失恋した上に嫌われ、死んでしまった俺は…目が覚めたら彼に愛される世界に居た。

櫻坂 真紀

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未来編③ 亮視点

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「あの、亮さん……コレ、受け取って下さい!」

 店を出た俺を待っていたのは、プレゼントを手に持った女の子だった。

 この子は……俺が担当してる子だな──。

「いや……それはちょっと。あなたは大事なお客様ですから、個人的にこういう物を受け取る事は出来ません。店からも、禁止されているので。」

「でも、これくらい……一回だけ、ね?」

「……それに俺、大事な恋人がいるので。こういう物を受け取る事で、その恋人を悲しませたくないんです。だから、受け取れません。」

「ッ……!わ、分かりました……ご無理を言ってすみません!」

 そう言って、女の子は俺の元を走り去って行った。

 悲しそうな顔してたな……でも、俺にはあいつ……慎がいるから。

 俺を指名してくれる大勢のお客様……そんな人たちのおかげで、俺はもうすぐ独立出来る。
 それは確かに有難い事だけど……ああいう行為……好意は、正直困る。

 というか、好意といえば……慎だ……俺なんかより、慎の方が余程問題だ。

 慎は……自分に向けられる好意には、めっきり鈍いんだよなぁ──。

 でも、そういう思考にさせてしまったのは、多分俺が……リョウが、原因だろうな。

 長い長い片思いの末、自分なんかが好きになって貰える訳がない、自分が目で見られる訳がない……そういう考えが生まれ変わった(?)今も、あいつの頭のどこかにあるんだろう──。

「あの貼り紙……あれからは、間違いなくあいつへの好意が感じられた。あいつがそれに気付けないなら、俺がその分フォローしないとな──。」

※※※

「慎、ポメ吉、ただいま。」

「キャン!」

「お帰りなさい、亮。今日もお仕事、お疲れ様。」

 エプロンを付けた慎が、俺の元に笑顔で駆けて来た。

 可愛い笑顔……この笑顔を見れば、一日の疲れなんてすぐ吹き飛ぶ──。

「今日は、亮の大好きなハンバーグとエビフライにしたから。」

「マジで!エビフライも!?やった──!」

 俺は嬉しくなって、慎を抱き上げるとクルクルと回った。

「アハハ、亮。目が回っちゃうから辞めて。もう……そんなに嬉しかったのか?」

「うん。でも、お前が俺の為に毎日こうして夕食作ってくれるのが嬉しいの。慎……大好きだよ。いつも、ありがとうな。」

 俺は、慎の唇にそっとキスをした。

「フフッ、俺も……亮の為にご飯が作れて幸せだ。すぐお皿に盛りつけるから、着替えて来て。」

 そう言って、俺から離れキッチンに向かう慎に……俺は、いつまでもこんな日々が続けばいいと、心から願った──。
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