イケニエアゲハ~執着の檻に囲われて~

小達出みかん

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第二部 王様の牢屋

すべては君のもの(2)R18

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玲奈が息も絶え絶えに築城の頭をつかんだ。全身が熱い。顔も体も、じっとり汗ばんでいるのがわかった。全体的に濡れて湿っている。もう、自分の体液なのか、築城の唾液なのかわからない。


「もう、い、いい、から…」


 いつかもこうやって体中いじられたが、今日は一番長いこと舐められている。ずっと足を開かされて、熱くて、じんじんして、でも気持ちよくて、変になりそうだった。


「だめ。まだ3回しかいってない」


「も、もういい、じゃん。いれ、てよ」


「それ禁止っていったでしょ」


 小さい子をたしなめるような口調で言われて、頭が朦朧としている玲奈も幼稚な抗議をした。


「さ、3回も、だよ?!こ、この間まで、いった、ことなんて、なかった!しょ、初心者なんだから、もう、やめっ…」


「そっかぁ…玲奈はいったことなかったんだよな」


 築城が心の底から嬉しそうな声を出した。しゃべるのはいいが、その振動がそのままあそこに響くので、玲奈の足は小刻みに震えた。


「も、もう、そこ、から、口はなしてよ…」


「しょうがないなぁ」


 築城は起き上がって玲奈を見下ろした。しかし玲奈のふっと肩の力が抜けた所に、するりと指が入ってきた。


「ひゃっ…」


「かぁわいい声出すなぁ…」


 玲奈の中で、築城は指先を動かした。


「あっ…あっ…」


「すごい…何の抵抗もないよ…にゅるって入った。はちみつみたいに、とろとろあふれてる」


「やだっ…言わないで…っ!」


 その声が艶めいた声というより、鶏が絞められたような声だったので、思わず城築は笑いそうになった。


(玲奈がまだ知らないのは…挿入の快感だけだからな)


「ごめんな…怖い?」


 そういいつつ、城築はゆっくりと途切れなく指を動かしていた。相変わらず中は狭くて、入り口は固い。だけど奥にいくに従って、柔らかくぎゅうぎゅうと指を押しつぶしてくる。


