【R18】みだりに近づかないでください!

はこスミレ

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「光流くんも?」
「下心しか見えない」
「…倫音、恋は下心だよ。みんな倫音と一発やりたいんだよ」
「キモすぎて無理。ゆうくんみたいに、紳士じゃないと無理」
「ハードルが高い」
 そこを妥協するのは絶対に無理だ。だったら顔を妥協する方が早い。
「だから、人は顔じゃないんだって」
「美少女に言われても説得力がない。じゃあ、顔は大したことなくても、下心がなくて紳士で誠実だったら良いの?」
「そうなりますね」
 灯里はグッと伸びをして脱力した。
「じゃあ、光流くんにそう伝えよう」
「何でそんなに推すかなあ」
 いまいち灯里の気持ちが読めない。
 じっと顔を見ていると、気まずそうに目を逸らした。
「頑なな斎藤くんを誘導する為に、光流くんに手伝ってもらいまして…」
「私を売ったのか」
「売ってない!売ってないよ!ただ、倫音の好きな男のタイプとか、好きな食べ物とか、趣味とか知りたいって」
「ふーん。隠してる訳じゃないし、それくらいなら良いけど」
 あからさまにホッとした様子で、灯里は胸を撫で下ろした。
「気が向いたら光流くんと喋ってあげて。下心あるけど、どんな人かちゃんと知らないでしょ」
「灯里の為に一回だけ話すよ、デートはしない」
「デートはダメ!」
「付き合わせたいのでは?!」
「先に、男装した状態で私とデートして!」
「いやしないわ」
 ジタバタして残念がる灯里を見ていると、階下から夕飯の声掛けがあった。
「夕飯できたっぽいよ」
「ごちそうになります!」
 二人でリビングへ下りて行くと、既に勢揃いしていた家族と一緒に、やっぱりお洒落イタリアンが並ぶ食卓で舌鼓を打った。父親の料理は美味しいので、元要と灯里はおかわりをして、大いに父親を喜ばせていた。

 私にとって男の人は、どうしても初恋の彼になってしまう。失恋しているし、今は良きお兄さんとして甘えているから、それ以上はないけれど。っていうか、家族ぐるみで付き合ってるから、奥さんとも仲良いし。
 私が美し可愛いのは世界が認める事実で、そこに注目してしまうのは仕方ないことだ。
 でもそれだけじゃなくて、私を私として見てくれる人と、恋に落ちたい。
 いっそのこと、灯里が男だったら良かったのに。そしたら全部解決したのに。
 どうにもならないことをグズグスと考えて、私は眠りに落ちた。

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