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遠野凰梨さんと江野満梨子さん。
彼女達は李里さんとのトラブル後、何やかんやとイチャモンを付けてくることがあった。多分、何かしら思うところがあるんだと思う。私には分からないけれど。性格の不一致なんだと思うけど、目を合わせて舌打ちされるほどではないんじゃないかなぁ。
「なんであんたがここにいるわけ?」
「買い物にきてるからだけど」
「えー?男侍らせる為の衣装はここにないわよー?」
クスクスと嘲笑してくる彼女達に私の目は据わりそうになる。多分、クラスメイトの目がないからこう言われてるんだろうなぁ。女子カーストのトップである杏さんがいたら絶対私のこと庇うだろうし。杏さんは博愛主義でもあるから弱い人につくことが多い。いや私が弱いみたいで少し遺憾であるが。
「別に普通の服も買うけど。っていうかエルシェさんも元男娼だよ。ネコ側の」
「口答えすんなし!あんたさぁ、三田村君が優しいからって調子乗らないでくんない?苺ちゃん可哀想でしょ!?」
「なんで三田村君の名前が出てくんの?彼、来てないよ」
三田村君って確か聖騎士適性があってクエストバンバンこなしてるんじゃなかったっけ?だから夜花亭にはまだ来てないし、私も外で会ったりしてないのに。
「はー!?三田村君があんたのこと構ってるから苺ちゃんが嫌がってんだけど!」
「構ってって……そんなに、話したことないんだけど。グループ発表の時だけだし、絡んだの……」
「それが迷惑ってわかんないの?三田村君は優しいからあんたみたいな地味ブスに構ってくれたんだからね!」
「えぇ……?」
困惑した声が思わず漏れてしまう。そんなこと言われても困るというか。そもそも三田村君とは事務的なことを話したぐらいでそれ以上の会話はなかったし。確かにバスケ部とバレー部で体育館の使用権でやり取りもしたけどさぁ。
「大体、ブスが娼婦とかできるわけ?お客さんこないでしょ?可哀想~」
「あんたを抱く男とかいるの?ふふ、ゲテモノ趣味だわ」
「………………あのさぁ、その言葉を王子に向けて言えるの?」
好き放題言う二人に私はボソッと呟く。は?みたいな顔をしてきたので私は口を開いた。
「だから、私のお客様の中には王位継承権こそないもののこの国の王子様がいるんだけど、その方の前でも同じこと言えるの?って聞いてんの」
「え、は?王子……?あんたに?」
「あ、りえないんだけど。てか王子とか何それ」
「エルシェさん、申し訳ないんですけどオーレリアン様に連絡していただいても良いでしょうか?どうも信じられないみたいなので本人に聞いた方がいいと思うんですよね」
ハラハラとした顔で見ていたエルシェさんに言うと、分かったわ、と彼は直ぐに奥へと引っ込んでいく。顔を青くしている二人は私をグイッと引っ張って店の外へと引きずり出した。
「痛っ」
「調子に乗らないでよね。私とあんたじゃレベルが違うのよ!その顔もっと見れなくしてあげる」
「娼婦への暴力行為は法律で禁止されてるんだけど?」
「バレなきゃ良いのよ。さっさとこっちに来なさい!適度に痛めつけてやるわ」
グイグイと引っ張ってくる江野さんの指が手首に食い込んで痛みが走る。やだ、爪立ててる。ニヤニヤ笑って路地裏へと行かせようとする遠野さんに止めて、と言うも彼女達が聞いてくれるわけもない。周りの人間はハラハラしてるけど視界の片隅で誰かが憲兵を呼びに行ったのが見えた。
「あんたいじめられっ子なんだから大人しくいじめられててくんない?男にチヤホヤされるからって調子に乗らないで……」
「何をしてるんだ」
その声と共に、江野さんの拘束から腕が開放された。キャッ、という小さな悲鳴とともに江野さんが突き飛ばされたのが分かる。
甲冑に大きな盾を携えた彼は河戸勝武君。彼もまたクラスメイトの一人だ。
「っ、何すんのよ河戸!」
「お前達こそ何してるんだ。クラスメイトとはいえ、娼婦への暴力は重罪だぞ。憲兵を呼んだから不利になるのはお前達の方だ」
「はー?そいつが調子乗ってるからでしょ!?」
「調子乗ってるのはそっちでしょ?クエストで荒稼ぎして、男娼侍らせてるみたいだけど」
私の言葉にうぐ、と二人は言葉に詰まる。そうよね~。私知ってるんだけどなぁ~?
