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霊体10×00葬:『生霊の総数(バイナリ)と、封印の硬貨の起源』
しおりを挟む 葬が光の中に消え、残されたのは真っ白に色が抜けた「十円玉」が一枚。
古民家の空気は凍りつき、メインサーバーは、主(ホスト)を失った悲鳴のようなアラートを鳴らし続けている。
「……あいつ、本当に自分のOSごと心中しやがった。……馬鹿な男」
栄花 千怨(えいか ちおん)は、もはや占い師の艶やかな仮面を被ってはいなかった。
乱れたシャツの襟元を掴み、剥き出しの「雄」としての眼差しで、手の中の硬貨を睨みつける。千怨は知っている。葬というシステムが完全にデリートされるまで、まだ数秒の「猶予(レイテンシ)」があることを。
「葬。お前の領域(エリア)には、誰一人ログインさせないと言ったが……。……俺だけは別だ。力ずくでこじ開けさせてもらうぞ」
千怨は、自身のスマホを葬のサーバーへ直結させた。
彼がこれまで「鑑定料」として客から巻き上げてきた莫大な電子マネー……それは、金などではなく、純度の高い「人間の欲望エネルギー(パケット)」。
千怨はそれを、自分のOSを触媒にして、葬が消えた「十円玉」の隙間へ一気に流し込んだ。
千怨の周囲に、黒い火花が散る。
彼が行っているのは、占いではない。葬の深層意識(ルート)への、物理的な強制介入(ハッキング)だ。
「俺の占いが『未来を予約する』ものだと言っただろう? ……。お前が消える未来なんて、俺は一行も書いてねぇんだよ!」
千怨が吼えると、十円玉が真っ赤に熱を持ち始め、古民家の空間が歪んだ。
彼の意識は、現実の境界を越え、葬の記憶の深淵――『00葬』へとダイブしていく。
ノイズの嵐を抜けた先、千怨の目に飛び込んできたのは、現代の古民家ではない。
三十年以上前、まだアナログな空気が漂う、雨の日の神社。
そこで一人、泥だらけの十円玉を握りしめ、自分という存在を消し去ろうと「コックリさん」にログインしようとしている、幼い頃の葬の姿だった。
「……見つけたぜ、葬。……お前の『起源(バグ)』は、ここか」
千怨の背後に、これまで封印してきた「生霊」たちの怨念が再び蠢き出すが、彼はそれを片手で握りつぶし、幼い葬の背中へと手を伸ばす。
現在の千怨の肉体からは血が噴き出し、葬のサーバーは過負荷で発火し始めている。
それでも千怨は、死神のような冷徹な笑みを浮かべ、歴史という名のソースコードを書き換えにかかった。
「起きろ、葬。……お前の管理者は、俺だ」
【霊体10×00葬 System Injected... Accessing the Core】
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