焼き肉ファイター

今居 勇気

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決戦!焼き肉食べ放題

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 これは大学の講義中の出来事である。

ちょうど5時限目の講義で、そう時間でいうと17時15分ぐらいで何というかお腹がすく時間なのである。だから、少し耳をすませてみると……
「なあ、この後ご飯食べに行かない?」
「え~、どうしよっかな~」
「なあ、今居いいじゃん食べに行こうよ~」
なんて聞こえてくるのである。
それは俺たちのグループも例外ではなく……
「この後なんかパーっとやらないか?どうせ来週はテストが連チャンで遊べないんだしここで景気付けにいっぱい!」
と言っているのが俺たちのグループのムードメーカー的存在の斎藤である。
「マジで!?明日も授業なんだしやめておこうぜ」
なんて真面目ぶっているのが中島である。
「別に俺は行っても構わないよ」
と基本的に賛同してくれるのが清水である。
「じゃあ、焼き肉とかにする?おれ安くて飲み放題、食べ放題のお店知ってるんだ」
と提案を膨らますのが俺こと中村である。
「焼き肉か…」
と少し渋る中島。そこに
「いいじゃん、焼き肉!」
と賛同する。斎藤と清水
「そんなに渋るなよ、中島。行こうよ焼き肉」
と斎藤が言うと
「わかったよ、焼き肉行くよ」
「よし、これで今日は焼き肉で決まりだな!たくさん食べるぞ~」
授業中だから静かな声で言う斎藤に俺が
「もちろん斎藤さんが全員分奢るんでしょ?」
なんてさん付けで少し嫌味っぽく言うとすぐさま
「奢るわけないでしょ」
と素早いツッコミが入るが、急に清水が何か思いついたのか不敵な笑みをこぼしながら
「何なら1番焼き肉を食べられなかった人が奢りっていうのはどうかね?」
そして立て続けに俺に
「その焼き肉屋って1人いくらするの?」
と聞いてくる。そして俺は少し震えながら
「1人3500円で4人で14000円です」
と言うと、もはや悪魔なんじゃないかという表情で
「14000円なら結構面白いな。よし、それでいこう。4人の中で1番食えなかったやつは全額分を支払ってもらう」
反論は許さないといった目つきで俺たちを見てくる。
そう、清水はこういった食べ放題、カラオケ、ボウリングなどは負けたやつに奢らせるなんてことを大抵する。しかし、今回は値段が値段なだけに俺たちは……
「どうするよ?」
「どうするもこうするも、こうなった以上やるしかないだろ」
と斎藤と中島が話しているところに俺が
「なら勝てばいいんじゃない?清水が負ければ俺たちはタダで食えるわけだし、あいつが負ければこういったことをしなくなるかもしれない」
「確かに」
と2人が賛同するが、急に俺の方を見てきて
「でも、この中で1番食えないのはお前だぞ!」
とまた2人同時に言われる。
う~ん、ご明察だ。そうこの中で1番食えないのは俺なのだ。しかし、俺は
「今日の俺は一味違う、今日はたくさん食える日なんだ」
と根も葉もないこと言いそして
「むしろこの中で1番食えるのは俺だと今日は証明してやるよ」
なんて大きな声で言ってしまった。
「じゃあ、今日は期待してるぞ」
なんて心にもないことを2人に言われ、そして清水にも聞かれていて
「それは楽しみだ、せいぜいその小さな胃袋で頑張ってくれよ」
と嫌味ったらしく言われた。
俺は心の中で絶対にたくさん食ってやると固い決心をした。
そこに斎藤が
「じゃあ、まず食べ放題のルールを決めようぜ」
ルール?なんて思いながら斎藤の話を聞く。
「焼き肉って言っても、肉以外にも食うわけだからその食べ物に対してポイント制でいかないか?」
「ポイント制?」
俺を含めて3人が首を傾げる。
「例えばカルビだったら1ポイント、塩キャベツだったら0.5ポイントみたいな形で最終的にポイントが少なかった人が奢りっていう形なんだけどどうかな?」
「いいんじゃない、その方がわかりやすい」
すぐに清水がいうと中島も賛成する。俺ももちろん賛成だ。
「じゃあ、みんなで料理のメニューをみてその料理が何ポイントか決めよう」
「ちょっと待って今メニュー欄出すから」
そして少しして、俺が
「はいよ」
とメニュー欄をみんなに見せる。
「よし、早速始めるぞ」
と仕切る斎藤
「じゃあまずはおつまみだ」
おつまみのメニューは、やみつき塩キャベツ、冷奴、ナムルの盛り合わせ、韓国のり、枝豆、ポテトサラダになる。
「やみつき塩キャベツとポテトサラダは1点で他が0.5点でいいんじゃないか?」
と清水が言うとみんながうなづく、どうやらこれは賛成のようだ。
「続いて、キムチなわけだがこれは0.5点で大丈夫か?」
とすぐにいいみんなも賛成。案外スムーズに決まっていく。
「次は七輪おつまみ、ようは網で焼いて食べるやつだ」
メニューは厚切りベーコン、ソーセージ、ハッシュドポテト、コーンバターなわけだが、
「これどれもおんなじ感じだし1点でよさそう」
と俺が言うと
「厚切りベーコンは少し悩むがまあ1点だな」
笑って斎藤が言う。他の2人も悩んだがしぶしぶ賛成といった形だ。
「次は野菜だが、サンチェはノーカンで焼き野菜は1セットで1.5点はどうだろうか?」
これも妥当だしみんなも賛成である。
そして本題の肉になるのだがこれは思ったよりあっさりと決まる。
「特に分厚そうな肉もないし全部1点だな」
「そうだな」
「確かに」
「せやな」
といった形で決まってしまったのだ。
そしてご飯、スープ系も全て1点で例外でごはんの小が0.5、中が1、大が2、特大3、超盛りが5となった。
その他のデザート並びにドリンクはそれぞれ0.5点となり全てのメニューに点数分けができた。
と同時にチャイムがなり授業が終わった。

ここからは戦場である。小学生が考えたようなネーミングになるが「決戦!焼き肉食べ放題」と言ったところだろうか。
俺たちは今から客として焼き肉屋に行くのではない。1人の焼き肉ファイターとして俺たちは焼き肉屋に向かうのだ!!

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