「クエストで稼いだお金をちょろまかして男娼何人も侍らせてるみたいだけどさ、セクハラ発言とか行為とか酷いってバーバラさんのところに報告が上がってきてるんだよね。指名料金は払わないくせに食事代だけで好き勝手するから男娼のお兄さん達すっごく怒ってたよ?クソ客って」
「は、はぁっ!?指名はしてるじゃない!?その分チップもあげてるしっ!」
「え、指名してるのに買ってないの!?それ凄い失礼なんだけど!食事やドリンク指名したならその後はベッドなのが娼館の暗黙のルールだよ!?しかも予約無しで突発で来てるなら一時間でもコース選択するのが普通だし……」
そりゃクソ客って言われるわ。お店にもよるけど彼女達が行っている男娼館というのは食事代だけで遊べるようなライトなものではなく、いわゆる女性向け風俗というやつに近いもので、食事やドリンクの後に本番、もしくはそれに準ずる行為をするのが基本である。もちろん食事だけでも構わないのだけど、予約無し本番無しでそれをするのは男娼娼婦に嫌われている。食事の時間だけでも時間を取られるというのにそれだけではお給料に繋がっていかないのだ。ご飯だけ食べて帰るね、ということもあるけれど、その場合は予約をいれて少しだけチップを上乗せするのが暗黙のルールになっている。いやだって、ご飯食べて少し話した後には仕事の予約入れなきゃいけないからさ。ご飯の後にも長々と拘束されたらその分のお給料に響くわけでして。だから、ご飯だけ食べに来る上に予約もせずに長居する客は嫌われるんだよねー。暗黙とは言うけど『娼館』を利用する人間からしてみれば当たり前のレベルではあるんだけど。
「はぁ!?あんたに言われる筋合いないわよ!どうせ売れてないんでしょ!?」
「今日は休みだから買い物来てるけど、明日も予約入ってるよ」
嘘です、まだ入ってません。営業かけるから大丈夫だもん!!クエスト終わりの冒険者にお願いするもん!!
彼女達は李里さんとのトラブル後、何やかんやとイチャモンを付けてくることがあった。多分、何かしら思うところがあるんだと思う。私には分からないけれど。性格の不一致なんだと思うけど、目を合わせて舌打ちされるほどではないんじゃないかなぁ。
「なんであんたがここにいるわけ?」
「買い物にきてるからだけど」
「えー?男侍らせる為の衣装はここにないわよー?」
クスクスと嘲笑してくる彼女達に私の目は据わりそうになる。多分、クラスメイトの目がないからこう言われてるんだろうなぁ。女子カーストのトップである杏さんがいたら絶対私のこと庇うだろうし。杏さんは博愛主義でもあるから弱い人につくことが多い。いや私が弱いみたいで少し遺憾であるが。
「別に普通の服も買うけど。っていうかエルシェさんも元男娼だよ。ネコ側の」
「口答えすんなし!あんたさぁ、三田村君が優しいからって調子乗らないでくんない?苺ちゃん可哀想でしょ!?」
「なんで三田村君の名前が出てくんの?彼、来てないよ」
三田村君って確か聖騎士適性があってクエストバンバンこなしてるんじゃなかったっけ?だから夜花亭にはまだ来てないし、私も外で会ったりしてないのに。
「はー!?三田村君があんたのこと構ってるから苺ちゃんが嫌がってんだけど!」
「構ってって……そんなに、話したことないんだけど。グループ発表の時だけだし、絡んだの……」
「それが迷惑ってわかんないの?三田村君は優しいからあんたみたいな地味ブスに構ってくれたんだからね!」
「えぇ……?」
困惑した声が思わず漏れてしまう。そんなこと言われても困るというか。そもそも三田村君とは事務的なことを話したぐらいでそれ以上の会話はなかったし。確かにバスケ部とバレー部で体育館の使用権でやり取りもしたけどさぁ。
「大体、ブスが娼婦とかできるわけ?お客さんこないでしょ?可哀想~」
「あんたを抱く男とかいるの?ふふ、ゲテモノ趣味だわ」
「………………あのさぁ、その言葉を王子に向けて言えるの?」
