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その頃韓媛は先程の場所にずっと隠れたままでいた。そして何とか兵に自身の住居に攻め込まれることがないよう、必死で祈っていた。
(もう!この剣もどうして全く反応がないのよ!!)
父の円から渡されたこの短剣は、相変わらず何の反応もない。
「ここからだと、遠くて家は余り良く見えない。でもとりあえず兵はまだ動いてなさそうね」
韓媛がそんなことを思っている丁度その時だった。
韓媛の住居から何やら黒い煙が立ち上がっているのが見える。さらに家も燃え始めているようで、その火もだんだんと大きくなっているようだ。
「え、家が燃えてるわ!!もしかしてお父様はまだ家の中にいるのでは?」
韓媛は何やら凄く嫌な予感がしてきた。
もしかすると、彼女の父親はこのまま焼き殺されてしまうかもしれない。
(お父様が死んでしまうなんて、そんなの絶対に嫌よ!!)
韓媛はすぐさま立ち上がり、家に戻ることにした。家の前には沢山の兵がいるがもうそんなことはどうでも良かった。それよりも自身の父親が死んでしまう方がよほど恐ろしい。
そして韓媛は必死で走って家へと向かった。
そしてやっとの思いで家の前までたどり着くと、彼女は家の前で大泊瀬皇子が立っていることに気付く。また彼も韓媛の姿を見てとても驚いた。
「か、韓媛!お前が何故ここにいるんだ」
韓媛はそんな大泊瀬皇子の言葉には全く気にもせず、自身の家を眺めた。
「お、お父様は無事なの?」
「葛城円は眉輪を引き渡すのを拒み、自身の家に火を付けたようだ。どうやら眉輪と一緒に自害するつもりらしい」
大泊瀬皇子は何とも複雑な表情をしながら彼女に説明した。
そんな彼の表情を見る限り、恐らく彼自身もこんな展開は望んではいなかったのだろう。
「そ、そんなことって……お、お父様が」
このままでは父親は死んでしまい、このまま会えなくなってしまう。韓媛はそんな後悔はしたくないと思った。
すると彼女は覚悟を決めて、すぐさま家の中に向かうことにした。
そんな彼女の様子に気が付いた大泊瀬皇子は、慌てて彼女をとめにかかる。
だがあと一歩のところで間に合わず、彼女の腕を掴みそびれてしまう。
そして韓媛の方はそのまま家の中へと入っていった。
「韓媛、中に入るなー!!」
大泊瀬皇子は大声で彼女に向かってそう叫んだ。だがその声は彼女に届くことはなかった。
大泊瀬皇子は衝撃の余り、その場に座り込んでしまう。
「う、うそだろ。あいつがこの燃え盛る炎の中、家の中に入っていってしまった……」
そして皇子はそんな彼女が向かっていった先を、ただひたすら眺めるほかなかった。
葛城円の家はなおも激しく燃え盛っている。他の兵達もそんな状況にどうしたら良いか分からず、皆唖然とその光景を見ていた。
(もう!この剣もどうして全く反応がないのよ!!)
父の円から渡されたこの短剣は、相変わらず何の反応もない。
「ここからだと、遠くて家は余り良く見えない。でもとりあえず兵はまだ動いてなさそうね」
韓媛がそんなことを思っている丁度その時だった。
韓媛の住居から何やら黒い煙が立ち上がっているのが見える。さらに家も燃え始めているようで、その火もだんだんと大きくなっているようだ。
「え、家が燃えてるわ!!もしかしてお父様はまだ家の中にいるのでは?」
韓媛は何やら凄く嫌な予感がしてきた。
もしかすると、彼女の父親はこのまま焼き殺されてしまうかもしれない。
(お父様が死んでしまうなんて、そんなの絶対に嫌よ!!)
韓媛はすぐさま立ち上がり、家に戻ることにした。家の前には沢山の兵がいるがもうそんなことはどうでも良かった。それよりも自身の父親が死んでしまう方がよほど恐ろしい。
そして韓媛は必死で走って家へと向かった。
そしてやっとの思いで家の前までたどり着くと、彼女は家の前で大泊瀬皇子が立っていることに気付く。また彼も韓媛の姿を見てとても驚いた。
「か、韓媛!お前が何故ここにいるんだ」
韓媛はそんな大泊瀬皇子の言葉には全く気にもせず、自身の家を眺めた。
「お、お父様は無事なの?」
「葛城円は眉輪を引き渡すのを拒み、自身の家に火を付けたようだ。どうやら眉輪と一緒に自害するつもりらしい」
大泊瀬皇子は何とも複雑な表情をしながら彼女に説明した。
そんな彼の表情を見る限り、恐らく彼自身もこんな展開は望んではいなかったのだろう。
「そ、そんなことって……お、お父様が」
このままでは父親は死んでしまい、このまま会えなくなってしまう。韓媛はそんな後悔はしたくないと思った。
すると彼女は覚悟を決めて、すぐさま家の中に向かうことにした。
そんな彼女の様子に気が付いた大泊瀬皇子は、慌てて彼女をとめにかかる。
だがあと一歩のところで間に合わず、彼女の腕を掴みそびれてしまう。
そして韓媛の方はそのまま家の中へと入っていった。
「韓媛、中に入るなー!!」
大泊瀬皇子は大声で彼女に向かってそう叫んだ。だがその声は彼女に届くことはなかった。
大泊瀬皇子は衝撃の余り、その場に座り込んでしまう。
「う、うそだろ。あいつがこの燃え盛る炎の中、家の中に入っていってしまった……」
そして皇子はそんな彼女が向かっていった先を、ただひたすら眺めるほかなかった。
葛城円の家はなおも激しく燃え盛っている。他の兵達もそんな状況にどうしたら良いか分からず、皆唖然とその光景を見ていた。
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