イケニエアゲハ~執着の檻に囲われて~

小達出みかん

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第一部 高嶺の蝶

わがまま御曹司、ハヤトを堕とす(R18)

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「あ・・・な、なに・・・?」


 数刻後、彼は目を開けた。その目は朦朧としている。


「あっ・・・んっ・・・ふ・・・」


 その声は、すぐに呂律のまわらないあえぎ声にかわった。


「気持ちいい?ハヤトくん?」


 玲奈は手をうごかしながら、うんと優しい声で聞いた。


「う…ん…」


 先ほどえらそうに上から玲奈を見下ろしていた目が、今は潤んで玲奈を見上げていた。

 玲奈はそこを握る力を強めた。 


 睫毛のびっしりはえそろったその目は、次の瞬間ぎゅっと閉じられた。


「あっ…やぁ…だめぇ…な、なんで」


「なんで、って…?」


 玲奈は彼の目を見て婉然と微笑んだ。


「あなたとこうしたかったから…」


 そしてソファに横たわるハヤトの腕に身を投げた。自分にそういわれて嫌な気になる男はいないだろう。玲奈はそれを知っていた。

 だが、薬が効いているせいで彼は上手く体を動かせない。休みなくハヤトのそこを握る手を動かしながら、玲奈は煽るように自分の身体をおしつけた。


「あ…あっ…や、あ…いくっ…!」


 裸に剥いた彼の肌は上気し、形のいい唇はだらしなく開かれ、彼はそう訴えた。

 なので、玲奈はそこを触っていた手をぱっとはなした。


「えっ・・・あ・・・な、なんで・・・」


 玲奈は微笑んでいった。


「まだいっちゃだめ」


 泣きそうな顔をする彼に、玲奈は人差し指をいきりたったそこの先端に置いた。透明な先走りを指先に感じた。


「そんな・・・あっあっ・・!」


 自由にならないか身体で、ハヤトは腰を震わせた。若い身体に、こういう我慢は相当辛いはずだ。


「い・・いきたい・・・いかせて・・・・」


 酩酊も手伝ってか、何のプライドも恥じらいもなくハヤトはそう玲奈に懇願した。


「そっかぁ。いくには、どうすればいい?」


 薄い笑みを浮かべて玲奈は聞いた。


「そ、そこ・・・こすって・・・・さっきみたいにぃ・・・あっ」


 玲奈は指先を先端から離した。


「そこって、どこ?」


「こ、ここ・・・」


「ここじゃわからないな?」


「こ、ここっ、俺の、俺のちんこっ・・・!!」


「そっか、わかった。ちんこね。で、俺って誰なんだろう?名前でいって?」


「は・・はやと」


「苗字はー?」


「か、海江田・・・」


「うんうん。で、だれのどこをこすってほしいんだっけ?言ったら、ご褒美あげるよ」


 本当にイカレてしまっているらしく、彼は間髪入れずに言った。


「か、かいえだ・・海江田ハヤトのちんこ、こすってっ・・・!」


 玲奈は内心で快哉を叫んだ。


 なので愛情をこめてハヤトの頭をなでてあげた。 ハヤトは気持ちよさそうに目を閉じて、愛撫を受け入れていた。その表情は撫でられて嬉しくてたまらない子犬のようだった。


「はーい、よくいえましたね。ハヤト、えらいよ」


 さて、ご褒美をあげなければ。


 玲奈はそこを触って、それを包んで指を動かした。先走りでにちゃにちゃになっている。


「あっあっ・・・やっ・・・いくぅっ・・・・・!」


「いきそう?」


