43 / 60
第二部 王様の牢屋
すべては君のもの(2)R18
しおりを挟む
玲奈が息も絶え絶えに築城の頭をつかんだ。全身が熱い。顔も体も、じっとり汗ばんでいるのがわかった。全体的に濡れて湿っている。もう、自分の体液なのか、築城の唾液なのかわからない。
「もう、い、いい、から…」
いつかもこうやって体中いじられたが、今日は一番長いこと舐められている。ずっと足を開かされて、熱くて、じんじんして、でも気持ちよくて、変になりそうだった。
「だめ。まだ3回しかいってない」
「も、もういい、じゃん。いれ、てよ」
「それ禁止っていったでしょ」
小さい子をたしなめるような口調で言われて、頭が朦朧としている玲奈も幼稚な抗議をした。
「さ、3回も、だよ?!こ、この間まで、いった、ことなんて、なかった!しょ、初心者なんだから、もう、やめっ…」
「そっかぁ…玲奈はいったことなかったんだよな」
築城が心の底から嬉しそうな声を出した。しゃべるのはいいが、その振動がそのままあそこに響くので、玲奈の足は小刻みに震えた。
「も、もう、そこ、から、口はなしてよ…」
「しょうがないなぁ」
築城は起き上がって玲奈を見下ろした。しかし玲奈のふっと肩の力が抜けた所に、するりと指が入ってきた。
「ひゃっ…」
「かぁわいい声出すなぁ…」
玲奈の中で、築城は指先を動かした。
「あっ…あっ…」
「すごい…何の抵抗もないよ…にゅるって入った。はちみつみたいに、とろとろあふれてる」
「やだっ…言わないで…っ!」
その声が艶めいた声というより、鶏が絞められたような声だったので、思わず城築は笑いそうになった。
(玲奈がまだ知らないのは…挿入の快感だけだからな)
「ごめんな…怖い?」
そういいつつ、城築はゆっくりと途切れなく指を動かしていた。相変わらず中は狭くて、入り口は固い。だけど奥にいくに従って、柔らかくぎゅうぎゅうと指を押しつぶしてくる。
「怖くはっ…んんっ…ない…けどっ…!」
指で奥の柔らかい部分を突くたびに、玲奈は声を震わせた。
「あっ…くぅっ…んんっ…」
だけれど必死に抑えようとしている姿がかわいらしい。何をそんなに頑張って、隠そうとしているんだろうか。こちらはそれが見たくて、頑張っているのに。
「先生っ、ほんと、もう、と、とめ、いったん止めてっ」
玲奈がそう叫んだので、城築はしぶしぶ止めた。
「ここは違うって言ってるのに」
「んっ…だ、だから」
玲奈が上半身を起こして築城を見た。下半身に力が入って、指の締め付けがきゅっと強くなった。城築は悪戯心で中で指を前後させた。
「あはぁっ…」
玲奈が息を飲んだあと、怒ってきっと築城を睨んだ。
「もう、いったん止めてって!」
怒った顔を久々に見た。でもそれも可愛い。築城は思わずその表情に見とれた。
「ごめんね…玲奈」
「先生…」
玲奈が唇をかみしめながらこちらをじっと見てきた。何かを言いあぐねているようだ。
「なんだ?」
その表情も可愛すぎて、入ったままの指を動かしたいのを、築城はぐっと我慢した。
「きょ、今日も…入れて、くれないの?」
小さな声で、絞り出すように言われたその言葉に、築城は耳を疑った。
「今…なんて言った?」
玲奈は困ったように目をそらした。
「き、聞こえてるくせに、もう一回言わせるの、やめてよ」
「いや…ちょっと意味がわからなくて」
「い…意地悪だよ、先生」
玲奈は怒って築城の肩を押しやった。しかし築城はその手をぎゅっとつかんだ。
「わっ」
「入れて、いいの?」
築城思わず、玲奈を凝視した。玲奈は息が上がっていて、ぎゅっと目をつぶって顔を反らした。が、次の瞬間、バチっと目を開けて築城を正面から見据えた。
「…ま、またいくんなら…せっ…先生、も」
自分の脊髄を、何かが駆け上がっていくくるような衝撃が走った。一瞬のち、築城は真っ白になるほど拳を握りしめた。
「せん、せい…?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
