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しおりを挟む灯里にメッセージを送ると、既読がついた瞬間に着信が鳴った。
「ちょっと!!倫音!!私がいない間になにこれ?!」
「なにこれって言われても」
灯里が喜びそうだし、とりあえず今日のことを端的に簡潔に送った訳だけれど、こんなに食いつくとは思わなかった。
「絶対、運命じゃん!」
「えーそれはないっしょ」
灯里は少女漫画の読み過ぎだ。
「やだあ、どうしよう!私の倫音が…!どこの馬の骨とも判らぬ男に…!」
「星野とくっつけようとしてたのは、どこの誰?」
「それはそれ、これはこれ。あれは貸しを作りたくなかったからね!って言うか、今日行かなきゃ出会わなかったから、それも含めて運命じゃん!」
くっつけたいのか、取られたくないのか、少女漫画脳が忙しそうだ。
「しかも、元要くらい顔が良かったんでしょ?!」
「いや、はじのグループにいそうだなって言っただけだよ」
「それ、倫音の中ではかなりの褒め言葉って分かってる?」
「はじの方が顔良いから」
母方寄りのため私よりもスッキリしているけれど、確実に父方の血が混ざっていて、体型も含めるとバランスが良い。父と違って、性格面から来る雄っぽさもあり、まだデビューしていないのにメンズ向けファッションサイトのモデルをしている。
そう、元要は男性向けでも戦える逸材なのだ!
「はいはい、ブラコン分かりました。で、何で連絡先聞かなかったの?!」
「えっ、聞く必要ある?」
「あるでしょ!顔が良くて紳士なら、交換しておいて損はないでしょ!倫音を相手に断る男がいると思う?!」
ものすごい偏見だ!
私の外見が最高なのは仕方ないにしても、人には好みがあるんだから、断られることもあるだろう。
いくら相手の外見が良くても、会ったその日に連絡先を交換させられるなんて、いい迷惑だ。と、私は思う。
「別にそこまで必死じゃないし」
「私は倫音とダブルデートしたいのー!」
「えー…いや、いいわ」
ふう、とため息をついてベッドに寝転がる。
「とりあえず、この人のことはハナくんと呼ぼう」
呼び名がついた。
「あれかな、飼ってる犬の名前とかなのかな」
「あー!ありえるよね!とっさに呼ぶとして出て来やすいし」
「あとは、仲の良い女友達とか」
「えー、どうかな…普通そういう時って仲良い子の名前は使わないでしょ」
言われて考えてみる。
知らない女の子が変なやつに絡まれそうな時…
「灯里が嫌な目に合うみたいで、呼ばないかも」
「でしょ?っていうか、倫音って私のことめっちゃ好きだよね」
「灯里には負けるよ」
「そうでしょうとも!」
とても嬉しそうな灯里は、ハナくんに対しての妄想を繰り広げ、満足してから通話を切った。
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