが、文系だからな俺は理系に進んで兄さんを支える」
いや、前川もそういう理由なのか! 化学の分野に興味があるとかそういう理由だろ、そこは。
それにしても、進路かぁ。もっと具体的に私がなりたいものって何だろう。
「ところで、全く関係ない話なんですけど」
「? なんだ?」
ふと、気になった。もし、桃の好きな人が前川だとして、前川には好きな人いるんだろうか。
「前川様って、好きな人いらっしゃいますか?」
「はっ、はぁ!? いっ、いるわけないだろ」
桃と全く反応が同じだ。これは、いるな。
やっぱり、桃と両思いなのだろうか、と前川の方をじっと見ると、前川は近くの机にぶつかり、机がガタンとゆれる。
興味本意で誰が好きなのか聞こうとすると、ホームルーム開始のチャイムが鳴ってしまった。うーん、残念。
■ □ ■
さて。そろそろ期末テストが近い。
自室で、教科書とみつめあうこと、10分。
「………………さっぱりわからん」
毎度のことではあるが、自分でもよく10番以内に滑り込んでいるな、と思ったがそれはスーパー家庭教師淳お兄様の力である。
淳お兄様が別邸に移られてからは、新たなスーパー家庭教師が私の成績を維持してくれていた。
スーパー家庭教師に電話し、結局図書館で勉強をすることになった。
「……12から10選ぶのと、12から2選ばないのは、一緒だろ。これを余事象といって……」
なるほど、なるほど。私がうんうんと話を聞いていると、キッと睨まれた。
「お前なぁ、そんなんで理系に行って本当に大丈夫なのか?」
スーパー家庭教師もとい、前川は深刻な顔で私を見た。えっ? ライバルに手の内を見せていいのかって? 前川は毎回のテストでぶっちぎりで2位なので、中学の間に勝つことは諦めた。それよりも、こうして前川に教わった方が早い。
「くそ、今回こそは隼に勝ってやる」
ちなみに、毎回1位は赤田である。赤田はいつも満点をとるのだ。
「勝てるといいですね」
「全然気持ちがこもってないだろ。ほら、ここ解いてみろ」
言われた通りに、問題を解く。
それにしても、前川の好きな人って誰なんだろう。
問題を解く合間にちらり、と前川を見ると、目があった。
「なんだ?」
「いいえ、何でも」
──スーパー家庭教師のお陰で今回も、何とか10番以内に滑り込むことができた。
ちなみに、前川はやっぱり2位だった。
期末テストが終われば、夏休み。
目一杯楽しむぞ!
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