このままだと、やばい。自分を抑えようと逡巡する築城に対して、玲奈は目を細めて困ったように言った。
「だって…先生、前にもしたでしょ、なにをそんな、ためらって…ひゃっ」
にゅるっと指を引き抜いて、築城は玲奈を抱きしめていた。
「あの時とは、違うんだよ…」
玲奈の細い体が、今は熱を帯びていた。吸い付くようなその肌が、築城の肌に触れる。築城はぐっと唇を噛んだ。
(怖いんだ、また君に嫌われるのが。)
「先生、苦しい…」
「わ、悪い」
築城ははっとして腕を緩めた。玲奈の目が、築城を見上げていた。
「先生…私とするの、嫌になっちゃった?最初さんざん抵抗、したから」
築城は目を見開いた。
「あの時は…こわかった。でも今は…先生、入れてよ。私、今初めて…本当にしたいって…思ってるんだから。先生が、そう思わせたんだから、してくれなきゃ、困るよっ」
玲奈はどんと頭と拳を築城の胸にあてた。築城はやっとの事で言った。
「…そんな事言って…後悔、するなよ」
玲奈は顔を上げて、唇のはしを上げて笑った。久々の、玲奈らしい笑みだった。
「しない。だからそっちも手加減、しないで」
横たわる玲奈の足をそっと開いて、築城はその間に入った。玲奈が素直に足を開いているのは、信じがたい光景だった。
目は恥ずかしさに伏せられていたが、唇は開いて、期待を隠しきれていない。その表情を見るとまた、ぞくぞくと背筋に何かが走った。腰のものは、もはや炎のように熱く滾っている。
「先生…」
玲奈の目が、ついに意地を捨てて築城を見上げた。今まで強い意志も、理性も手放さなかったその目が、熱く蕩けて自分を見上げている。
(玲奈、玲奈…俺は…)
たとえ、それが一時のまやかしでも。彼女が快楽を求めるよう、自分がそう仕向けて狂わせたにしても。
この瞬間を、永遠に覚えておこうと築城は心に刻んだ。
「玲奈…っ」
彼女の入り口は、その目と同じに熱く溶けて、築城を受け入れた。
「はぁ…れ、玲奈…」
目を見かわすと、玲奈は手を伸ばして築城の頬を引き寄せ、自分からキスをした。触れるだけの軽いキスだったが、築城の身体はさらに熱くなった。
「俺…今ここで、死んでもいい」
「先生、大げさ…っあっ」
ぐっと腰を突き出すと、玲奈の顔が耐えるようにしかめられた。
「玲奈の中、熱いっ…今までで一番、熱い…はぁ、ダメだ、くっ…」
気を抜くと、すぐにいってしまいそうだった。ここ一番で、さすがにそれは情けない。築城は死ぬ気で我慢した。
「ぐっ…うぅ…っ」
「先生、だい、じょうぶ?」
築城は何とか笑って見せた。
「くっ…大丈夫、余裕、余裕」
そして再び、ゆっくりと玲奈の中に自分のものを進めた。
必死に我慢している築城を見ると、玲奈の中に今まで感じたことのなかった気持ちが湧いてきた。
(先生、そんな、我慢して…可哀想)
これは憐れみなのかな、とちらりと思ったが、玲奈の身体が自然に動いて、築城にキスをしていた。だけれど築城はさらに我慢して、手の平に爪の痕がくいこんでいる。
(余裕なんて…嘘ついて。先生って…)
可愛いところ、ある。いったんそう思うと、今までの事が次々と頭に浮かんだ。煙草の匂いを気にしたり、頬にキスするとたじろいだり、玲奈の料理を毎回写真を撮ったり…そんな他愛のない事ばかり。
(だけど…だけど結局大事なのって、そういう何気ない、どうでもいいような事だ)
いきなり愛も情も生まれない。毎日少しずつ、相手を思いやったり、笑いあったり、そんなやり取りを繰り返す事で、その人にとって唯一無二の大事な存在になっていくのだ。
築城はこの一か月、玲奈を大事にして、少しづつ玲奈も歩み寄っていけるようになった。
ここに監禁されなければ、こんな誰かに「大事にされる」事を経験することはなかっただろう。
「先生…」
玲奈は自分の上の築城を見た。動きながら、彼は苦しそうな顔をしていた。それなのにその動きは、玲奈に熱い快感を与える。
「も、もう、我慢、しない、で」