 潤んだ瞳で玲奈を見上げながら、ハヤトは必死にうん、うんとうなずいた。


「うんっ・・・あ、あ、いくっ・・・・・!!!!」


 すでに暴発寸前だったそこは、数回手を上下させただけで精液を勢いよく吐き出した。

 玲奈はそれを手で受け止めた。温かくどろりとした液体が、てのひらにおさまった。

 薬をキメた状態でいったのがきつかったのか、ハヤトははあはあと全身で息をついていた。が。


「ひっ・・・!あっ、何するやめっ・・・くっ・・・!」


 再び玲奈がそこを激しく責め初めたので、身体をびくびくと震わせた。


「イッたばっか・・・っだからっ・・・やめっ・・・・ひっ」


「大丈夫、大丈夫・・・このまま、ね」


 先ほどの精液が潤滑剤になって、よくすべる。手の中のそれは硬いままで、びく、びくと意思を持っているように脈打っている。


 一方ハヤトの顔は真っ赤になって、この刺激に耐えている。


「あはは、かお真っ赤、ゆでダコみたい。かわいい~」


 玲奈のその言葉に反応する余裕もなく、彼は身をよじらせた。


「あっあっ、やだっやだっ・・・やめてぇっ、もう、あ・・・」


 その声は喉から絞りだしたような悲痛な声だった。が、次の瞬間。


「あああああっ・・・・・!!」


 手の中のそこから、勢いよく透明な水のようなものが噴射した。


「くっ・・・ん・・・・・」


 相当な衝撃だったのか、出し切ったあと、ハヤトはぐったりと玲奈に身体を預けた。


「おーい」


 玲奈はつんつんとハヤトの頬をつついた。


 ・・・反応はない。


「気絶?やりすぎちゃったか」


 だが、これで作戦はほぼ成功だ。玲奈はほくそ笑んで、テーブルの上の携帯の画面をタップした。


「録画終了、っと。」

 ぐったりとソファに身をよこたえる彼の顔は玲奈よりも数倍幼く、ふっくりとした桃色の頬など、まるで絵画に描かれた天使のようだ。


(世間知らずの赤ちゃん。私を脅すには100年早かったんじゃない?)


 玲奈は彼が漏らしたお小水をはじめ、テーブルの上の溶けたアイスも綺麗に片付けた。

 そして小一時間ほど彼の寝顔を眺めたが、いつまでも付き合ってはいられないので軽く頬を叩いた。


「ん・・・あ・・・な、なに」


「なにじゃないよ。話があるから起きて、ほら飲んで」


 玲奈はハヤトに水の入ったグラスを押し付けた。


「はぁ・・・ありがと・・・あ!?」


 ハヤトは自分が一糸まとわぬ裸であることに気づいたらしい。


「服はそこ。」


 玲奈はクッションの上を指差した。先ほどたたんであげたのだ。感謝してほしい。


「くっ・・」


 彼は悔しげに顔をゆがめて玲奈を見たあと、それを着た。


「で・・・あんたは何で、私を呼んだんだっけ?学校にばらしてやるとか言ってた?」


 座った彼を、玲奈は腕くみをして見下ろした。


「な・・・舐めやがって!お前なんて、俺はどうにでも・・・!」


 まだ自分の立場がわかっていないようだ。玲奈は仕方なくスマホを取り出した。


『か、かいえだ・・海江田ハヤトのちんこ、こすってっ・・・!』

『はーい、よくいえましたね。ハヤト、えらいよ』

『あっあっ・・・やっ・・・いくぅっ・・・・・!』


 聞いているこちらが赤面するほどのストレートな言葉である。玲奈はスマホをしまって言った。


「どう?さっきあったこと、思い出した?自己紹介音声入り、高画質で顔もはっきり映ってるよ。週刊誌はいくらでこれ買ってくれるかな?ネットに流すんでもいいけど。お父さんがこれを見たらどう思うかな?わかるよね?」


