異世界召喚されたのですが職業が娼婦ってどういうことですか?

龍珠昴

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※職業説明の時に性的な描写があります。



職業適性で娼婦が出た新見甜禾ですこんにちは。
娼婦ってなんやねん……、というかそもそも職業なのか?他のクラスメイトは剣士だとか魔法使いだとか拳闘士だとかそういう花形職業だというのにどうして私は娼婦なのか。何をさせられるのだろう……、もしや性欲処理的なやつ……!?そんなことを考えている内に、適性検査は終わったらしい。
あの後、職業適性を全員が見てもらい各職業に分かれて説明を受けることになった。
娼婦と適性を受けたのは私とざくろちゃんのほかに野村あけびさんだ。あけびさんはふわふわのロイヤルミルクティーのような柔らかな茶髪で彼女のお母さんは外国人らしい。どこの国の人なのかは聞いたことないけど、スッと伸びた鼻筋にぱっちりとした二重は可愛い。細くて長い手足はまるでモデルのようだ。ざくろちゃんもスレンダーな体型だけど出るところは出てるし、見た目はかなりの美人さんである。口を開けば毒舌が飛び出すんだけどね。その顔立ちの綺麗さからストーカーとか誘拐犯とかそういうのホイホイしてきたらしいし。
他の二人が娼婦というのはなんとなくわかるんだけどさ……、なんで私も……?寸胴体型なんですけど……?顔もさ、そんないいわけではないし。ぱっちり二重でほんの少しだけ小顔だけどそれだけだしね!!クラスの美少女達とは比べないでね!!
本当、どういうことなの……、と思っていたらコツコツ、と杖が床に当たる音が聞こえてくる。振り向くと白い髪を引っ詰めた深いシワが刻まれた女の人が歩いてくる。杖を付いてはいるけども背筋はしゃんと伸びているし、深いシワが刻まれているけど目鼻立ちははっきりとしていてそれを引き立たせるようなメイクがとてもよく似合っていた。ビクトリア朝のドレスとも相まって隙のない印象を与えてくる。上から下まで私達を見た後、へぇ、と小さく呟く。

「あんた達が今回の『娼婦』候補なのかい?魔力は……、そこそこありそうだ。私はバーバラ。バーバラ・ルヴィエ。今代の『娼館』の代表さね」

バーバラ、と名乗ったおばあさんというには若く見えおばさんというのに歳が言っているように見える女の人はそう言って私達に背を向ける。

「ついて来な。『娼館』までの道すがらで説明してやるよ」

バーバラさんはそう言ってコツコツ、と杖を付きながら歩いて行く。さっきから首を傾げるような言葉ばかり言われるが、他のクラスメイト達もそれぞれの職業の代表者について行っていた。またここに戻ることがあるのだろうか、なんて不安もあるが……、おそらく私達はそれぞれでどうするかを決めていかなければならないのだろう、と漠然と思う。
私達もついて行った方がいいだろう、ということで、バーバラさんの後を追いかけた。しばらくはバラバラになってしまうんだろうなってちょっと寂しくなる。棗ちゃん、大丈夫かな。結構強い子だから何とかなると思いたいけど。

「あのボンクラ王がどこまで説明したか知らないがあんた達には『娼館』のことについて言っておくね。まず『娼婦』ってのも立派な職業さ。主に冒険者の魔力と体力の底上げを行う『加護』を、性行為によって付けることができる職業のことでね。一応言っておくが別にそれは女に限らないのだけど、人口は圧倒的に多くてね。まぁ、女の冒険者もいるから男……、男娼と呼ばれる人間もいるよ」
「あ、男の人もいるんですね」
「そりゃあ冒険者にも女がいるしニーズってやつを考えたらいるだろうね。中には男じゃないと勃たないやつもいるし」

それはそれでなかなかに業が深いな。BとLなあれも嗜んでるけど実際そういうこともあるのだと聞くとちょっと生々しい。そんなことを思っていた私を置いて、バーバラさんの説明は続く。

「『娼婦』は性行為によって魔力体力の底上げを行うんだが、これは誰にでもできることじゃない。『加護』というのは『娼婦』特有の能力だと思ってくれ」
「あの、魔法使いとか踊り子とか、そういう職業とは違うんですか?」
「あいつらは戦いの時だけの火力上げさ。『娼婦』は元々の力を上げてやるんだよ」

バーバラさんの説明から察するに魔法使いとか踊り子達の体力支援というのはその場だけの一過性のもので、娼婦っていうのは元々の体力や魔力を少し上げてやる職業ってことなのかな?戦闘前のバフ盛りが仕事ってこと?

「……、瞬間湯沸かし器とポットの違いみたいなものですかね」
「何だいそれは」

バーバラさんには微妙な顔されたけど、あけびさんはなんとなく分かったみたいでなるほどー!と手を叩いている。申し訳ない、説明も例えも下手で。要は瞬間湯沸かし器のように使いたい時に沸かせるのが魔法使いや踊り子の能力で、娼婦はポットのように常に温かいお湯が入れれる的な……?いや、どっちかというと器にお水を注ぐのが魔法使いとか踊り子の役目で器を大きくするのが娼婦役目かな?そんなことを考えていると話が進んでいる。

「『娼婦』は国に認められた職業でね。『娼館』と呼ばれる街を一つ与えられている。要は冒険者ギルドみたいなもんさ。『娼婦』適性がある女は少ないから『娼館』で保護されているんだよ。そんでそこの代表が私さ」

どや、とした顔で胸を張るバーバラさんにあけびさんが手をあげて問いかける。

「娼館っていうのは街の名前なんですか?」
「そうだよ。店は色々あるが、あんたらは異世界人だろ?異世界人の『娼婦』は珍しいからね。国直属で『娼館』最大の店、夜花亭よばなていで働いてもらうよ」

バーバラさんはそう言ってニンマリと笑う。視線の先に広がるのは夜でも明るい、オレンジ色の光が灯った街だ。店が連なる通りには露出の高い服を着て客引きするお姉さんや筋骨隆々の腕にしな垂れかかる人で、そこにいる女の人達は妙な色香を漂わせていた。私に気付いたお姉さんがにこ、と笑顔を見せて投げキスしたり手を振ったりしてくれる。中には獣耳と尻尾の生えた子供や蛇の鱗のようなものが付いた人もいて、この世界が私達のいた世界とは全然違う種族がいることを目の当たりにする。

「夜花亭は国内最大の店でね。ここで新人研修をしてから好きな店の所属になる。もちろん、そのまま夜花亭にいてくれても構わない。あんた達にはしっかり働いてもらうよ。何せ、娼婦は少ないからね!」

かくして、私は異世界召喚されて娼婦になりました。
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