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しおりを挟む「すごい、プラネタリウムみたい」
「さっき、はじと見つけたんだけど、はじが眠いってママの所に戻っちゃったんだよね」
だから、ひばがいて良かったと、にっこり笑った。
その瞬間、俺の頭に流れ星が落ちてきた。
「りんねちゃん、また遊んでくれる?」
誘わずにはいられなかった。できることなら、ずっと毎日遊びたい。
「ひばなら、いいよー!」
特別だと聞こえた。俺なら、遊んでもいいと、そう彼女は言ったのだと思った。
それから、しばらく四阿で過ごし、パーティー会場へ戻ると、大人たちは帰り支度を始めるところだった。
「日晴、帰るぞ」
俺を見つけた父親が、手招きをしていた。
帰りたくなかった、名残惜しかったけれど仕方ない。
「りんねちゃん、またね」
「またねー!」
ブンブンと手を振って笑う顔が、ずっと頭から離れなかった。
それから、何度もパーティーに連れて行かれたけれど、りんねちゃんに会うことは無かった。
またねって言ったのに、遊ぼうねって約束したのに。
俺は悲しくなって、父親に尋ねた。
「あの日は芸能関係者が多かったからなあ。確か父親と名刺交換したような…ああ、俳優の娘だよ」
テレビで見たことないし、全然知らない人だったけれど、俺の父親は知っているらしい。どうにか会えないかと頼んだが、無理だった。
「諦めろ、日晴。もうすぐアメリカに行くんだから。向こうでも友達はたくさんできる」
父親の言葉に、今までで一番ガッカリした。
それからすぐに渡米し、10年近く向こうで過ごしたけれど、頭の片隅には、ずっと笑ったりんねちゃんが住んでいた。
誰を見ても、何を話しても、あの日の流れ星を超える現象はなかった。自分でも、囚われすぎていると思う。小さな子どもの頃の思い出なのだから、宝物としてしまっておけばいい。
初めて恋人ができた時も、彼女の笑顔がチラついて何もできずに、アッサリ振られてしまった。
これじゃあまるで、雛鳥と同じだ。
父の事業拡大も成功し、日本へと戻ることになった時、心のどこかで期待があった。
また、彼女に会えるんじゃないかって。
今、彼女がどこで暮らしているのか、父親の情報を探れば早々に見つかった。
人類にインターネットを与えるのは早過ぎた。バカが横行するせいで、彼女が危険に晒されるじゃないか。
彼女は、元気だろうか。キラキラと流星みたいに輝いて、笑っているだろうか。
会いたい。
きっと俺のことなんて覚えていないだろうけど。
そして、俺は雛鳥を卒業する。
彼女に会えたら、きっとこの枷も外れるだろう。
そんな希望は、一瞬で消え去った。
夜の公園で、流星群が降ってきたのだ。
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