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第22話
しおりを挟む陽の明るさで目が覚めた。
見慣れた天井でないことに驚き、慌てて飛び起きる。
「おはよ、聖ちゃん。」
隣で、艶かしい肌を晒した紅子さんが寝そべっていた。
「っお、はようござい…ます。」
そうだ…昨日は紅子さんの家にお邪魔して、なんやかんやで泊まったんだった。
すごいことになってるぞ。
あたふたとしていると、紅子さんが笑って腕を引っ張り、私を胸の中へ抱き込んだ。
「まだ早いから、もう少しのんびりしてましょうよ。」
「えっと…でも…この体勢は…」
「恥ずかしい?」
紅子さんの柔肌に触れているのが、申し訳ないし恥ずかしいし恐縮だ。
「ふふ、寝る前の続きよ。女の子同士のイチャイチャ。」
「したことないんですけど、こういう感じなんですか。」
女子校時代でも、こんな風に女の子と触れ合ったことはない。
世伶奈とだって、手を繋いだこともないのだ。
「あら、私もしたことなかったわ。だって女の子じゃないもの。」
「えっ、ええ?」
「いいじゃない、想像でやってみましょうよ。楽しいわよ!」
紅子さんが笑って私の手を握った。
「私のイメージだと、そうねえ。お姉さまって呼んでみて。」
「…紅子お姉さま?」
「…有りね、これ。なんだかイケナイことしてるみたいだわ。」
うんうん、と満足そうに頷いている。
私はと言えば、くっついたままの体が熱くて、いつ頭が爆発するのかハラハラしていた。
「聖ちゃんのイメージは?」
「あっはい…えーと…」
女の子同士…学生時代はどうだっただろうか…
どちらかというと、みんな女を意識せずに過ごしていたから、そういうイメージは湧かない。
ただ、一つだけ思い出がある。
「ちょっとお手を失礼して。」
紅子さんから離した手でガーゼケットを引っ張り、二人一緒に包み込む。
ほんわりとした陽の光がガーゼケットから透けて見えた。
「ふ、二人っきり…の世界、みたいな?」
教室の窓際、カーテンの中で内緒話をしていたクラスメイト。
あれは傍から見ていて少しドキドキした。
「いいわね。」
「良かったです。」
紅子さんの腕が腰を掴んでピッタリと引き寄せた。
「聖ちゃん…」
吐息が当たってこそばゆい。
「紅子さん、あの…」
「紅子お姉さま。」
「べ紅子お姉さまっ…」
「何かしら?」
ぱくぱくと口を開けるけれど、言葉にならない。
長い指が髪に触れ、耳をなぞり、首を通って胸で止まる。
「ここ、まだ赤いかしら?」
ぺちゃんこの胸を手のひらが包んだ。
「べべべ紅子お姉さまぁっ?!」
「確認するわね。」
「だっだだめですっ!」
「どうして?二人っきりの世界でしょ?誰にも見られないわ。」
紅子さんに見られるのが恥ずかしいのに!
大きな手がTシャツの裾をペロリと捲った。
「んー、まだちょっと赤いわね。もう一回、保湿クリーム塗らないと。」
「じ、自分で塗れますから!」
「だめよ、私が塗る約束よ。」
そういえば、はいと答えてしまっていた。
「ううう…!」
「ちょっとくすぐったいの我慢すればいいだけよ。えーっと、ここに置いてたはず。」
ガーゼケットの中から腕だけを出して、ベッドの上の目当ての物を取り出す。
人差し指でクリームを掬い、またクルクルと優しく乳首に塗り込まれてしまった。
私が羞恥とくすぐったさに悶絶して、グッタリしたのは言うまでもない。
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