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夏合宿
2-16
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***
「悼矢ー!!!」
午前の部活の長い休憩の時、俺にタオルとドリンクを真っ先に俺に持ってくる渡邊。
夏合宿が始まってから、渡邊が俺に話しかけてくる事が増えて来た。
「ん、サンキュー」
「今日も暑いね!沢山水分取ってね!」
「おー」
木陰に腰を下ろして居た俺の隣に座る渡邊。
水道場の方に顔を向けると沙奈ちゃんが他の奴らにタオルとかを渡している。
ホント、働きもんだよなぁ。
最近1人で居る時、何かしら頭に浮かんでくるのは沙奈ちゃんで。
渡邊の話が全く入ってこない。
「先輩!」
「あ、沙奈ちゃん」
沙奈ちゃんの声が聞こえて、俺は思わず飲んでいたスポーツドリンクを吐きそうになる。
「どうしたの?」
「お昼の事なんですけど、お蕎麦を作ろうかと思いまして…大きいお鍋ってありますか?」
汗を拭いながら話している時に、沙奈ちゃんの後ろに裕大と准がいた。
ニヤニヤしながらホースを持っている。
「ちょ、裕大…」
「へ、?」
俺の言葉に、沙奈ちゃんが後ろを振り返ると思いっきり水を被った。
その行動に俺は唖然としてしまう。
裕大と准はケラケラと笑っている。
「もー!濡れたじゃない!」
「こんなに暑い日は水浴びが一番なの!沙奈が倒れたら大変だからさー!」
「あたしはそんな事頼んでない!!准くんもずっと笑ってないでよ!」
3人のやり取りを見ていて俺は笑う。
だんだん部の雰囲気にも慣れてきた沙奈ちゃんは、色々な表情を見せるようになった。
裕大の前では特にだけど。
「悼矢も水浴びー!!」
気を抜いていた俺は、裕大に水をぶっかけられた。
「、おい!」
「あたしにもかかったじゃない!」
「まぁまぁ・・・」
俺はタオルで髪の毛を拭く。
目の前に居る沙奈ちゃんは髪をタオルで拭かず裕大と話している。
「ね、悼矢タオル貸し・・・」
俺は立ち上がって沙奈ちゃんの髪の毛を拭く。
突然の出来事で吃驚したのか、後ろを振り返ってくる。
「わ!すいません!!」
「風邪引かないようにな。」
「は、はい!」
「ちょい!タオルくらい俺持ってるし!沙奈、悼矢の使わんで、俺の使え!」
「はいはい、ありがとうね」
俺は裕大が持っていたタオルを使う。
裕大はお前じゃない!!とキレていた。
「あたしの事は心配してくれないの?」
俺はすっかり忘れていた。
渡邊の存在を。
「わ、悪い。お前も濡れちまったんだよな、」
「そーだよ!タオル貸してもらおうとしたのに」
「う、あ!すいません!先輩使ってください」
沙奈ちゃんは俺が貸したタオルを渡邊に渡した。
俺は渡邊に渡して欲しくなかった。
「お前、渡邊に渡したら自分ないじゃんかよ」
「あ。」
「・・・たくよ、ドジ、マヌケ、タコ」
「タコは余計だよ!」
呆れた顔をしながら、准は沙奈ちゃんにタオルを渡す。
それが当たり前なのに、ムカついた。
笑ってありがとうと准に言っている沙奈ちゃん。
その時、俺の心は何故か酷く苦しくなった。
俺、何を考えてんの?
准は中学の時から沙奈ちゃんの事を知ってて。
沙奈ちゃんは中学の時から准の事を知ってて。
2人が仲良くておかしくない筈なのに、俺は何がそんなに気に食わないんだ?
仲よくて羨ましい、のか?
