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幸せへの準備
その後はナターシャと祝杯をあげ、お兄様には離婚に合意してもらった旨を急ぎ手紙にしたためて届けさせた。細かい交渉はお兄様と弁護士とでやってもらうつもりだ。
(……そういえば、弁護士の秘書にも連絡しないと!)
セシリア様と、弁護士の秘書にも同様に手紙を書き急ぎ知らせた。
数日後、セシリア様からは離婚が成立したらまたレッスン再開しましょうと連絡がきた。また、弁護士からは契約書をもらい次第、連絡が欲しいと秘書経由で連絡があった。
私とナターシャは荷造りに追われ、1日でも早く実家に戻れるように作業に没頭した。
(……そういえば、ローザンヌ様はお元気かしら……)
実家に戻ったら一度会いに行きたい。
如何せん、侯爵家に来てから特に購入した目新しいものもなく、嫁入りに持参したものを片付けるのみだ。
(……しかし、愛されてないわね、私……。まあ、可もなく不可もない私だからお飾りに丁度良かったのよね……)
ちなみに、社交すら必要なかったくらいだ。
実家に戻り、離婚が成立したら婚活をしなくては……。
(いつまでも、伯爵家のお荷物でいるわけにいかないわ……)
貴族令嬢としては失格な私。
(……でも、私はやっぱり無理でしたわ……)
お兄様、セシリア様には再婚相手の打診もしている。初婚ではないため良い相手が見つかるかは分からないし、今度は相手を良く知ってから結婚するならしたいと思っていた。
「ナターシャ、明日には出発できそうね。伯爵家から馬車の手配をお願いできるかしら?」
あとは、侯爵家で良くしてくれた使用人たちにお別れをするのみだ。
「ミザリア様、使用人用の餞別も準備完了です」
贈り物よりもお金がいいだろうと準備していた。ナターシャから小さな巾着がたくさん入った袋を預かる。
「ありがとう。では、一人ずつ、呼んできてもらえる?」
使用人が代わる代わる部屋を訪れ、離婚すること。世話になったこと。これからも侯爵家をもり立てて欲しいと告げた。
と、とあるメイドに挨拶した時だった。
「……奥様、失礼ながら……離婚の原因は、旦那様のその……愛人の存在ですか」
貴族令嬢スマイルが危うく崩壊しそうな程の衝撃だった。
(……メイドですら知っていたのかしら?)
好奇心が勝り、メイドに質問してみることにした。
「……そんな噂があるのね……。ところで、どこで聞いたのかしら?」
メイドはしまった、という表情を浮かべ、平謝りする。
「……あくまで噂です……。旦那様、奥様と結婚前から王宮に行かれる特定の日にオシャレされていて……。王宮に恋人がいる、と屋敷内では噂になっていて。おまけに、時々プレゼントを手配されるんですが……その……」
「…私は今更言わないから大丈夫よ」
「……プレゼントを手配したメイドが言うには、その……。いつも男性物だと……」
私はもう堪えきれず笑ってしまった。
(お、オズワルド様!あなたは馬鹿なんですか?!)
知らぬはもはや本人だけかも知れない……。
「ありがとう、正直に話してくれて。ただ、噂話は屋敷の外ではしないでね」
「……はい、承知しております。それで奥様……」
「何かしら?」
「……あの、もし何かあれば私を雇って下さいますか」
思わず、ぷすっとまた声が漏れてしまった。
(いけない、いけない……。でも、こういう素直なメイド、嫌いじゃないわ)
「ええ。もし再婚できたら……。ナターシャに連絡してみて」
メイドの観察力、恐るべしだった。
◇◇◇
その日の晩餐後にオズワルド様に時間を頂き、最後の挨拶に向かった。
「……オズワルド様、短い間でしたがお世話になりました。明日、伯爵家に戻ります。荷造りは完了しましたが、気になるようでしたら執事に確認させて下さいませ」
「……明日か。分かった。書類はなるべく早く送ろう」
「……ありがとうございます。それと……。本日、使用人に餞別を渡させて頂きました。ただその時に……。離婚の原因は、王宮にいる男の愛人のせいか、と聞かれましたわ。もしかしたら、屋敷の者は存じてるのかもしれません。一応、お伝えしておきますね」
オズワルド様の顔色が青くなったり、白くなったり。最後に楽しいものを見せてもらった。
私と離婚することで、噂が更に独り歩き……するかも知れませんけどね?
