口が悪くてスミマセン。

osho

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夏の合宿編

合宿2日目ー『トリ』の指名

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元の場所に戻ってみるとビーチフラッグスは終わったにもかかわらずまだ多くの人が集まっていた。








何かあるんだろうか。














「あ、やっと見つけた。」







吹雪と星宮ちゃんが私達の方へやってくる。









「松白君、先生が探してたよ。」








「え、俺?」







松白君は驚いている。









「ほら、表彰式があるらしいから呼んでるんじゃないの?」







「え!あぁ……。じゃあ、ちょっと行ってくる。」










そういって松白君は先生達のいる方へと向かった。








表彰式なんてあるのか。








意外とちゃんとしたイベントなんだな。














松白君が先生達の所へ行ったのを確認して、吹雪が話しかける。







「………で、さくらはデートしてたの?」








「デ、デートじゃないって。」








「ほんとうにぃ?」










な、何か話しをそらさなければ。







「そんなことよりさ、何でわざわざ表彰式なんてあるんだろうね。」








「そりゃあるよ。だって、大事な『指名』があるんだから。」










あ、試合に熱中してすっかり忘れていた。







このイベントの目的を…………。









吹雪は話しを続ける






「それで、この表彰式で『あの勢也君は誰を指名するのか』で大騒ぎってわけ。」







「な、なるほど。」









だから試合が終わってもこの大騒ぎなのか。












「あ、そろそろ始まるようですよ。」







星宮ちゃんの言うように、メンバーが揃い準備が整ったらしく簡単にではあるが表彰式が始まった。







先生の話しから始まり、上位に入った人達が一言ずつ話す。








「今回は負けてしまったが、今度ある体育祭では挽回できるように頑張りたい。」






笹山君は相変わらず真面目だなぁ。








周りからも「真面目か!」と、つっこまれている。







でも、それが彼の信頼される所の一つなのだろう。










「ビーチフラッグスが楽しめて良かったです。」








松白君も普段の明るい感じで話している。








何はともあれ良かった。












そして、この表彰式のメインである彼の番になる。












「……楽しかったです。」








そうは言っていたが、全く楽しそうには見えなかった。










(1位になったらもっと喜んで良いと思うんだけどなぁ。)








そう思ったが、彼なりの考えがあってのことだろう。


 






みんなは改めて大きな拍手を送る。















そして表彰式の最後の時間になった。








つまり皆が待ちに待った指名の時間である。








「誰を指名するのか?」という単純な疑問だが、それだけにみんなは盛り上がる。













「………よし!勢也。お前が肝だめし一緒に周りたいやつを連れてこい。」








(指名じゃないのかよっ!)








そんなことを思ったが、先生の一言で迎えに行くことになった彼。









ビーチは大騒ぎ。












「迎えに行くなんてステキですね。」







星宮ちゃんの言うように、少しロマンチックな感じではある。








お姫さまを迎えに行く王子様と言ったところだろうか。












勢也君はキョロキョロと誰かを探している。









彼女さんか、それともバスケ部のマネージャーとかだろうか。















(………ん??)










一瞬、彼と目が合う。










(まぁ、たまたま目があっただけだろう。)









そんなことを思っていた矢先、彼は歩き出す。









前にいる人達を無視し彼はひたすら歩く。













そう、一直線に私達の方に。










(まぁこのまま通りすぎて行くだろう。)










そんな能天気なことを考えていた私だったが……。









その時、私はある言葉を思い出した。

















『これ貸しにしとくね。』









(ま、まさか。)










「ちょ、ちょっと私トイレに行ってくる。」















「待って。」








そういって立ち去ろうとした瞬間、彼に腕を掴まれ引き止められる。









「………よろしく。」











彼らしい短い一言だったが、私はその意味を理解するのには時間がかからなかった。






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