【R18】ハッピーラッキーユー 〜好きな気持ちを伝える前に、処女を捧げてしまいました!〜

はこスミレ

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ほとり編

(8) 気の周り過ぎる友人を持つということ後編

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「木実ちゃんや、お腹空いてないかい?」
しゃがれ声で話しかけて来る灘くんに、笑いながら返す。
「おじいちゃーん、お腹空いたー!」
「いいところに連れて行ってあげようねえ」
「待って、いいところって言い方怖くない?太らされて食べられちゃいそう。」
「ヒィッヒッヒィ!」
「悪い魔女だ!!」
「お前を蝋人形にしてやろうか!」
「違う、閣下だったー!」
「はい、着きました。」
グリーンに覆われた可愛らしい外観、中に入るとキャラクターのモチーフをあしらった、ポップでキュートな内装だった。
食事も、キャラクターのモチーフがメニューになっていて、どれも可愛い。
「迷うー!可愛いー!これにするー!」
「迷ってない!」
自分で選んでトレーに載せてお会計。空いている席に座った。

「ん!美味しい!」
ハート型のハンバーグがジューシーです。
「ほーとりちゃん、一口ちょうだい」
急に名前を呼ぶからドキッとした。可愛いから一口でも二口でもあげるわ。
ハンバーグをフォークに刺して、灘くんのお皿に載せようとすると、その手を取ってそのまま口に運ばれた。要するに、あーんをしたことになる。
「うまい。肉汁がジュワーってする。」
私、今確実に顔が赤いと思われます。足をジタバタしてしまいそう。
「はい」
灘くんがエビフライを口元に持ってきた。
「エビフライだよ?!いいの?」
「好きでしょ。」
「ありがとう」
顔赤いままパクっといただいた。えびプリプリで美味しいです。思わずニヤける。
灘くんも満足そう。
「木実、楽しい?」
「うん、ハッピーって感じ。」
「そっか、俺も。」
どちらともなく、エヘヘと笑い合った。


レストランを出ると、目的地があるのか一直線にどこかへ向かう。
移動中、ずっと手を繋いでいる。
荷物を出したり、アトラクションに乗ったりして手が離れちゃったけど、どのタイミングで繋ごう…とか考える前に、灘くんがごく自然に手を取ってくれていた。
あーもう、好き。好きが止まらない。今日よ終わらないでって感じ。

「木実、ベンチ座って。」
「あ、うん。どしたの?休憩?」
「ここね、並ばなくてもパレード見られる穴場。ちょっと距離あるけど。」
「さすが、灘くん。博士じゃん。」
「いや、嗜んでるだけ。本気の人と比べたら大したことない。本気の人は、何時間も前に並んで良い席で見るからね。」
ライトに楽しむタイプの私に、合わせてコース選んでくれてるんだなぁと思って、じんわり嬉しくなった。
「ほら、来たよ。」
灘くんの指先を見ると、ちょうどキャラクターがフロートに乗って、ファンサービスをしている。
「可愛いー!あ、そういえば、キャラクターに逢いに行かなくていいの?」
「これ見たら行こうか。」
「うん。」
そよ風に吹かれながら、咲き乱れる花壇に囲まれたベンチで、のんびりパレードを眺めていた。

キャラクターに逢いに、その子のお家に遊びに来た。
一つ一つの家具や小物が凝っていて、見ているだけで楽しい。
スタッフさんに呼ばれてお部屋の中に入ると、ピョンピョン跳ねて迎え入れてくれるウサギのラビがいた。
ここ、ラビの家だったんだ。
通りでニンジンやウサ耳モチーフの小物が多かったわけだ。

「ラビ、お友達が遊びに来てくれたよ!」
スタッフさんが紹介してくれると、ラビは嬉しくてたまらないと、抱きしめてくれた。
灘くんもラビとハグして、肩を組んで、なぜか左右に揺れ始めた。
待って、2人が可愛い。可愛すぎる。
「お姉さん、写真撮影できますよ。」
スタッフさんがニコニコ教えてくれたので、灘くんとラビをバッシャバシャ撮った。
最終的に、3人で肩を組んで写真撮影して退室した。

「可愛すぎた…なにこれ」
「思ったより良かったでしょ」
「うん、楽しかった。あと灘くんが可愛かった。」
「俺のことはいいよ。写真撮りすぎだし。」
「あとで送ってあげるね!うん、グループメッセージに送るわ。見せびらかそう。」
「やめろ。」

時間になったので、ミニショーを見にシアターへやってきた。
15分くらいの上映時間でも、エンターテイメントが凝縮された内容で、思わず涙していた。
歌やダンス、ラビ達の友情、夢、希望、そういう純粋でキラキラしたものがたくさん詰まっていた。
「すごく良かったー感動したー。ショーって良いね。」
ハンカチで涙を拭きながら、灘くんを見上げた。
眩しそうな顔をしている。
「俺、小学生の時に、このショー見て、ここが大好きになったんだよね。で、一緒にダンスしたいって憧れてたんだ。」
まぁ、ダンサーにはならなかったんだけどね、と照れ笑い。
「みんながハッピーになれる、素敵な場所だね。」
「うん、だから誘ってくれて嬉しかった。末さんにもお礼しなきゃ。」
「そうだね、末ちゃんに良いお土産買って帰ろっと。」
あと、お母様には菓子折りお渡ししよう。