(……そういえば、弁護士の秘書にも連絡しないと!)
セシリア様と、弁護士の秘書にも同様に手紙を書き急ぎ知らせた。
数日後、セシリア様からは離婚が成立したらまたレッスン再開しましょうと連絡がきた。また、弁護士からは契約書をもらい次第、連絡が欲しいと秘書経由で連絡があった。
私とナターシャは荷造りに追われ、1日でも早く実家に戻れるように作業に没頭した。
(……そういえば、ローザンヌ様はお元気かしら……)
実家に戻ったら一度会いに行きたい。
如何せん、侯爵家に来てから特に購入した目新しいものもなく、嫁入りに持参したものを片付けるのみだ。
(……しかし、愛されてないわね、私……。まあ、可もなく不可もない私だからお飾りに丁度良かったのよね……)
ちなみに、社交すら必要なかったくらいだ。
実家に戻り、離婚が成立したら婚活をしなくては……。
(いつまでも、伯爵家のお荷物でいるわけにいかないわ……)
貴族令嬢としては失格な私。
(……でも、私はやっぱり無理でしたわ……)
お兄様、セシリア様には再婚相手の打診もしている。初婚ではないため良い相手が見つかるかは分からないし、今度は相手を良く知ってから結婚するならしたいと思っていた。
「ナターシャ、明日には出発できそうね。伯爵家から馬車の手配をお願いできるかしら?」
あとは、侯爵家で良くしてくれた使用人たちにお別れをするのみだ。
「ミザリア様、使用人用の餞別も準備完了です」
贈り物よりもお金がいいだろうと準備していた。ナターシャから小さな巾着がたくさん入った袋を預かる。
「ありがとう。では、一人ずつ、呼んできてもらえる?」
使用人が代わる代わる部屋を訪れ、離婚すること。世話になったこと。これからも侯爵家をもり立てて欲しいと告げた。
と、とあるメイドに挨拶した時だった。
「……奥様、失礼ながら……離婚の原因は、旦那様のその……愛人の存在ですか」
貴族令嬢スマイルが危うく崩壊しそうな程の衝撃だった。
(……メイドですら知っていたのかしら?)
好奇心が勝り、メイドに質問してみることにした。
「……そんな噂があるのね……。ところで、どこで聞いたのかしら?」
メイドはしまった、という表情を浮かべ、平謝りする。
「……あくまで噂です……。旦那様、奥様と結婚前から王宮に行かれる特定の日にオシャレされていて……。王宮に恋人がいる、と屋敷内では噂になっていて。おまけに、時々プレゼントを手配されるんですが……その……」
「…私は今更言わないから大丈夫よ」
「……プレゼントを手配したメイドが言うには、その……。いつも男性物だと……」
私はもう堪えきれず笑ってしまった。
(お、オズワルド様!あなたは馬鹿なんですか?!)
知らぬはもはや本人だけかも知れない……。
「ありがとう、正直に話してくれて。ただ、噂話は屋敷の外ではしないでね」
「……はい、承知しております。それで奥様……」
「何かしら?」
「……あの、もし何かあれば私を雇って下さいますか」
思わず、ぷすっとまた声が漏れてしまった。
(いけない、いけない……。でも、こういう素直なメイド、嫌いじゃないわ)
「ええ。もし再婚できたら……。ナターシャに連絡してみて」
メイドの観察力、恐るべしだった。
◇◇◇
その日の晩餐後にオズワルド様に時間を頂き、最後の挨拶に向かった。
「……オズワルド様、短い間でしたがお世話になりました。明日、伯爵家に戻ります。荷造りは完了しましたが、気になるようでしたら執事に確認させて下さいませ」
「……明日か。分かった。書類はなるべく早く送ろう」
「……ありがとうございます。それと……。本日、使用人に餞別を渡させて頂きました。ただその時に……。離婚の原因は、王宮にいる男の愛人のせいか、と聞かれましたわ。もしかしたら、屋敷の者は存じてるのかもしれません。一応、お伝えしておきますね」
オズワルド様の顔色が青くなったり、白くなったり。最後に楽しいものを見せてもらった。
私と離婚することで、噂が更に独り歩き……するかも知れませんけどね?
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