築城の目が、細められた。相変わらず苦しそうだった。
「私…気持ちいい、先生…っ」
「れ、玲奈…」
「だから…先生も、気持ちよくなって、ほしい…っ」
ずしんと、奥が突かれたのがわかった。そこからじぃんと痺れにも似た快感がはじける。
「あっ、ひっ、あああ、せ、先生っ…」
「れ、玲奈、玲奈っ…」
築城はただそう叫んでいた。本当にギリギリまで我慢していたんだ、と玲奈は思った。玲奈はぎゅっと築城の背中を抱きしめた。
「っ…!!!玲奈、あっ…」
築城が低くうめいて、その体に力が入った。そして玲奈をぎゅっと抱きしめ返した。しばし沈黙したあと、玲奈はささやくようにつぶやいた。
「先生…私たち、あったかいね」
玲奈の耳元で、何か水滴が落ちる感触がした。築城の肩が、かすかに震えていた。
「せん、せい?」
玲奈が顔を見ようとすると、築城は外側へ顔をそむけた。
「み、見ないでくれ…」
「大丈夫…?」
「みっとも、ないだろ…はは、こんなおっさんが、やった後に泣いてる、なんて」
築城は嘲るように言った。
「でも、嬉しいんだ、玲奈…俺、こんな…こんな良い目に会って、いいのかな。でも今なら、死んでもいい」
「先生、大げさだってば」
玲奈がそういうと、築城はやっと玲奈を見た。
「大げさなもんか。ここまで三年間だぞ。それも生徒…絶対、無理だと思った。自分を呪ったよ」
その声がまだ泣いていたので、玲奈は何も言えなかった。
「このまま俺は意味もなく、一人で生きて、死んでくんだろうって思ってた。でも玲奈を好きになって、それは強がりだったって思い知らされた」
「せ、先生」
「そうだよな、わかってる。こんな事したところで、俺は犯罪者だ。だけど…たとえ刑務所に入るとしても、ずっと死ぬまで一人でも…今玲奈とこうして繋がれたから、もういいんだ」
「そんな…先生、私…誰にも言わないよ。先生は、つかまったりしないから」
築城は玲奈を見て微笑んだ。泣き笑いだった。
「ありがとう。玲奈は…優しいな。俺、今まで生きててよかった。なんの意味もない人生だって思ってたけど…。玲奈を愛するために、俺は生まれてきたんだって、今わかった」
築城の涙を指で拭って、玲奈の口からよく知ったメロディがこぼれた。
「I was made for love me baby」
すると築城は、ははは、と笑いだして、くしゃっと目を閉じた。その目からまた涙があふれた。
「そう、そう…そうだな、玲奈…本当、玲奈は…」
あの時の事が、築城の脳裏に鮮やかによみがえった。進路調査票にペンを走らせる玲奈の真剣な横顔にはっとした。その瞬間魔法がかかったように、築城の心は弾んで熱くなった。
彼女を好きなのはもうわかっていたのに、見るたびに何度でも心は熱くなる。
だけど彼女をそんな目で見ている事を気づかれてはいけない。じりじりしながら、築城は窓の外を見て自分の気持ちをごまかしたのだった。
そして玲奈が自分の好きな曲を知ってる事がわかって、何かとてつもない奇跡が起こったような気がした。だが、いい先生の仮面をかぶって、その場では洋楽の話をした。
何度も聞いた歌の出だしが、築城の中で流れ始めた。
(Tonight I wanna give it all to you…)
涙を乱暴に拭ってから、築城は言った。
「…たとえ玲奈がいらなくても、俺のすべては、玲奈のものだ」
玲奈の輝く目が、築城を捕らえた。彼女は言った。
「先生、ありがとう。だからもう…泣かないで」
「もう、い、いい、から…」
いつかもこうやって体中いじられたが、今日は一番長いこと舐められている。ずっと足を開かされて、熱くて、じんじんして、でも気持ちよくて、変になりそうだった。
「だめ。まだ3回しかいってない」
「も、もういい、じゃん。いれ、てよ」
「それ禁止っていったでしょ」
小さい子をたしなめるような口調で言われて、頭が朦朧としている玲奈も幼稚な抗議をした。
「さ、3回も、だよ?!こ、この間まで、いった、ことなんて、なかった!しょ、初心者なんだから、もう、やめっ…」