「怖くはっ…んんっ…ない…けどっ…!」


指で奥の柔らかい部分を突くたびに、玲奈は声を震わせた。


「あっ…くぅっ…んんっ…」


 だけれど必死に抑えようとしている姿がかわいらしい。何をそんなに頑張って、隠そうとしているんだろうか。こちらはそれが見たくて、頑張っているのに。


「先生っ、ほんと、もう、と、とめ、いったん止めてっ」


 玲奈がそう叫んだので、城築はしぶしぶ止めた。


「ここは違うって言ってるのに」


「んっ…だ、だから」


 玲奈が上半身を起こして築城を見た。下半身に力が入って、指の締め付けがきゅっと強くなった。城築は悪戯心で中で指を前後させた。


「あはぁっ…」


 玲奈が息を飲んだあと、怒ってきっと築城を睨んだ。


「もう、いったん止めてって!」


 怒った顔を久々に見た。でもそれも可愛い。築城は思わずその表情に見とれた。


「ごめんね…玲奈」


「先生…」


 玲奈が唇をかみしめながらこちらをじっと見てきた。何かを言いあぐねているようだ。


「なんだ?」


その表情も可愛すぎて、入ったままの指を動かしたいのを、築城はぐっと我慢した。


「きょ、今日も…入れて、くれないの?」


 小さな声で、絞り出すように言われたその言葉に、築城は耳を疑った。


「今…なんて言った?」


 玲奈は困ったように目をそらした。


「き、聞こえてるくせに、もう一回言わせるの、やめてよ」


「いや…ちょっと意味がわからなくて」


「い…意地悪だよ、先生」


 玲奈は怒って築城の肩を押しやった。しかし築城はその手をぎゅっとつかんだ。


「わっ」


「入れて、いいの?」


 築城思わず、玲奈を凝視した。玲奈は息が上がっていて、ぎゅっと目をつぶって顔を反らした。が、次の瞬間、バチっと目を開けて築城を正面から見据えた。


「…ま、またいくんなら…せっ…先生、も」


 自分の脊髄を、何かが駆け上がっていくくるような衝撃が走った。一瞬のち、築城は真っ白になるほど拳を握りしめた。


「せん、せい…?」


「ちょ、ちょっと待ってくれ」


 このままだと、やばい。自分を抑えようと逡巡する築城に対して、玲奈は目を細めて困ったように言った。


「だって…先生、前にもしたでしょ、なにをそんな、ためらって…ひゃっ」


 にゅるっと指を引き抜いて、築城は玲奈を抱きしめていた。


「あの時とは、違うんだよ…」


 玲奈の細い体が、今は熱を帯びていた。吸い付くようなその肌が、築城の肌に触れる。築城はぐっと唇を噛んだ。


(怖いんだ、また君に嫌われるのが。)


「先生、苦しい…」


「わ、悪い」


 築城ははっとして腕を緩めた。玲奈の目が、築城を見上げていた。


「先生…私とするの、嫌になっちゃった?最初さんざん抵抗、したから」


 築城は目を見開いた。


「あの時は…こわかった。でも今は…先生、入れてよ。私、今初めて…本当にしたいって…思ってるんだから。先生が、そう思わせたんだから、してくれなきゃ、困るよっ」


 玲奈はどんと頭と拳を築城の胸にあてた。築城はやっとの事で言った。


「…そんな事言って…後悔、するなよ」


 玲奈は顔を上げて、唇のはしを上げて笑った。久々の、玲奈らしい笑みだった。


「しない。だからそっちも手加減、しないで」


 横たわる玲奈の足をそっと開いて、築城はその間に入った。玲奈が素直に足を開いているのは、信じがたい光景だった。

目は恥ずかしさに伏せられていたが、唇は開いて、期待を隠しきれていない。その表情を見るとまた、ぞくぞくと背筋に何かが走った。腰のものは、もはや炎のように熱く滾っている。


「先生…」


 玲奈の目が、ついに意地を捨てて築城を見上げた。今まで強い意志も、理性も手放さなかったその目が、熱く蕩けて自分を見上げている。


(玲奈、玲奈…俺は…)


 たとえ、それが一時のまやかしでも。彼女が快楽を求めるよう、自分がそう仕向けて狂わせたにしても。


 この瞬間を、永遠に覚えておこうと築城は心に刻んだ。


「玲奈…っ」


 彼女の入り口は、その目と同じに熱く溶けて、築城を受け入れた。


「はぁ…れ、玲奈…」


 目を見かわすと、玲奈は手を伸ばして築城の頬を引き寄せ、自分からキスをした。触れるだけの軽いキスだったが、築城の身体はさらに熱くなった。


「俺…今ここで、死んでもいい」


「先生、大げさ…っあっ」


 ぐっと腰を突き出すと、玲奈の顔が耐えるようにしかめられた。 


「玲奈の中、熱いっ…今までで一番、熱い…はぁ、ダメだ、くっ…」


 気を抜くと、すぐにいってしまいそうだった。ここ一番で、さすがにそれは情けない。築城は死ぬ気で我慢した。


「ぐっ…うぅ…っ」


「先生、だい、じょうぶ?」


 築城は何とか笑って見せた。


「くっ…大丈夫、余裕、余裕」


 そして再び、ゆっくりと玲奈の中に自分のものを進めた。


 必死に我慢している築城を見ると、玲奈の中に今まで感じたことのなかった気持ちが湧いてきた。


(先生、そんな、我慢して…可哀想)


 これは憐れみなのかな、とちらりと思ったが、玲奈の身体が自然に動いて、築城にキスをしていた。だけれど築城はさらに我慢して、手の平に爪の痕がくいこんでいる。


(余裕なんて…嘘ついて。先生って…)


 可愛いところ、ある。いったんそう思うと、今までの事が次々と頭に浮かんだ。煙草の匂いを気にしたり、頬にキスするとたじろいだり、玲奈の料理を毎回写真を撮ったり…そんな他愛のない事ばかり。


(だけど…だけど結局大事なのって、そういう何気ない、どうでもいいような事だ)


