異世界召喚されたのですが職業が娼婦ってどういうことですか?

龍珠昴

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顔を真っ赤にして私を詰りにかかる二人にはぁ、と小さく溜息を吐く。私の様子を見て、彼女達は苛立ちを隠せないらしい。まぁ、自分より下って思ってた人間に色々言われたらイライラもするよね。

「このっ、」
「あんたみたいなブスが娼婦なんて世も末ね!」
「別に私に何言っても構わないんだけどさ、二人共、あのお店のブラックリスト載っちゃってるからね。もうお店行けないよ~。コンラートさんめっちゃ怒ってたもん」
「はぁ!?そんなわけないじゃない!昨日だって!」
「そりゃあ、出禁前だから最後に優しくしようと思ったんじゃない?コンラートさんっていうか、あの店の男娼の間では二人共、結構有名だよ。お金回り悪いのに微々たるお金でずーっと居座るから迷惑してるって」

昨日仕事上がりでうちに飲みに来てたコンラートさんとヨゼフさん……、彼女達が懇意にしてた男娼達が祝杯挙げてたなんて言ったら、二人共余計に怒るだろうなぁ。いやまぁ、話を聞く限り相当なことをしてたみたいだけど。
この世界における娼婦と男娼は戦えこそしないけれども、冒険者や兵士達の魔力体力の底上げができる数少ない職業であるからか、扱いがかなり丁重である。娼婦なんかは望めば妊娠するのも簡単だし、魔法を使えば代理出産のようなことも可能なのだ。そういった意味でも、私達という職業は国を上げて守られている。まぁ多分、そういうこと分かってないからこそ好きにしてたし、私のことを罵ってきたんだろうけど。
娼婦ってなろうと思ってなれるものでもないから天性の職業持ちだと重宝されるんだけどね。

「な、そんなこと……っ!」
「お店行ってみれば?私嘘吐いてないもん」
「っ!」
「それに、さっきから騒いでたから憲兵さんきたし。ねぇ、まだ何か用事あるの?」

バタバタという足音と共にやってきた制服姿の男の人達に私はペコ、と頭を下げる。

「すみません、こちらの冒険者二人に絡まれまして……」
「はぁ!?あんた何言ってんの!?」
「路地裏に連れ込もうとされたから抵抗したまでですが?痛……っ」

掴まれた所を態とらしく摩って憲兵さんに見せるとこれは酷い、と言われる。なんか眉を顰められた気がするんだけど、気の所為ではないだろうなぁ。

「娼婦への暴行は禁止されている。爪を立てて痣になるほど掴むとは……!」
「何言ってんの!?そいつが男に媚び売ってるからでしょ!?」
「ちょっと、離しなさいよっ、やめて!」
「言い訳は詰め所で聞こう。メロンさん、大丈夫ですか?」
「大丈夫です……後でお詫びに行きますね」
「はは、仕事なので構いませんよ」

では、と江野さんと遠野さんを連れて去って行く憲兵さん達に頭を下げて見送ると、何だかどっと疲れが出た。

「あの二人、いつもなのか?」
「こっちに来るようになってからかなぁ……河戸君、助けてくれてありがとう」
「いや。元気そうだな」

そういう河戸君は前の世界にいた時から変わらない仏頂面だ。変わったところといえば一回りほど大きくなっただろうか。身長も横幅も大きかったけど、何かこう、たくましく、なったというか。

「あの、どうしてここに?もしかして、どこかのお店にいこうとしてたとか?」

『娼館』内を歩いてたってことはどこかのお店に入るつもりだったんだろうってことは分かる。宿屋街も近いし、ご飯所も多いしなぁ。夜になると客引きが凄くなるんだけど。

「あぁ。明後日からクエストがあるからな。その前に加護を付与してもらおうと、案内所に行く途中だった」
「そうなんだ……明後日ってことは今日の夜に付与しないとだね。どことか決まってる?」
「………………いや」

まぁ案内所に行く途中なら今からお店選ぶんだもんね。

「お前は」
「ん?」
「今日の夜は、空いているのか?」
「あ、あー……今日はその、休みで……明日なら、空いてるんだけど」
「………………そうか」

仏頂面で何を考えてるか分からないな……。今日は残念なことに休みだからな……明日来てくれるならありがたかったんだけど、ちょっと残念。

「その、もしね、来てくれるなら割引ぐらいはできるから」
「どこだ?」
「え?」
「店はどこだ、と聞いている」
「夜花亭、だけど」

え、まさか河戸君、来てくれたりするの?そういうのに興味無さそうなのに?

「明日、店に行く」
「ほ、本当に?」
「………………あぁ」

リップサービスのつもりだったんだけど、マジか。
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