「そっかぁ…玲奈はいったことなかったんだよな」
築城が心の底から嬉しそうな声を出した。しゃべるのはいいが、その振動がそのままあそこに響くので、玲奈の足は小刻みに震えた。
「も、もう、そこ、から、口はなしてよ…」
「しょうがないなぁ」
築城は起き上がって玲奈を見下ろした。しかし玲奈のふっと肩の力が抜けた所に、するりと指が入ってきた。
「ひゃっ…」
「かぁわいい声出すなぁ…」
玲奈の中で、築城は指先を動かした。
「あっ…あっ…」
「すごい…何の抵抗もないよ…にゅるって入った。はちみつみたいに、とろとろあふれてる」
「やだっ…言わないで…っ!」
その声が艶めいた声というより、鶏が絞められたような声だったので、思わず城築は笑いそうになった。
(玲奈がまだ知らないのは…挿入の快感だけだからな)
「ごめんな…怖い?」
そういいつつ、城築はゆっくりと途切れなく指を動かしていた。相変わらず中は狭くて、入り口は固い。だけど奥にいくに従って、柔らかくぎゅうぎゅうと指を押しつぶしてくる。
「怖くはっ…んんっ…ない…けどっ…!」
指で奥の柔らかい部分を突くたびに、玲奈は声を震わせた。
「あっ…くぅっ…んんっ…」
だけれど必死に抑えようとしている姿がかわいらしい。何をそんなに頑張って、隠そうとしているんだろうか。こちらはそれが見たくて、頑張っているのに。
「先生っ、ほんと、もう、と、とめ、いったん止めてっ」
玲奈がそう叫んだので、城築はしぶしぶ止めた。
「ここは違うって言ってるのに」
「んっ…だ、だから」
玲奈が上半身を起こして築城を見た。下半身に力が入って、指の締め付けがきゅっと強くなった。城築は悪戯心で中で指を前後させた。
「あはぁっ…」
玲奈が息を飲んだあと、怒ってきっと築城を睨んだ。
「もう、いったん止めてって!」
怒った顔を久々に見た。でもそれも可愛い。築城は思わずその表情に見とれた。
「ごめんね…玲奈」
「先生…」
玲奈が唇をかみしめながらこちらをじっと見てきた。何かを言いあぐねているようだ。
「なんだ?」
その表情も可愛すぎて、入ったままの指を動かしたいのを、築城はぐっと我慢した。
「きょ、今日も…入れて、くれないの?」
小さな声で、絞り出すように言われたその言葉に、築城は耳を疑った。
「今…なんて言った?」
玲奈は困ったように目をそらした。
「き、聞こえてるくせに、もう一回言わせるの、やめてよ」
「いや…ちょっと意味がわからなくて」
「い…意地悪だよ、先生」
玲奈は怒って築城の肩を押しやった。しかし築城はその手をぎゅっとつかんだ。
「わっ」
「入れて、いいの?」
築城思わず、玲奈を凝視した。玲奈は息が上がっていて、ぎゅっと目をつぶって顔を反らした。が、次の瞬間、バチっと目を開けて築城を正面から見据えた。
「…ま、またいくんなら…せっ…先生、も」
自分の脊髄を、何かが駆け上がっていくくるような衝撃が走った。一瞬のち、築城は真っ白になるほど拳を握りしめた。
「せん、せい…?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
このままだと、やばい。自分を抑えようと逡巡する築城に対して、玲奈は目を細めて困ったように言った。
「だって…先生、前にもしたでしょ、なにをそんな、ためらって…ひゃっ」
にゅるっと指を引き抜いて、築城は玲奈を抱きしめていた。
「あの時とは、違うんだよ…」
玲奈の細い体が、今は熱を帯びていた。吸い付くようなその肌が、築城の肌に触れる。築城はぐっと唇を噛んだ。
(怖いんだ、また君に嫌われるのが。)
「先生、苦しい…」
「わ、悪い」
築城ははっとして腕を緩めた。玲奈の目が、築城を見上げていた。
「先生…私とするの、嫌になっちゃった?最初さんざん抵抗、したから」
築城は目を見開いた。
「あの時は…こわかった。でも今は…先生、入れてよ。私、今初めて…本当にしたいって…思ってるんだから。先生が、そう思わせたんだから、してくれなきゃ、困るよっ」