好き放題言う二人に私はボソッと呟く。は?みたいな顔をしてきたので私は口を開いた。
「だから、私のお客様の中には王位継承権こそないもののこの国の王子様がいるんだけど、その方の前でも同じこと言えるの?って聞いてんの」
「え、は?王子……?あんたに?」
「あ、りえないんだけど。てか王子とか何それ」
「エルシェさん、申し訳ないんですけどオーレリアン様に連絡していただいても良いでしょうか?どうも信じられないみたいなので本人に聞いた方がいいと思うんですよね」
ハラハラとした顔で見ていたエルシェさんに言うと、分かったわ、と彼は直ぐに奥へと引っ込んでいく。顔を青くしている二人は私をグイッと引っ張って店の外へと引きずり出した。
「痛っ」
「調子に乗らないでよね。私とあんたじゃレベルが違うのよ!その顔もっと見れなくしてあげる」
「娼婦への暴力行為は法律で禁止されてるんだけど?」
「バレなきゃ良いのよ。さっさとこっちに来なさい!適度に痛めつけてやるわ」
グイグイと引っ張ってくる江野さんの指が手首に食い込んで痛みが走る。やだ、爪立ててる。ニヤニヤ笑って路地裏へと行かせようとする遠野さんに止めて、と言うも彼女達が聞いてくれるわけもない。周りの人間はハラハラしてるけど視界の片隅で誰かが憲兵を呼びに行ったのが見えた。
「あんたいじめられっ子なんだから大人しくいじめられててくんない?男にチヤホヤされるからって調子に乗らないで……」
「何をしてるんだ」
その声と共に、江野さんの拘束から腕が開放された。キャッ、という小さな悲鳴とともに江野さんが突き飛ばされたのが分かる。
甲冑に大きな盾を携えた彼は河戸勝武君。彼もまたクラスメイトの一人だ。
「っ、何すんのよ河戸!」
「お前達こそ何してるんだ。クラスメイトとはいえ、娼婦への暴力は重罪だぞ。憲兵を呼んだから不利になるのはお前達の方だ」
「はー?そいつが調子乗ってるからでしょ!?」
「調子乗ってるのはそっちでしょ?クエストで荒稼ぎして、男娼侍らせてるみたいだけど」
私の言葉にうぐ、と二人は言葉に詰まる。そうよね~。私知ってるんだけどなぁ~?
「クエストで稼いだお金をちょろまかして男娼何人も侍らせてるみたいだけどさ、セクハラ発言とか行為とか酷いってバーバラさんのところに報告が上がってきてるんだよね。指名料金は払わないくせに食事代だけで好き勝手するから男娼のお兄さん達すっごく怒ってたよ?クソ客って」
「は、はぁっ!?指名はしてるじゃない!?その分チップもあげてるしっ!」
「え、指名してるのに買ってないの!?それ凄い失礼なんだけど!食事やドリンク指名したならその後はベッドなのが娼館の暗黙のルールだよ!?しかも予約無しで突発で来てるなら一時間でもコース選択するのが普通だし……」
そりゃクソ客って言われるわ。お店にもよるけど彼女達が行っている男娼館というのは食事代だけで遊べるようなライトなものではなく、いわゆる女性向け風俗というやつに近いもので、食事やドリンクの後に本番、もしくはそれに準ずる行為をするのが基本である。もちろん食事だけでも構わないのだけど、予約無し本番無しでそれをするのは男娼娼婦に嫌われている。食事の時間だけでも時間を取られるというのにそれだけではお給料に繋がっていかないのだ。ご飯だけ食べて帰るね、ということもあるけれど、その場合は予約をいれて少しだけチップを上乗せするのが暗黙のルールになっている。いやだって、ご飯食べて少し話した後には仕事の予約入れなきゃいけないからさ。ご飯の後にも長々と拘束されたらその分のお給料に響くわけでして。だから、ご飯だけ食べに来る上に予約もせずに長居する客は嫌われるんだよねー。暗黙とは言うけど『娼館』を利用する人間からしてみれば当たり前のレベルではあるんだけど。
「はぁ!?あんたに言われる筋合いないわよ!どうせ売れてないんでしょ!?」
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