いや、違うー…
「悼矢どーしたー?」
嫌なんだ。
沙奈ちゃんに触れている准の事が。
「顔、洗ってくる」
「お、おい!」
俺は自分がムカついた。
こんなことでムカムカしている自分に、無償に腹が立った。
「悼矢ー!!!」
午前の部活の長い休憩の時、俺にタオルとドリンクを真っ先に俺に持ってくる渡邊。
夏合宿が始まってから、渡邊が俺に話しかけてくる事が増えて来た。
「ん、サンキュー」
「今日も暑いね!沢山水分取ってね!」
「おー」
木陰に腰を下ろして居た俺の隣に座る渡邊。
水道場の方に顔を向けると沙奈ちゃんが他の奴らにタオルとかを渡している。
ホント、働きもんだよなぁ。
最近1人で居る時、何かしら頭に浮かんでくるのは沙奈ちゃんで。
渡邊の話が全く入ってこない。
「先輩!」
「あ、沙奈ちゃん」
沙奈ちゃんの声が聞こえて、俺は思わず飲んでいたスポーツドリンクを吐きそうになる。
「どうしたの?」
「お昼の事なんですけど、お蕎麦を作ろうかと思いまして…大きいお鍋ってありますか?」
汗を拭いながら話している時に、沙奈ちゃんの後ろに裕大と准がいた。
ニヤニヤしながらホースを持っている。
「ちょ、裕大…」
「へ、?」
俺の言葉に、沙奈ちゃんが後ろを振り返ると思いっきり水を被った。
その行動に俺は唖然としてしまう。
裕大と准はケラケラと笑っている。
「もー!濡れたじゃない!」
「こんなに暑い日は水浴びが一番なの!沙奈が倒れたら大変だからさー!」
「あたしはそんな事頼んでない!!准くんもずっと笑ってないでよ!」
3人のやり取りを見ていて俺は笑う。
だんだん部の雰囲気にも慣れてきた沙奈ちゃんは、色々な表情を見せるようになった。
裕大の前では特にだけど。
「悼矢も水浴びー!!」
気を抜いていた俺は、裕大に水をぶっかけられた。
「、おい!」
「あたしにもかかったじゃない!」
「まぁまぁ・・・」
俺はタオルで髪の毛を拭く。
目の前に居る沙奈ちゃんは髪をタオルで拭かず裕大と話している。
「ね、悼矢タオル貸し・・・」
俺は立ち上がって沙奈ちゃんの髪の毛を拭く。
突然の出来事で吃驚したのか、後ろを振り返ってくる。
「わ!すいません!!」
「風邪引かないようにな。」
「は、はい!」
「ちょい!タオルくらい俺持ってるし!沙奈、悼矢の使わんで、俺の使え!」
「はいはい、ありがとうね」
俺は裕大が持っていたタオルを使う。
裕大はお前じゃない!!とキレていた。
「あたしの事は心配してくれないの?」
俺はすっかり忘れていた。
渡邊の存在を。
「わ、悪い。お前も濡れちまったんだよな、」
「そーだよ!タオル貸してもらおうとしたのに」
「う、あ!すいません!先輩使ってください」
沙奈ちゃんは俺が貸したタオルを渡邊に渡した。
俺は渡邊に渡して欲しくなかった。
「お前、渡邊に渡したら自分ないじゃんかよ」
「あ。」
「・・・たくよ、ドジ、マヌケ、タコ」
「タコは余計だよ!」
呆れた顔をしながら、准は沙奈ちゃんにタオルを渡す。
それが当たり前なのに、ムカついた。
笑ってありがとうと准に言っている沙奈ちゃん。
その時、俺の心は何故か酷く苦しくなった。
俺、何を考えてんの?
准は中学の時から沙奈ちゃんの事を知ってて。
沙奈ちゃんは中学の時から准の事を知ってて。
2人が仲良くておかしくない筈なのに、俺は何がそんなに気に食わないんだ?
仲よくて羨ましい、のか?
いや、違うー…
「悼矢どーしたー?」
嫌なんだ。
沙奈ちゃんに触れている准の事が。
「顔、洗ってくる」
「お、おい!」
俺は自分がムカついた。
こんなことでムカムカしている自分に、無償に腹が立った。
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