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しおりを挟む三度目のリアルな彼女はすごかった。
怒って、笑って、俺の腕を抱きしめた感触に、彼女の生を感じた。
あの幼い日と同じで、りんねちゃんは強くてかっこよかった。
でも、その笑顔を翳らす存在は許せないから、絶対に君の世界を守るよ。
まずは、彼女の環境把握が必須だ。
大学内はまだマシだとして、バイト先は特に危ない。不特定多数の素性が知れない輩が、何度も彼女目当てに来店しているのを見かけた。
もちろん、過度な干渉をする奴は、彼女に気づかれる前に対処しなくてはならない。
俺が来れない日は常にボディーガードを配置し、できるだけ彼女を一人にさせないことが重要だった。
そんな風に日々を過ごしていると、父親から呼び出しをされた。
「日晴、高校を休みがちだって聞いたんだが」
「うん、今は高校に通うことより、大切なことをしてるから」
向こうにいる時、ハイスクールに通いながら大学も卒業したのだから、日本でわざわざ高校に通う必要なんかないと思う。
「ふむ…俳優の娘のことか。そんなに大切なのか?」
父が口髭を撫でつける。
「何で知ってんの」
「お前が手配してるボディーガードは、誰のつてだと思ってるんだ?高校生の未成年が依頼したとして、保護者に連絡が来るのは当然のことだろう」
ニヤリと笑って顔の前で手を組んだ。
分かっていて、黙って自由にさせていたのか。
「で、何が言いたい訳?」
「言われたことを守れない奴が、一人の女を守り切れると思うか」
痛いところを突かれた。
「女も守って、番付も上げて、己の隙を一切作らないのが男だと思わないか、なあ日晴」
拳を強く握り、背筋を伸ばす。
「俺は、何をすればいいの……」
父は首を軽く振り、大袈裟に手を広げた。
「それは自分で考えることだ、進路だって自由にしたらいい。ただ、高校は卒業しろ」
話は終わりだと手で遮られた。
放り出された俺は、行動計画を練り直すことにした。彼女を守る為に必要なこと、高校を卒業するための単位数、進路、実現するための資金。
第一優先は、彼女の世界を守ることだ。いつ呼ばれても駆けつけられるように、変な人間が寄り付くことがないように、できることならそばにいたい。
それには運転免許の切り替えと、一台自分の車を持っておきたいが…資金面を考えるとリースでもいいかもしれない。別に、車種で彼女の気を引きたい訳ではなのだ。必要になった時に購入すればいい。
今は、何はなくとも金だ。アメリカにいた時に作った資金はまだあるが、希望の進路に進むとなるともっと余裕を持っておきたい。
「人脈作りか…」
結果、自分も父のように動くしかないのだ。
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