 ハヤトは俯いていて表情はよくわからない。歯を食いしばっているようだ。


「あんたが何もしなければ、この動画はどこにも晒さない。私もこんなことしたくなかったんだけど、脅されて黙ってるわけにもいかないからさ」


 ハヤトの肩は震えている。涙がぽたりぽたりと零れ落ちた。もう一押し。


「・・・別にこれ以上どうこうしようなんて思ってないし、あんたに興味もないから。あんたが私のこと忘れてくれれば、私も忘れるよ」


 玲奈は優しい口調で諭すように言った。が。


「・・・や・・・やだ・・・」


 震える声でハヤトはそう言った。


「やだって、何がいやなの。もとはといえば脅してきたあんたのせいじゃん」


 玲奈がそういうと、ハヤトはその泣き顔をあげた。


「だって…俺、がんばって…あんたのこと、調べた、のに…」


 玲奈は顔をしかめた。


「どうやって私の情報さぐったわけ?」


「高校知ってるから、名前はすぐわかった…でもキャバ嬢だっていうのは…あの日の運転手に」


「探し出して聞いたってわけ?」


 そういえば、あの日店の名前を運転手に言ってしまっていた。玲奈はため息をついた。あんな何気ない会話ですら、気が抜けない。


「…とにかく、もう関わらないでね。」


 歩きだした玲奈を、ハヤトは追いかけた。


「まっ、待って…!またラインして、いい?」


 その拗ねたような顔は、まるで小さい子がだだをこねて縋ってくるような顔だった。

 仕事以外でごねる男の相手をする義務はない。めんどうくさくなった玲奈は無視をして部屋を出た。


「ま、まって、まってっ・・・・!」







 玄関まで追いかけたが、彼女の足は速く、あっけなく玄関のドアはしまった。

 ハヤトは呆然とマットの上にへたりこんだ。


(・・・帰っちゃった)


 そんな人間は初めてだった。小さいころから、海江田総理の御曹子たる自分が望めば、たいていのことは思い通りになった。

 が、ここ数年はその法則が崩れてきていた。

 高校にはいって2年。ずっとわがままに育てられたハヤトの限界が、見え始めていた。


 恵まれた環境ゆえ、何も努力したことがない。しようとも思ったことがない。井の中の蛙で天狗になっていたが、だんだん気づいてきた。


 世の中には、自分よりはるかにすごい人間がたくさんいて、思い通りにできないことだらけで・・・


 なにより、自分がちっぽけで、頭はからっぽで、実の所何も自慢できない人間だということに。

 そう気が付くと、何もかもが投げ捨てたいほどいやになった。家を省みない父も、外面ばかりで内実は虚ろな母も、顔色伺いばかりの使用人たちも。


 なによりその権威を自慢にして生きてきた自分自身にも。


 ・・・・そんなわけで、ハヤトは絶賛半グレツッパリ期間であった。


 自分より勉強できるやつも、爽やかに部活に明け暮れるやつも、彼女とイチャつくやつも全員、ムカムカと腹がたった。


 だが絡む勇気も腕力もない。そこで毎日悪い仲間とつるみ、飲み歩いていた。


 そして電車であの女と会った。あの女は毎日同じ、夕方の早い時間に電車に乗っていた。


 自分の高校にいるどの女の子よりも、美形だと思った。誰も寄せ付けない無表情のその横顔は、ガラスの切り口のように鋭く、そして繊細だった。

まるで物語のお姫様だ。あまりの美しさに魔女に塔に閉じ込めらて、誰も彼女に触れる事はできない。けれど彼女はふとした時に、窓の外を見つめている。自分を救い出してくれる王子様が現れるのを待っているかのように。


 ハヤトはその日から、彼女を見つめるのが日課となった。電車で会えなかった日は一日心配だったし、会った日も嬉しくてずっと彼女の事ばかり考えていた。


(電車の姫。俺だけの秘密の楽しみ…)


 だが、そこへあのメガネが闖入してきた。


 仲良く隣同士で座っているのも、あまつさえ、熱っぽく視線を見交わしているのも。


 そしてメガネの奥の男の顔が硬派で整っていることにも、彼女と同じ進学校で頭が良いであろうことも、すべて気にくわなくてカッとした。


 そこで、今回のような運びになったわけである。






 だが、これはどうしたことか。

 夜の歌舞伎町で、彼女の秘密をふとしたことで手に入れられたのはラッキーだった。これで彼女を好きにできると胸を躍らせていたのに。


 ハヤトは呆然と玄関にベタ座りしている自分の姿を見下ろした。


 ・・・・このていたらくだ。


(ど、どうして、こ、こんな・・・)


 ハヤトは両腕で身体を抱きしめながら長い廊下を引き返してソファへ身を沈めた。

 時間がたってしまったからか、盛られた薬は切れはじめていて頭は冴え冴えとしていた。

 にもかかわらず、ハヤトの身体は熱っぽいままだった。


(あんなこと…される、なんて)


 忘れてしまおう、いやな事は。

 だけどそう思った瞬間、頭を優しく撫でられた感触を思い出した。

 そして、強烈すぎる快感が2度も、身体を貫いたこと。

 それがすべて、彼女の携帯の中に納められていること・・・・。

 ハヤトは、その事実が自分の身体を熱くしていることに気が付いた。


(だめだ、忘れられない・・・)


 こんな頭では、家になんか帰れない。

 ハヤトは一人、ソファで頭をかかえた。


(どうしよう・・・・)

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