それは、恋でした。

むう

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夏合宿

2-8

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side悼矢



午後5時。やっと、初日の部活が終わった。


初日から結構練習きつかったな。


汗でグッショリになってしまった練習着をパタパタと仰ぐ。




「じゃ、合宿所戻って、風呂入ってから夕食だからな!」


「うぃーっす・・・」



疲れて、返事もろくに出来ずよたよたしながら合宿所へ戻る。


そんな中、裕大だけは疲れた顔を見せず、ウキウキしていた。




「疲れてねぇのかよ?」

「えー!?全然!」





その答えに、周りの奴らは嘘だろー?と叫んでいた。

元々、人並み以上の体力はあるしな。



けど、こんな炎天下の中やってんだから疲れるだろ、普通。




・・・・あ、そうか・・・




こいつ、次に待ってんのが上手い晩飯だからか。




「飯のために、よく動けんな…すげぇと思うよ」


「俺は、沙奈の飯が食えるなら何でも出来んの!!お前らも食べてみたら絶対そう思うって!明日になったら絶対頑張ろうって気になるって!!」



「マジかよー!?」


「マジマジ!!」



「裕大がそこまで言うなんて、期待大ありじゃん!!」



さっきまで、ヘトヘトであんま話さなかった奴らが裕大の話を聞いて練習前の元気を取り戻していた。


こいつが言うと、皆信じるからなぁ、


だからキャプテンを任せられてるわけだけど。


裕大の言葉には、何故か元気が出るような、勇気づけられるようなものがある。




相談をすれば真剣に答えてくれるし、一緒に悩んでくれる。



俺が初めて裕大と会った時の印象は、五月蝿い奴とか馬鹿っぽい奴とか、あんまりいい印象は持っていなかった。



でも、話せば話すほど、印象とは違う奴だった。




男女仲よく付き合うし、自分の意見ははっきり言うし、しかも馬鹿じゃなかった。




まぁ、沙奈ちゃんの話をするときの裕大は今でも五月蝿いし、若干変とは思うけど。


そんな裕大だから、皆に好かれてキャプテンに選ばれたんだ。
周りのムードも変えられる。

あいつがいつも元気にしてるのはそのためなんだと、最近の俺は思ってる。




「悼矢ー!?お前歩くの遅いってー!!」

「悪ぃ悪ぃ」

「早く風呂入ろうぜ!めっちゃ腹減ってんの!!」

「わぁたって」

「なぁなぁ、お代わりいいんかな!?」

「俺に聞くなよ…」




夕飯をかなり楽しみにしてるのは分かるけど。



裕大は今にもスキップしそうな勢いで合宿所に入って行く。



そんな裕大を見ながら俺は不覚にも笑ってしまった。


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