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英雄の称号を得た夫の望みは、幼馴染を第二夫人に迎える事でした──。
後編
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実は、私の夫デイビットと幼馴染メアリーは密かに将来一緒になる事を夢見て居たのだ。
でも、夫は家同士の関係で私と……メアリーは家柄の関係でデイビットとそれぞれ結ばれる事に──。
ところが結局二人は、互いの伴侶にそれぞれ不満を抱き……やはり自分達が夫婦になりたい、なるべきだと思うようになってしまった。
そこでデイビットは、戦いのどさくさに紛れジェイクを葬る事に──。
わざとおかしな命令をし、危険物の入った袋をぶつけ彼の目を潰しあの場から追放したのだ。
そしてその袋を用意したのは、ジェイクの妻のメアリーだった。
彼女は手先が器用で、薬品の調合などを自分で行い自作の美容薬を作って居るそうで……そんな袋を作るのはたやすい事だった。
またあの時、ジェイクは咄嗟にその袋を回収しており……彼女が同じ生地で小物を作り今も所持してる事、それが彼女の悪事を証明する証拠になるとジェイクは黒ずんだ布を王に差し出した。
すると私とジェイクの双方から話を聞きあんな映像まで見せられた王は、その後すぐさまデイビットとエミリーを城に呼び出す事に──。
そして、あの映像を見せた上で二人をきつく問い詰めれば……二人は真っ青な顔で、全て本当の事だ……自分達が悪かったと白状せざるを得なくなった。
結果、夫のデイビットは英雄の称号を剥奪……同じ騎士団の仲間を手にかけようとした事は大罪であると判断され、国外に永久追放の身となった。
またメアリーは、望んでその男の第二夫人になったのだから最後まで付き従うべきだと判断され……こちらも同じく追放の身に──。
ただその前に、罪人同士が今後子作りはしてはならぬと互いに子が出来ないよう手術迄施され……あれ程跡継ぎをと望んで居た二人にとって、それは死ぬほど辛い罰だったようだ。
結局、メアリーはそれが元で心身に異常をきたし追放後すぐ野垂れ死にし……デイビットは急な病に罹ったものの命は助かったが、後遺症で視力の殆どを失いその状態で放浪する事になるのだった──。
そして私はと言うと……英雄の罪を暴き一人の騎士団員の名誉を守ったとして、王から一つ何でも望みを叶えると言われた。
そこで、子が出来る丈夫な体が欲しいと望むと……国一の名医と薬師を与えられ、治療の甲斐あって私は望んだ通りの身体になる事が叶った。
そしてそれに大喜びする私の隣には、穏やかな笑みを浮かべるジェイクが寄り添って居て……彼はあれからメキメキと剣の腕を上げた事で、今では騎士団長の座にまで登りつめて居た。
私達はそれぞれ同時に伴侶を失ったが、それもあってあれから二人で何度も会うようになり……今ではお互いがとても大事な存在になりつつある。
そんなジェイクに私は、もしかしたら幼い頃に一度会った事があるのではないかと尋ねてみた。
あなたのその優しく美し眼差しを、私は確かに見た事があると──。
するとジェイクはそうだと言って、あの石の付いたペンダントを見せてくれた。
彼曰く、私達はまだ子供の頃にこの地の祭りで偶然出会って居たと言う。
当時のジェイクの家は貧しく、彼はせっかくのお祭りで何も買えず悲しい思いをして居たが……偶然通りかかった私がそんな彼に気付き、せっかくの日にそんな顔を顔をしないでとあの石を差し出して来たらしい。
露店で買った魔石だが、この石をお守り代わりに持って居るときっと良い事がある……あなたに幸せのおすそ分けだと言い、私はすぐにその場を去ったが……ジェイクはそれがとても嬉しく、それをペンダントにしてずっと肌身離さず持って居てくれたのだった。
あの時、君が言った事は本当だった──。
この石が、そして君の想いが俺の心も身体も救ってくれた。
初恋の君とまた出会い、こうして傍に居られる事が嬉しいと彼は言い……この先もずっと一緒に居たい、どうか自分の伴侶になって欲しいとプロポーズして来たのだ。
彼の想いは、最近何となく気付いては居たが……まさか初恋の相手も私だったとは──。
私は驚きつつも、決して嫌だとは思わず……むしろここまで彼に想って貰える事が嬉しく、喜んでその気持ちに応える事にした。