玲奈はどんと頭と拳を築城の胸にあてた。築城はやっとの事で言った。
「…そんな事言って…後悔、するなよ」
玲奈は顔を上げて、唇のはしを上げて笑った。久々の、玲奈らしい笑みだった。
「しない。だからそっちも手加減、しないで」
横たわる玲奈の足をそっと開いて、築城はその間に入った。玲奈が素直に足を開いているのは、信じがたい光景だった。
目は恥ずかしさに伏せられていたが、唇は開いて、期待を隠しきれていない。その表情を見るとまた、ぞくぞくと背筋に何かが走った。腰のものは、もはや炎のように熱く滾っている。
「先生…」
玲奈の目が、ついに意地を捨てて築城を見上げた。今まで強い意志も、理性も手放さなかったその目が、熱く蕩けて自分を見上げている。
(玲奈、玲奈…俺は…)
たとえ、それが一時のまやかしでも。彼女が快楽を求めるよう、自分がそう仕向けて狂わせたにしても。
この瞬間を、永遠に覚えておこうと築城は心に刻んだ。
「玲奈…っ」
彼女の入り口は、その目と同じに熱く溶けて、築城を受け入れた。
「はぁ…れ、玲奈…」
目を見かわすと、玲奈は手を伸ばして築城の頬を引き寄せ、自分からキスをした。触れるだけの軽いキスだったが、築城の身体はさらに熱くなった。
「俺…今ここで、死んでもいい」
「先生、大げさ…っあっ」
ぐっと腰を突き出すと、玲奈の顔が耐えるようにしかめられた。
「玲奈の中、熱いっ…今までで一番、熱い…はぁ、ダメだ、くっ…」
気を抜くと、すぐにいってしまいそうだった。ここ一番で、さすがにそれは情けない。築城は死ぬ気で我慢した。
「ぐっ…うぅ…っ」
「先生、だい、じょうぶ?」
築城は何とか笑って見せた。
「くっ…大丈夫、余裕、余裕」
そして再び、ゆっくりと玲奈の中に自分のものを進めた。
必死に我慢している築城を見ると、玲奈の中に今まで感じたことのなかった気持ちが湧いてきた。
(先生、そんな、我慢して…可哀想)
これは憐れみなのかな、とちらりと思ったが、玲奈の身体が自然に動いて、築城にキスをしていた。だけれど築城はさらに我慢して、手の平に爪の痕がくいこんでいる。
(余裕なんて…嘘ついて。先生って…)
可愛いところ、ある。いったんそう思うと、今までの事が次々と頭に浮かんだ。煙草の匂いを気にしたり、頬にキスするとたじろいだり、玲奈の料理を毎回写真を撮ったり…そんな他愛のない事ばかり。
(だけど…だけど結局大事なのって、そういう何気ない、どうでもいいような事だ)
いきなり愛も情も生まれない。毎日少しずつ、相手を思いやったり、笑いあったり、そんなやり取りを繰り返す事で、その人にとって唯一無二の大事な存在になっていくのだ。
築城はこの一か月、玲奈を大事にして、少しづつ玲奈も歩み寄っていけるようになった。
ここに監禁されなければ、こんな誰かに「大事にされる」事を経験することはなかっただろう。
「先生…」
玲奈は自分の上の築城を見た。動きながら、彼は苦しそうな顔をしていた。それなのにその動きは、玲奈に熱い快感を与える。
「も、もう、我慢、しない、で」
築城の目が、細められた。相変わらず苦しそうだった。
「私…気持ちいい、先生…っ」
「れ、玲奈…」
「だから…先生も、気持ちよくなって、ほしい…っ」
ずしんと、奥が突かれたのがわかった。そこからじぃんと痺れにも似た快感がはじける。
「あっ、ひっ、あああ、せ、先生っ…」
「れ、玲奈、玲奈っ…」
築城はただそう叫んでいた。本当にギリギリまで我慢していたんだ、と玲奈は思った。玲奈はぎゅっと築城の背中を抱きしめた。
「っ…!!!玲奈、あっ…」
築城が低くうめいて、その体に力が入った。そして玲奈をぎゅっと抱きしめ返した。しばし沈黙したあと、玲奈はささやくようにつぶやいた。
「先生…私たち、あったかいね」
玲奈の耳元で、何か水滴が落ちる感触がした。築城の肩が、かすかに震えていた。
「せん、せい?」
