【R18】みだりに近づかないでください!

はこスミレ

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 肉巻きおむすびやら骨付き肉やら、色々と分け合って食べながら、あっちへ行きこっちへ行きと遊び倒す。食べたいものがあったら食べるから、時間なんて関係ない。
「倫音さん、いつもよりよく食べるね」
「ここには食べにきてます」
「美味しいもんね、俺もすごい食べた」
 と言いながら、チュロスを齧っている。
「日晴くんの好きそうなチョコレートチーズブラウニーというものがありまして」
「食べます」
 本当にこの人は甘いものが好きだな。
「そこのパン屋さんで買えます」
 早速パン屋さんへ行き、ついでにラビの形のクリームパンも買っていた。
「このクリームパン、オレンジピールが入ってる!美味しい!ブラウニーも重たくてぎっしりしてるのに滑らかで美味しい!」
 満面の笑みでパクパク食べていると、年相応の男の子に見える。
「良かったね」
「倫音さんも!」
 あーんをされてかぶりつく。クリームパン、めっちゃ美味しい…
「今度、パパに作ってもらお…」
「俺も食べたい」
 日晴くんは、父の料理が気にいったらしい。
「頼んだら喜んで作るから、リクエストしたら」
「いいのかな?」
「へーきへーき、人から求められるのがだーい好きな人だから」
 だからあの仕事は天職なんだろう。おじさんなのによくやるなあと思いつつ、父もそれを見る母も楽しそうだ。
「朝ご飯美味しかった。いつも食べてるの?」
「ううん、忙しいから時間ある時だけ」
「いいなー!」
「来ればいいじゃん、舞台の本番じゃない時は結構作ってるよ。今は稽古期間中だから帰ってくるの早いし」
 遠慮がちに私を見るから、困った犬みたいで可愛い。
「迷惑じゃないかな」
「いや、どう考えても今朝はこっちが迷惑掛けてるよね。大丈夫だよ」
 じゃあ遊びに行こうかなって、もじもじしてる。人見知りの子どもみたい。
 もしかしたら、こんな感じの小学生だったんだろうか。全然覚えてないのが悔やまれる。
「日晴くんて、めっちゃ可愛い感じの子どもだった?」
 私の問いかけにキョトンとして首を振った。
「ううん、全然。むしろ子生意気でムカつくと思うよ」
「そうなの?!」
 想像がつかない。
「周りと比べると成長が早くて、ちょっと浮いてたかな」
「へー!今はこんなに社交的なのにね」
「必要な時はちゃんとしてるだけだよ」
 やっぱり、既に社会経験があると違うのかもしれない。
「私も頑張ろう…まずは語学だなあ」
「倫音さん、留学したかったりするの?」
 日晴くんの言葉にハッとした。
「考えたことなかったけど…留学か」
「全く違う文化に触れると、パラダイムシフトするよ」
 アメリカに長く住んでいた人の言葉はリアルさが違う。いいかもしれない、留学。
「大学の留学制度調べてみよ」
 急に未来が開けたみたいに、ワクワクしてきた。
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