それは、恋でした。

むう

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夏合宿

2-5

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side悼矢



沙奈ちゃんに帽子を被せた時、沙奈ちゃんの上目使いの顔がやけに可愛く見えた。



逃げるように、裕大の所に戻った俺。


横目で沙奈ちゃんの姿を見ると、すでに歩いていて遠くにいた。




「なぁ、裕大」


「ん~?」

「例えばさ、まだあったばっかりの子が可愛く見えたり、心配でしょうがないって思ったりするのってさ、どうよ?」

「それって、沙奈の事?」



もう、腹が減ってしょうがなかったのか、裕大は弁当を食いながら言う。


俺はそれに呆れながら、裕大と向かい合うように座る。




「・・・まぁ、そうなんだけど、よ・・・」



「―俺、沙奈の事すんげぇ可愛いと思うよ!世界中の誰よりも沙奈が一番!飯も、沙奈の飯が一番上手い!んで、どうしようもなく沙奈の事心配になる!!」



これでもかって言うくらいの満面の笑みで言う裕大。



…何か、話がかみ合ってない気がすんだけど。



―こいつに聞いた俺が馬鹿だったか?




「だからさ、お前もそうなんじゃねぇ?」

「そうって、何がそうなんだよ?」



米粒1つも残すことなく大上げた裕大は弁当箱を片づける。





「だぁかぁら!俺と同じで大切で、大事な妹みたいに思ってんじゃねぇかってこと!」





妹…?



俺が、沙奈ちゃんを妹って思ってるのか?



確かに裕大と同じような事を思ったりしてっけど、それは妹みたいに可愛がってたからって事か―?




けど、そうじゃないような、なくないような…






「裕大さ、沙奈ちゃん見てドキドキする事ある?」




「あるある!沙奈可愛いから!」




「じゃ、沙奈ちゃんの笑顔見たりすっと自分も笑顔になったりする?」




「するする!沙奈可愛いから!」





てことは、俺は今まで沙奈ちゃんの事を自分の妹みたく思ってたのか。


なんだ、そんな悩む事なかったじゃねぇか。



俺は、兄貴と姉貴と、3人兄弟で、いつも優しくしてもらってた身だから、俺もこんな優しい兄ちゃんになって見たいと、叶わぬ願いを願ってたっけ。



だから、沙奈ちゃんのような危なっかしい子を見てると守ってやりたくなる。



つい、手を差し伸べてしまうんだ。





「てか、何でそんな話を俺にしたん?」


「あ?ちょっと気になっただけ。」


「悼矢にも気になる事なんだな(笑)」

「なんだよそれ!?俺だって気にする事ぐらいあるし。お前がいつ脱走するか心配で…」


「だからしねぇって!!」




「さぁどーだか。」





「信用しろって!おい、聞いてんのかよ!!悼矢ぁぁ!!」
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