口が悪くてスミマセン。

osho

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春の始まりの季節編

斬れない人

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「ふわぁーー、行ってきます。」




「行ってらっしゃい桜、気をつけてね。」







私はおかあさんに見送られ今日は早い時間に登校している。





なぜなら昨日課題のプリントを学校に忘れていたからだ。





「眠たいなぁ。」





通学路は学生の姿がちらほら見えるが、朝練の部活の人がほとんどだろう。






(もう少し遅くてもよかったかなぁ。)













学校には思ってたよりも早く着いた。





「はぁ~~、早く課題終わらせて少し寝るか。」








こんな早い時間じゃ誰もいな………。

















「………って、あれ?」





教室には明かりがついていた。






部活動の生徒は部室を使っているだろうし。








(………誰がいるんだろう?)















教室には同じクラスメイトの松白まつしろ君がいた。






「あ、おはよう桜。今日早いね。」






「おはよう松白君。昨日課題のプリント忘れちゃっててさ。」







「あっはっは!俺も俺も。そういえばさ…………。」








私の性格を知っていて朝から爽やかに話してくれる松白君なのだが、






正直言うと苦手なのである。






良い人で誰にでも好かれてるのは間違いないとは思うけど、






誰にでも良い人過ぎて、逆に何というか……………。










(まぁ、とげのある私と真逆だから勝手に嫉妬してるだけなんだけど。)











あれこれ考えていると、いつの間にか松白君は隣の席にきていた、






「…………、そういやからもう一年ぐらいだっけ?」



「あの時、桜凄かったもんな!」






笑顔で話す松白君の『あれ』とは、まぁあの事件のことである。







「悪かったね、凄くて。私は松白君みたいにできないから。」







私自身、困っているのである。






「いやいや、俺は桜の事尊敬して言ってるんだよ。誰にでもおくせず物を言えるなんて俺もできないからな。」







誉められているのか、馬鹿にされているのか………。







「俺にもそうやってストレートに物を言ってくれるのも桜ぐらいしかいないもんだって。」












と、話す松白君の顔が急に真面目な顔になった。





「なぁ、桜?」








「な、なに?」



私は身構える。




















「付き合ってくれない?」


















衝撃的な一言だった。








「え?本気で言ってるの。」









「うん、本気。」



そう言って私の目を見つめる松白君の目は嘘のないまっすぐな目だった。








(あぁ、これも苦手な理由なのかもしれない。)







斬っても、斬れない。







まるでみわたる水みたいな。











「え、いや………でも…『ガシャー!!』





私は動揺しすぎて、机の上の筆箱をぶちまけてしまった。







「あ、俺拾うよ、」







「いや、いいよ私が拾うから。」







そういって手を伸ばしたとき、お互いの手が触れてしまった。









「わっ!ご、ごめん。」







私はそう言ってすぐ離そうとしたが、松白君が離さなかった。












「ちょっと!松白君?」






つかんだまま松白君は黙って私を見つめる。







私は強引に手を振りほどこうとしたら松白君が覆い被さるようになってしまった。








私は頭の中が真っ白になってしまった。








「わっ!桜ごめん、怪我なかった?」






松白君もようやくそんな私に気付き離れようとしたが遅かった…………。








廊下から聞こえてきた
「さ~く~ら~ちゃん、ノートみ~せて。」
という、聞き覚えのある能天気な声がするとともに、教室のドアが開かれてしまった。












教室の窓から見える太陽も何だか、そんな状況を笑っているかのように明るくなっていた。






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