 いきなり愛も情も生まれない。毎日少しずつ、相手を思いやったり、笑いあったり、そんなやり取りを繰り返す事で、その人にとって唯一無二の大事な存在になっていくのだ。

築城はこの一か月、玲奈を大事にして、少しづつ玲奈も歩み寄っていけるようになった。


 ここに監禁されなければ、こんな誰かに「大事にされる」事を経験することはなかっただろう。


「先生…」


 玲奈は自分の上の築城を見た。動きながら、彼は苦しそうな顔をしていた。それなのにその動きは、玲奈に熱い快感を与える。


「も、もう、我慢、しない、で」


 築城の目が、細められた。相変わらず苦しそうだった。


「私…気持ちいい、先生…っ」


「れ、玲奈…」


「だから…先生も、気持ちよくなって、ほしい…っ」


 ずしんと、奥が突かれたのがわかった。そこからじぃんと痺れにも似た快感がはじける。


「あっ、ひっ、あああ、せ、先生っ…」


「れ、玲奈、玲奈っ…」


 築城はただそう叫んでいた。本当にギリギリまで我慢していたんだ、と玲奈は思った。玲奈はぎゅっと築城の背中を抱きしめた。


「っ…!!!玲奈、あっ…」


 築城が低くうめいて、その体に力が入った。そして玲奈をぎゅっと抱きしめ返した。しばし沈黙したあと、玲奈はささやくようにつぶやいた。


「先生…私たち、あったかいね」


 玲奈の耳元で、何か水滴が落ちる感触がした。築城の肩が、かすかに震えていた。


「せん、せい?」


 玲奈が顔を見ようとすると、築城は外側へ顔をそむけた。


「み、見ないでくれ…」


「大丈夫…?」


「みっとも、ないだろ…はは、こんなおっさんが、やった後に泣いてる、なんて」


 築城は嘲るように言った。


「でも、嬉しいんだ、玲奈…俺、こんな…こんな良い目に会って、いいのかな。でも今なら、死んでもいい」


「先生、大げさだってば」


 玲奈がそういうと、築城はやっと玲奈を見た。


「大げさなもんか。ここまで三年間だぞ。それも生徒…絶対、無理だと思った。自分を呪ったよ」


 その声がまだ泣いていたので、玲奈は何も言えなかった。


「このまま俺は意味もなく、一人で生きて、死んでくんだろうって思ってた。でも玲奈を好きになって、それは強がりだったって思い知らされた」


「せ、先生」


「そうだよな、わかってる。こんな事したところで、俺は犯罪者だ。だけど…たとえ刑務所に入るとしても、ずっと死ぬまで一人でも…今玲奈とこうして繋がれたから、もういいんだ」


「そんな…先生、私…誰にも言わないよ。先生は、つかまったりしないから」


 築城は玲奈を見て微笑んだ。泣き笑いだった。


「ありがとう。玲奈は…優しいな。俺、今まで生きててよかった。なんの意味もない人生だって思ってたけど…。玲奈を愛するために、俺は生まれてきたんだって、今わかった」


 築城の涙を指で拭って、玲奈の口からよく知ったメロディがこぼれた。


「I was made for love me baby」


 すると築城は、ははは、と笑いだして、くしゃっと目を閉じた。その目からまた涙があふれた。


「そう、そう…そうだな、玲奈…本当、玲奈は…」


 あの時の事が、築城の脳裏に鮮やかによみがえった。進路調査票にペンを走らせる玲奈の真剣な横顔にはっとした。その瞬間魔法がかかったように、築城の心は弾んで熱くなった。


彼女を好きなのはもうわかっていたのに、見るたびに何度でも心は熱くなる。


 だけど彼女をそんな目で見ている事を気づかれてはいけない。じりじりしながら、築城は窓の外を見て自分の気持ちをごまかしたのだった。

そして玲奈が自分の好きな曲を知ってる事がわかって、何かとてつもない奇跡が起こったような気がした。だが、いい先生の仮面をかぶって、その場では洋楽の話をした。


 何度も聞いた歌の出だしが、築城の中で流れ始めた。


(Tonight I wanna give it all to you…)


 涙を乱暴に拭ってから、築城は言った。


「…たとえ玲奈がいらなくても、俺のすべては、玲奈のものだ」


 玲奈の輝く目が、築城を捕らえた。彼女は言った。


「先生、ありがとう。だからもう…泣かないで」
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