ふと、携帯電話の画面を見ると。
「あ、末ちゃんからメッセージ来てる。」
「タイミング良いね。」

『ほとり、灘川と楽しんでるかーい?
末ちゃんサプライズ、喜んでもらえたかな?もちろん、下着持参してるよね。
夜は存分にイチャイチャしてくれたまえよ。
こっちは、天候も良くて良い登山が出来たよ。写真送ります。
告白、頑張れ!』
添付画像は松田くんが頂上でグッタリしている写真だった。

そうだったわ…告白するために誘ったんだったわ。
楽しすぎて忘れておった。

「木実、変な顔してるけど、末さん炸裂してんの?」
「あーうん、山登り楽しかったみたい。松田くんの写真送られてきた。」
「そういえば、松田に登山行くって言われた気がする。仲良いよね、あの2人。」
「んね。」
私達も、負けじと仲良いと思うんですけど、どうですかね?灘川くん。
とは言えず、ニコニコ笑っておいた。
「あのさ、明日の着替え、買いに行かない?遅くなるとお店混むからさ。」
「うん、そうだね。行こう!」

ショップが集まっているエリアの一角に、アパレル専門店がある。サイズもデザインも様々あり、アイテムも各種揃っている。
「俺は…インナーとパンツと靴下があればいいかな。」
「私は、上下セパレートでもいいけど、ワンピースがあるといいなー。灘くんのは、私が選んで進ぜよう。」
「じゃあ、木実のは俺が選ぶ。それぞれ選んで、10分後に集合ね。」
「任せて。」

なんにしよっかな。
総柄シャツとかいいよね。灘くん、ラビが好きみたいだし、全部ラビで合わせても可愛いかも。アメリカンサイズだから、灘くんはMサイズが丁度いいのかな。
パンツと靴下売り場もウロウロ。
灘くんが私の服選んでくれるなんて思わなかったから、どんなのになるか楽しみだしワクワクする。


3アイテム持って行くと、既に灘くんが待っていた。
「お待たせー。」
「もっと時間かけてて良かったのに。ピョコピョコ探してる姿が面白かったから眺めてたかった。」
「悪趣味!」
灘くんは楽しそうに笑った。
ちょっといじわるなとこが、グッと来ちゃうんだけど。私はMなのかもしれない。
「木実セレクト見せて。」
「はーい、私はこれでーす。」
ラビのコミカルなイラストが散りばめられている総柄の黒地Yシャツ。ラビの足跡がついている黒地のボクサーパンツ。ラビの顔のシルエットがワンポイント入った白いソックス。

「おー、これはこれは。…俺がボクサー派ってよく分かったね。」
一気に顔に血が集まる。
「それは…灘くん家で見たから…」
「木実のえっち!」
いたたまれなくて、ポスポスと灘くんの腕を叩く。
イテテ、と言いながら笑っている。
「灘くんセレクト見せてよ!」
「はいはい。俺たち気が合うね。」
灘くんが背中から出したのは、私が選んだのと同じシャツだった。
ただし、Lサイズ。
「オーバーサイズだから、木実ならワンピース丈になると思って。まぁ……いわゆる彼シャツってやつ。」
照れて目線をそらしてる。
ときめき過ぎて胸が苦しい…灘くんの願望を委ねられたってことですよね、着ます。
「うへへ、ありがとう。」
鏡を見ながらYシャツを体に当てると、丁度裾が膝丈だった。
「似合う?」
「うん」
長いペチコートも持って来ているから大丈夫だけど、ちょっとセクシーになるかも。

「それ貸して」
木実セレクトと灘川セレクトをスッと手に取って、そのままレジに行ってしまう。
「えっ、私買おうと思ってたのに!」
「俺のだからいいの。」
どんどん精算されてしまい、あっという間にショッパーに包まれた。
「自分の分は自分で買うのに。」
「俺が選んだからいいの。」
「なんなのー!何にも買えない!」
「まぁ、俺の願望を着てもらうわけなんで、そこはお金出させてもらわないと。」
「はい…」
願望って…言うなら性癖ってことですよね。
お互い照れて、しばらく無言になった。

「クマの歌、聞きに行こっか。」
「うん。」

クマは混雑しておらず、好きな位置の4人掛けに2人で座れた。
椅子に余裕があるのに、お互いピタッと寄り添うように隣合って、手も繋いだまま。
灘くんの体温が伝わってくる。
クマがあちこちから登場して歌い出す、優しい音色を聴きながら、そっと灘くんを見つめた。
やっぱり好きだなぁ。
今日こそちゃんと思いを伝えよう。


シアターを出て、のんびり連れ歩く。
「灘くん、分かったよ。クマの歌は、ゆっくりできるから、両親は休憩してたのかも。」
「俺もそう思う。ちょっと眠くなったし。」
「癒されるよね。」
ふふふ、と笑い合いながら、ストリートを散歩しているみたいな雰囲気。
アトラクションでキャッキャするのもいいけど、こうやって歩くのも楽しい。

「夕飯のリクエストある?なければ、ホテルのレストランバーは、オシャレという情報を得ています。」
「そこにしましょう。」
「バーから、夜のパレードも見られるみたいだよ。」
「見るー!」
「じゃあ、ホテルチェックインしに行こうか。」

ギュッと手をつなぎ直して、ホテルへ向かうことにした。


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