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夏の合宿編
夏の合宿に向けて
しおりを挟む各クラスで班決めが行われてからというものの、それをキッカケに周りは夏合宿の話題でもちきりである。
桜海新聞でも夏合宿についての記事が多く見られるようになった。
廊下側の特等席の私もそれについて聞かれる。
「………で、今の心境は?」
私は春野ちゃんに返答を求められる。
「特に無いです。」
春野ちゃんはつまんなそうにする
「もぉ~、記事にならないじゃないですか。」
「記事にしなくていいって!」
席替えして松白君の隣になって以来ずっとこの調子だ。
まぁ、まだ松白君がいない時に聞かれるだけマシではある。
「なんだか桜さん大変そうですね。そんな前途多難な桜さんの今後の運勢を私が占ってあげますわ。」
そういって振り向くのは高校生占い師の星宮ちゃんだった。
星宮ちゃんは夏合宿を過ごす同じ班の一人だ。
「あなたは、星宮さん!………ぜひ、桜さんの今後の運勢を占ってあげてください。」
と言って、春野ちゃんは興味津々で星宮ちゃんに話しかけている。
(星宮ちゃんの占いか……………。)
噂じゃよく当たると聞くし、私も気になるな…………。
星宮ちゃんは私の右手をとり、目をつむっている。
何かをブツブツと呟いているが良く聞き取れない。
それから少ししたら、星宮ちゃんは目を開けて結果を告げた。
「……荒々しい気候の中を突き進む船が見えました。しかしその船にはコンパスも無く地図も無く、どこに向かっているのか?といった感じでした。」
荒々しい気候?
きっと私の人生のことだろう。
確かにこの高校生活はここ最近どうなるか分からないものになってきている。
「はぁ~~~~。」
星宮ちゃんに告げられた事によって、私のこれからのさらなる苦労は現実味をおびてきた。
そんな憂鬱な気分になりそうな私とは裏腹に、楽しそうな春野ちゃんがいる。
「ありがとうございます星宮さん。おかげで良いことが聞けました。それでは!」
そういって春野ちゃんは何処かへ去っていった。
占いの結果を聞いて、肩を落としている私に星宮ちゃんは励ましてくれた。
「桜さん大丈夫です!あんな気候の中進める船なんですから、強く生きていればきっと良い結果に巡り会えますわ。」
確かに星宮ちゃんの言うとおりだ。
悪い事をいつまでも嘆いても意味はない。
「そうだね、ありがとう。」
私は星宮ちゃんの占いの結果を教訓に気持ちを切り替える。
(どんなことが待ち受けてても絶対に負けないぞ!)
と、一人心の中で誓った。
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