口が悪くてスミマセン。

osho

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夏の合宿編

合宿2日目ー肝だめし前に②

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私の予感は的中する。








「染井さんには、これを着て肝だめしに参加してもらうわ。」










部屋に飾ってある花柄のついた赤い着物、それは思わず見とれてしまうほど綺麗なものだった。









「わ~~、今年もまた綺麗な着物ですね。」








「さくらがこれを着るのかぁ。」









「さくらさんなら似合いますわ。」










春野ちゃん達は目を輝かせている。









「今年もまた桜海のOBとOGの方々のご厚意で立派なものを用意してもらったのよ。」









「でも、何でまた着物なんて着るのですか?」








私は先生に質問する。









「最初は着物なんて着てなかったらしいけど、ある時『桜海の大事な伝統行事だから』と、用意されるようになったらしいわ。」











(へぇ~~、凄いなぁ。)








って、これを私が着るのか。








私は見るからに高そうな着物を着るということに少し他人事になっていた。
















「じゃあ後は肝だめしの時のお楽しみってことで。」







そういわれ春野ちゃん達は先生に帰された。













そして先生と二人になる。







「でも、まさか染井さんが着ることになるなんてね。着物の着方は分かる?」









「い、いえ、分からないです。」








着物を着てる人は見たことはあるけど、自分で着ることはあまりないから分からなかった。











「分かったわ。そしたら先生が教えていくわ。」








こうして先生の指導のもと着付けをしていく。











浴衣もあまり着たことなかった私には新しく感じる。

















「染井さん指名されて良かったわね。やっぱりうれしい?」









「…………。」











正直私は答えることが出来なかった。








彼と話したのも昨日が初めてである。







そんな彼が何で私を指名したのかは分からなかったが、勢也君のことを慕ってる他の人達が選ばれた方がよかったのではないか…………。












それに………。









「何か聞いちゃいけないこと聞いちゃった?ごめんね。」







先生は申し訳なさそうに謝ってくる。









「いえ!気にしないで下さい。………ただ、私はもっと他にふさわしい人がいたんじゃないかなって思って。」







自分の気持ちを正直に話した。








すると、先生が優しく話してくれた。








「そんなことないわ。あの子がバスケのこと以外で、あそこまで本気でやる姿はあまり見たことなかったから先生達も凄い驚きだったのよ。」





「だから、きっとそれだけ染井さんに対して何か思うことがあるのだと思うわ。」









(私に………対してか。)



















そして着替え始めて、一時間ほど経ったころ………。









「目開けていいわよ染井さん。」










先生に言われ目を開くと、別人のように変わった自分がいた。







まるで魔法にでもかかっているようだ。








「凄いですね!変身しちゃったみたいです。」








「うふふ、それは良かったわ。」








先生の技術の高さにも驚きだが、あまりにも慣れない姿に鏡の前で少しボーッとなっていた。















「………さて。」






いつの間にか先生は道具を片付けていた。









「じゃあ肝だめしもそろそろ始まりそうだし行きましょうか。」








「………えっ!?」












そうだ、この姿で私はみんなの前に出なくてはいけないのか。









そう思うと少し緊張してきた。













「大丈夫よ。染井さんは綺麗たがら恥ずかしがることなんてないわ。」









そういって先生は私の手を握って緊張をほぐしてくれた。










そうだ恥ずかしがってどうするんだ。








選ばれたからにはキチッとやらないと。








それに勢也君にはいろいろ聞かなくてはいけないことがある。












(よしっ、頑張るか。)









私は先生と肝だめしの集合場所へと向かう。








そして、いよいよ肝だめしが始まるのだ。






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