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しおりを挟む俺は、どうしたいんだろう。倫音さんと話し合うって、何を話せばいいんだろう。ルーロー飯を食べながら考える。
カフェでゆっくり時間を過ごしてから、四限目を受講し、初めて倫音さんと会わずに帰宅した。
何だか手の中が空っぽのような、足りているのに物足りないような、脳が栄養不足みたいな感覚を覚えた。
倫音さんは、どうしているだろうか。普段通りに勉強し、灯里さんと学食でお昼をとり、また勉強していたのだろうか。気になってボディガードからの定時連絡を確認すると、問題なしとメッセージが届いていた。
少し安心し、今日の分の業務をこなす。事業自体は伸びており、軌道に乗っている。このままいけば事業計画通りにことが進む。
「ふう…」
ふとした時、昨日の感触や表情が脳裏に過ぎる。彼女に煩悩で触れてはいけない。分かっているのに、最後にやってしまった。
あの怒りも泣き顔も、俺への気持ちだと受け取ってしまって良いのだろうか。彼女の環境を守ることはできても、彼女自身の幸せを俺が叶えることができるのか。
そうやって自問自答ばかりしている。
自信がないから、大人の余裕がないから、倫音さんより年が下だから。
俺は倫音さんが好きだ。
でも、幸せにできる自信はない。
じゃあなぜ仕返したのか。
気持ちで負けてしまったからだ。好きだという気持ちが、あの彼女の行動力をきっかけに上回ってしまった。
ベッドに寝転がり、両目を塞ぐ。
まだ、倫音さんの感触が残ってる。
俺の上に乗って、両手を押さえつけ、唇を塞がれて、無理やりこじ開けられた中に入ってきた、柔らかな舌が動く。さらりと落ちた髪が頬をくすぐり、暖かな重みが下腹部を圧迫する。
その瞬間、頭が真っ白になった。
いつでも押し返せる程の力しか、彼女は持っていないことを何とか思い出し、全ての力で反応しないように堪え、耐え切った。
それこそが彼女を傷つけるという考えには、至らなかった。
きっと、大人だったらもっと上手くやれたはずだ。彼女の気持ちに寄り添って、喜ぶような行動ができて、あの日の夜空のような笑顔が見られたはずなのだ。
彼女を泣かせて、深夜に一人で帰る選択肢を与えてしまう男では、彼女に相応しくない。
「俺じゃ、ダメだ……」
だからと言って、今彼女の周りに現れるような男達に任せることなんて、到底出来ない。
ジレンマだ。
彼女は今、何を思っているだろうか。俺のことを考えているだろうか。
そうだったらいいと思うくせに、そうさせることが怖い。
俺はただ、彼女の幸せを守りたいだけなんだ。
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