玲奈が顔を見ようとすると、築城は外側へ顔をそむけた。
「み、見ないでくれ…」
「大丈夫…?」
「みっとも、ないだろ…はは、こんなおっさんが、やった後に泣いてる、なんて」
築城は嘲るように言った。
「でも、嬉しいんだ、玲奈…俺、こんな…こんな良い目に会って、いいのかな。でも今なら、死んでもいい」
「先生、大げさだってば」
玲奈がそういうと、築城はやっと玲奈を見た。
「大げさなもんか。ここまで三年間だぞ。それも生徒…絶対、無理だと思った。自分を呪ったよ」
その声がまだ泣いていたので、玲奈は何も言えなかった。
「このまま俺は意味もなく、一人で生きて、死んでくんだろうって思ってた。でも玲奈を好きになって、それは強がりだったって思い知らされた」
「せ、先生」
「そうだよな、わかってる。こんな事したところで、俺は犯罪者だ。だけど…たとえ刑務所に入るとしても、ずっと死ぬまで一人でも…今玲奈とこうして繋がれたから、もういいんだ」
「そんな…先生、私…誰にも言わないよ。先生は、つかまったりしないから」
築城は玲奈を見て微笑んだ。泣き笑いだった。
「ありがとう。玲奈は…優しいな。俺、今まで生きててよかった。なんの意味もない人生だって思ってたけど…。玲奈を愛するために、俺は生まれてきたんだって、今わかった」
築城の涙を指で拭って、玲奈の口からよく知ったメロディがこぼれた。
「I was made for love me baby」
すると築城は、ははは、と笑いだして、くしゃっと目を閉じた。その目からまた涙があふれた。
「そう、そう…そうだな、玲奈…本当、玲奈は…」
あの時の事が、築城の脳裏に鮮やかによみがえった。進路調査票にペンを走らせる玲奈の真剣な横顔にはっとした。その瞬間魔法がかかったように、築城の心は弾んで熱くなった。
彼女を好きなのはもうわかっていたのに、見るたびに何度でも心は熱くなる。
だけど彼女をそんな目で見ている事を気づかれてはいけない。じりじりしながら、築城は窓の外を見て自分の気持ちをごまかしたのだった。
そして玲奈が自分の好きな曲を知ってる事がわかって、何かとてつもない奇跡が起こったような気がした。だが、いい先生の仮面をかぶって、その場では洋楽の話をした。
何度も聞いた歌の出だしが、築城の中で流れ始めた。
(Tonight I wanna give it all to you…)
涙を乱暴に拭ってから、築城は言った。
「…たとえ玲奈がいらなくても、俺のすべては、玲奈のものだ」
玲奈の輝く目が、築城を捕らえた。彼女は言った。
「先生、ありがとう。だからもう…泣かないで」
0
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーレムです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜
具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」
居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。
幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。
そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。
しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。
そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。
盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。
※表紙はAIです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる