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しおりを挟む「あーかーりー!!!」
背中側から両肩を掴んで揺さぶる。
「分かった、分かったから。今夜、伴家に行くから」
「ダメ!このまま一緒に帰る!」
強い力で更に揺さぶると、ぎゃああと喚いた。
「食べたもの出るからやめて!」
「帰るっていうまでやめない!」
「分かった!帰る!!!」
パッと手を離すと、顔を歪めた灯里が恨みがましい視線を向けた。
「夕ご飯はパパのイタリアンね」
「オーケー!いくらでも作らせる!」
その場でメッセージを送ると、ハイテンションな返事が来たから感謝の意だけ伝えて放置した。
今日はオフらしく、リビングのソファでゴロゴロしていた元要も捕まえて、私の部屋に集合。
「めっっっちゃ避けられてるんだけど」
二、三日は落ち込んだり、悲しくなったり、やっぱり嫌われたかなとか、しおらしく思っていけれど、最近は怒りに変わって来た。
「どうしたらとっ捕まえられると思う?」
ベッドに寝転んで猫のように丸くなった元要が、灯里の方を突いた。
「あかりん、状況説明よろ」
「えー!倫音、元要に説明してないの?!いや説明しづらいか!いやいや、説明してないのにこの会議に呼ぶの?!」
「よろしく灯里」
「こんの、双子どもめ!掻い摘んで離すと、埒が明かない日晴くんにキレた倫音が、バイトの帰り道にぶちゅっとやったら、日晴くんが引いて避けられてるっていう状況」
客観的に聞くと、どうしようもない状況だな、と冷静になる。
「あー…だから倫音、寝るほど怒ってたんだ」
「寝たの?」
「キレ過ぎて号泣して力尽きた」
「子どもか」
「そうそう、で日晴くんがお姫様抱っこで部屋まで運んでた」
「え?!はじじゃないの?!」
「俺だったら起こして歩かせる」
「確かに」
誰にも何も言われないから知らなかったよ!何で言わないの!
「脈有りじゃんよ」
灯里がアイスティーをガブガブ飲み干す。
「あったら避けないでしょ!」
「照れてるとか?…いや、日晴くんそういう感じじゃないな」
「あームカつく!なんなの!振るなら振ればいいじゃん!はっきりしないのすっごくイヤ!」
大きな猫はあくびをして寝返りを打つ。
「りんは、日晴くんと付き合いたいの?」
「当たり前じゃん!」
私以外の女と仲良くしてるのなんて、絶対に無理!
「今、他の女と並んで歩いてるの見たら、体当たりするくらいには腹立つ」
「日晴くん、結構鍛えてるし体幹強いから、りんが弾き飛ばされると思う」
「そういうことじゃないんだよ!」
私もアイスティーをカブ飲みして、持ってきた冷水ポットからおかわりを注いだ。
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