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恋?
3-5
しおりを挟むside沙奈
お昼の御飯の支度をしようと部屋から出た時、家のチャイムが鳴った。
・・・誰だろう・・・?
「はーい」
パタパタと階段を駆け下りてドアを開ける。
そこにはお兄ちゃんと、准くんが立っていた。
「よっ」
「あ、れ?部活だったんじゃ…」
お兄ちゃんはエナメルバックバックを放ってあたしに抱きついてくる。
え、え・・・!?
「練習中もこんな調子でさ。顧問に帰されちゃってんやんの、こいつ」
准くんはお兄ちゃんの頭を軽く叩く。
理由は何となく分かった。
今朝のあたしの発言。
あの後、何であんな事を言ってしまったんだろうと酷く後悔したの。
部屋を出て行くお兄ちゃんの顔がいつまでたっても離れなくて。
「なぁ、」
「何…?」
「訳くらい、俺に話してよ。誰にもいわねぇ。つか、聞く権利くらいあるっしょ?」
お兄ちゃん、言ってないんだ。
そのくらい、あたしがマネージャー辞めるのが嫌だったのかな…
「外暑いから、中に入って・・・?」
とりあえず、准くんを家の中に入れて、今朝の事を話す事になった。
家の中に入っても、お兄ちゃんはあたしから離れようとはしなかった。
「おい、裕大。沙奈ちゃんお前がくっついてて大変そうだぞ?」
「・・・っせー・・・」
「いいの、准くん。あ、でも着替えてきなよ。汗かいたでしょ?」
「―ん・・・」
名残惜しそうに離れて部屋に着替えに行く。
あたしは准くんに麦茶を出して椅子に座る。
「で、何があったの?」
「ー実は・・・」
あたしは、准くんに今朝の事を話した。
話している最中にお兄ちゃんも2階から降りてきて、あたしにくっついて離れなかった。
准くんは、何も言わずただあたしの話を聞いて、頷いていた。
話終わると、准くんはあたしに質問をする。
「沙奈ちゃんがマネージャーをやりたくない理由ってあんの?」
「えっ??」
「だってよ、それしか考えられねぇよ。裕大は続けて欲しいって言ってんのに、マネージャーをやりたくねぇなんて…」
ドクンドクンと脈が打つ回数が速くなる。
渡邊先輩が、悼矢さんに話しかけたり、一緒に笑ってたりしてる姿を見たくない。
それがあたしの1番の理由だ。
だけど、そんな事言えない。
「べ、別に・・・何もない、よ・・・?」
自分でも、相当動揺しているのが分かる。
准くんの顔なんてまともに見れないくらいに。
「・・・だったら俺たちが、お前を、必要としているのなら、またマネージャーをやってくれるって事だよな?」
「准、く「そうなんだよな?」
准くんの熱い眼差しに、体が固まってしまう。
「―帰る前に、これだけは言っとく。」
エナメルバックを持って椅子から立ち上がる。
あたしは准くんを見上げるような感じで顔を見る。
「少なくとも、俺と裕大は、サッカー部に沙奈ちゃんが必要だって思ってるから」
准くんはそう言ってじゃぁと手を振って帰っていく。
あたしは准くんの背中を見ている事しか出来なかった。
あたしが必要だと言ってくれた時の准くんの言葉に、あたしの胸は高鳴った。
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