そうして私達は順調な交際を続け、やがて結婚する事になったが……結婚式の際には、私は彼だけを……そして彼は私だけを愛す事を神に誓い合い、この幸せがずっと続く事を心から願うのだった──。
でも、夫は家同士の関係で私と……メアリーは家柄の関係でデイビットとそれぞれ結ばれる事に──。
ところが結局二人は、互いの伴侶にそれぞれ不満を抱き……やはり自分達が夫婦になりたい、なるべきだと思うようになってしまった。
そこでデイビットは、戦いのどさくさに紛れジェイクを葬る事に──。
わざとおかしな命令をし、危険物の入った袋をぶつけ彼の目を潰しあの場から追放したのだ。
そしてその袋を用意したのは、ジェイクの妻のメアリーだった。
彼女は手先が器用で、薬品の調合などを自分で行い自作の美容薬を作って居るそうで……そんな袋を作るのはたやすい事だった。
またあの時、ジェイクは咄嗟にその袋を回収しており……彼女が同じ生地で小物を作り今も所持してる事、それが彼女の悪事を証明する証拠になるとジェイクは黒ずんだ布を王に差し出した。
すると私とジェイクの双方から話を聞きあんな映像まで見せられた王は、その後すぐさまデイビットとエミリーを城に呼び出す事に──。
そして、あの映像を見せた上で二人をきつく問い詰めれば……二人は真っ青な顔で、全て本当の事だ……自分達が悪かったと白状せざるを得なくなった。
結果、夫のデイビットは英雄の称号を剥奪……同じ騎士団の仲間を手にかけようとした事は大罪であると判断され、国外に永久追放の身となった。
またメアリーは、望んでその男の第二夫人になったのだから最後まで付き従うべきだと判断され……こちらも同じく追放の身に──。
ただその前に、罪人同士が今後子作りはしてはならぬと互いに子が出来ないよう手術迄施され……あれ程跡継ぎをと望んで居た二人にとって、それは死ぬほど辛い罰だったようだ。
結局、メアリーはそれが元で心身に異常をきたし追放後すぐ野垂れ死にし……デイビットは急な病に罹ったものの命は助かったが、後遺症で視力の殆どを失いその状態で放浪する事になるのだった──。
そして私はと言うと……英雄の罪を暴き一人の騎士団員の名誉を守ったとして、王から一つ何でも望みを叶えると言われた。
そこで、子が出来る丈夫な体が欲しいと望むと……国一の名医と薬師を与えられ、治療の甲斐あって私は望んだ通りの身体になる事が叶った。
そしてそれに大喜びする私の隣には、穏やかな笑みを浮かべるジェイクが寄り添って居て……彼はあれからメキメキと剣の腕を上げた事で、今では騎士団長の座にまで登りつめて居た。
私達はそれぞれ同時に伴侶を失ったが、それもあってあれから二人で何度も会うようになり……今ではお互いがとても大事な存在になりつつある。
そんなジェイクに私は、もしかしたら幼い頃に一度会った事があるのではないかと尋ねてみた。
あなたのその優しく美し眼差しを、私は確かに見た事があると──。
するとジェイクはそうだと言って、あの石の付いたペンダントを見せてくれた。
彼曰く、私達はまだ子供の頃にこの地の祭りで偶然出会って居たと言う。
当時のジェイクの家は貧しく、彼はせっかくのお祭りで何も買えず悲しい思いをして居たが……偶然通りかかった私がそんな彼に気付き、せっかくの日にそんな顔を顔をしないでとあの石を差し出して来たらしい。
露店で買った魔石だが、この石をお守り代わりに持って居るときっと良い事がある……あなたに幸せのおすそ分けだと言い、私はすぐにその場を去ったが……ジェイクはそれがとても嬉しく、それをペンダントにしてずっと肌身離さず持って居てくれたのだった。
あの時、君が言った事は本当だった──。
この石が、そして君の想いが俺の心も身体も救ってくれた。
初恋の君とまた出会い、こうして傍に居られる事が嬉しいと彼は言い……この先もずっと一緒に居たい、どうか自分の伴侶になって欲しいとプロポーズして来たのだ。
彼の想いは、最近何となく気付いては居たが……まさか初恋の相手も私だったとは──。
私は驚きつつも、決して嫌だとは思わず……むしろここまで彼に想って貰える事が嬉しく、喜んでその気持ちに応える事にした。
そうして私達は順調な交際を続け、やがて結婚する事になったが……結婚式の際には、私は彼だけを……そして彼は私だけを愛す事を神に誓い合い、この幸せがずっと続く事を心から願うのだった──。
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