【マフィア×元軍人】 狂犬を躾けたら、ピカピカの可愛い「愛犬」になったでしょ?

あすぱら

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【ハッピーバレンタイン】お誕生日ケーキ *

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 ​その日、屋敷は朝からどこか浮足立っていた。
 使用人たちがいつもより豪華な花の飾り付けをしたり、厨房から特別な料理の匂いが漂ってきたりする。
(ああ、そうか)
 今日はこの家の主人の誕生日なのだ。
 俺は他人事のようにそれを認識していた。
 ​だが、当の主役であるルシアンはパーティーの準備などには一切興味を示さなかった。彼は俺の手を引くと、二人きりで寝室に篭もってしまう。
「ねぇリオン、今日俺の誕生日なんだよね」
 ベッドに腰掛けた彼は期待に満ちた金色の瞳で俺を見上げた。
「だからさ、お前から最高のプレゼントが欲しいな」
​「……プレゼント?」
 高価な時計か、それともどこかの骨董品か。そもそもこいつ、欲しいプレゼントなんかあるのか? 自分で何でも買えるのに? だいたい俺に金なんか無いぞ。俺が内心でそう考えていると、ルシアンはとびきりの笑顔で答えた。
「ケーキが食べたいな! 誕生日ケーキ」
 ​その言葉の意味を俺が理解するより早く、彼はどこからか用意していた銀色のワゴンを押してきた。
 その上には、山のように泡立てられた真っ白な生クリーム、艶やかに光るチョコレートソースのポット、そして宝石のように輝く真っ赤な苺やベリー類が、まるでプロの作業場のように美しく並べられている。
「じゃーん! 実はもう準備してあるんだよね」
 ああ。なるほど。手料理か。
「……ケーキのスポンジなんか焼いたことないぞ、俺」
(パンケーキなら、こいつに教えられて焼けるようになったが、本格的なケーキの生地なんて作り方が分からんぞ。レシピを調べるところからか?)
 主人の誕生日のために、新しい「仕事」を命じられたのだと、俺は真剣に段取りを考えていた。
 ​すると、ルシアンは一瞬きょとんとした後、耐えきれないといった様子で腹を抱えて大笑いし始めた。
「あはははは! 違うよ、リオン! お前、ほんっと可愛いな!」
 彼は、笑いすぎて滲んだ涙を指で拭うと、俺に言った。
​「ケーキのスポンジは、お前だよ」
 ​その言葉に、俺は完全に思考が停止した。
「……は?」
 間の抜けた声しか出てこない。
 ルシアンは、そんな俺の反応に満足げに頷くと、無邪気に続けた。
「だから、ベッドに横になって、服脱いでくれる? 」
 俺はようやく、奴の意図を理解した。
「……本気か?」
 俺の口から、呆れ果てた声が漏れた。
​「もちろん本気だよ! だって俺の誕生日なんだから!」
 彼は、何の悪びれもなく、最高の笑顔で言い放つ。
 その純粋すぎる狂気を前に、俺は抵抗が無意味であることを悟った。
 大きく、これみよがしにため息をついてから、言われるがままに服を脱ぎ、ベッドに横たわる。
「ちゃんと仰向けでね! 俺の方を見てて。お前がどんな顔するか、見たいんだから」
 ​ルシアンは、パティシエが使うようなゴムベラを手に取ると、ボウルから真っ白な生クリームをたっぷりとすくい上げた。
「じゃあ、世界で一番おいしいケーキを作るから! まずはお化粧しないと」
 ひんやりとした、甘ったるい感触が、俺の胸の上にどさりと落ちる。そして、ルシアンがそれをゆっくりと塗り広げ始めた。
「…………ッ!」
 ​屈辱的だ。馬鹿げている。なのに、なんだ、これは。
 彼の指が、クリームを伸ばすために俺の肌の上を滑る。その手つきは、まるでマッサージのようで、ねっとりと、どこまでも丁寧だ。
 クリームの冷たさと、それを塗り広げる主人の手の温かさ、そして滑らかな感触。
 その奇妙なコントラストが、俺の調教されきった身体に、意図せずして微かな快感を引き起こした。
「……ぅ……く……」
 肌が粟立ち、呼吸が知らず知らずのうちに浅くなる。
 ​その変化を、この男が見逃すはずはなかった。
「あれ? リオン、もしかして気持ちいいの? クリーム塗られてるだけなのに。ほんと可愛いねぇ」
 彼は、俺の反応を面白がり、さらにゆっくりと、愛撫するようにデコレーションを続けていく。
「胸のここには、真っ赤な苺を飾ろっかな」 「あ、そうだ! チョコペンでお前の可愛いお腹に『Happy Birthday 俺!』って書いちゃおっと!」
 彼は、楽しそうに鼻歌を歌いながら、俺の身体にクリームを塗り広げていく。
 俺の身体はもはや人間ではなく、ただの「物」、ケーキの「土台」として扱われていた。
 全身が、甘い生クリームの匂いに包まれ、俺自身の肌の匂いが上書きされていく。
 彼はチョコレートソースで線を描き、ブルーベリーを飾り、銀色のアラザンをキラキラと散らす。
 俺は、自分の身体が芸術品のように、あるいはただの食材のように作り変えられていく様を、全て見せつけられていた。
 ​やがてデコレーションを終えたルシアンは、少し離れた場所から自分の「作品」を眺め、満足げに手を叩いた。
「できた! 世界で一つだけ、俺の特製ケーキ!」
 そして、彼は俺のすぐそばに顔を寄せる。
「それじゃあ、いただきまーす!」
 ​ルシアンは、まず俺の胸に飾られた苺を、クリームごとぱくりと食べた。その唇が、俺の素肌に直接触れる。
「……つっ!」
 チョコレートで肌に描かれた文字を、その熱い舌で、なぞるように消していく。
「……ん、ぅ……は、ぁ……ッ!」
 その行為は、単純な愛撫よりも、遥かに官能的に感じられた。
「んー、甘くておいしい。でも、ちょっとだけしょっぱい味がする」
 彼は、俺の耳元で囁いた。
「リオンの味だね。最高の隠し味だよ」
 俺は、彼の恍惚とした顔を間近で見ながら、「食べられて」いた。ありえないほどの屈辱と、クリームを塗られた時から続く甘い痺れ。身体を舐められる直接的な愛撫。
 その抗いがたい快感と、甘いクリームの匂いと味が混じり合い、思考が完全に麻痺していく。
「……ぁ、ああ……ッ! ん、ぅう……!」
 ​ルシアンの「食事」は、徐々に激しさを増し、単なる味見から、俺の身体そのものを貪る行為へと変わっていった。
​「……や、……やめ……!……ん、ぅううううッ……!」
 すべてを食べ尽くし、生クリームとチョコレートでべとべとになった俺を、ルシアンは満足げに抱きしめた。
「ごちそうさま!」
「今までで、一番おいしい誕生日ケーキだったよ。ありがと、リオン!」
 ​俺は、彼の腕の中で、言い返す言葉もなく。
 ただ、戸惑いから始まったこの異常な行為が、結局はいつものように、主人の快楽と俺の服従に行き着いたことを、蕩けた思考の中で受け入れるしかなかった。



■あとがき■
シーツがベッタベタになり後始末は大変だったが、ルシアン様大満足。
リオンにその後一日冷たくされたが、それも含めて、ルシアン様大満足。


読んでいただきありがとうございました!

バレンタインは何しても良い日だって聞いて…
まあそしたらお誕生日の話になってたし、バレンタイン過ぎてたんですけれども…

ルシアン様ハッピーバースデー!!!(やけくそ)
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