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未来編⑨ ※
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「ガウッ!」
「……うッ!」
彼の呻き声に下を見れば、ケージから飛び出たポメ吉が、その足をガブリと噛んでいるのが見えた。
「……このクソ犬!」
彼は近くにあったグラスを手に取ると、ポメ吉に投げつけようとした。
「や、辞めて!頼むから、この子に酷い事しないで!ポメ吉……ケージに戻って!」
「クゥ……。」
「チッ、これだから小型犬は……。俺とあなたが飼うなら、大型犬のもっと賢い犬にしましょうね?言ったでしょう、もうすぐ飼う予定があるって。」
そう言ってニッコリ笑う彼が、俺は心の底から恐ろしかった。
「あ……や……。」
「このまま、俺の家に行きましょう?それで、転勤先には一緒に付いて行ってもらいます。だって俺たち……元々この世界では、恋人同士なんですから。」
「お、れは……今は、リョウの……亮と──」
「あの男の名を呼ぶな!でないと……もう一度、その口を塞ぐぞ。」
「ッ……!」
そう言って近づく彼の顔に、俺は目に涙を滲ませた──。
※※※
「辞めろ!これ以上、慎に近づくな!」
その声と同時に、俺にのしかかっていた巽の身体が吹き飛んだ。
そして、押し倒されていた俺の身体が引き起こされ……恐怖に震え冷えていた俺の身体は、温かいものに包まれた。
「慎……遅くなってすまない!」
「あ、りょ、亮……?」
置き手紙、見てくれたんだ……。
俺は、その温もりと嗅ぎ慣れた匂いに心から安堵し、彼の身体に身を委ねた。
「や、辞めろ……シンさんの身体を抱くのは、俺だ!」
「違う!シンは今、慎としてここに生きている。そしてこの慎は、俺の恋人……愛する人だ。お前のものじゃない!TATSUMI……そして巽。お前の愛するシンは……ここにいる慎は……一生お前のものにはならない。」
「……ッ!何でだ……せっかく生まれ変わって出会えたのに……何でだよ──!」
巽は、床に突っ伏して泣いていたが……駆けつけた警官によって連れて行かれた──。
※※※
「……そう。田岡さんのお店に防犯カメラを……。警察も、田岡さんが呼んでくれたんだ。」
「閉まってるお前の店から、物音がするから心配になったって。それで、念の為にって。」
田岡さん……後でちゃんとお礼に行かないと。
あれから警察で一通り話を聞かれ、俺たちは昼近くになり、漸く家に帰って来た。
亮がお休みの日で良かった……これ以上、彼に迷惑はかけれない。
あいつにキスなどされてしまった……こんな俺なんかの為に──。
俯き黙り込んでしまった俺の頭を、亮はよしよしと撫でてくれた。
「裏でコソコソやってるのがお前に知られたら、お前が気を悪くすると思って言えなくて……。それに出来たら、俺の手で解決してやりたかったんだ。でもこんな事になるなら、お前に伝えてれば良かった。慎……怖い思いさせて、ごめんな?」
そして亮は、俺の頬に手を添え……俺にキスをしようとした。
「……ッ!」
だが俺は、思わず体をビクリと揺らし……彼から顔を背けてしまった。
「……慎?」
「ご、ごめん……なさい。亮、俺……あいつに──!」
俺の言葉に、亮は何があったかを悟ったらしく……怒りの表情を浮かべ、自身の拳をギュッと握りしめた。
「お、怒らないで……ごめんなさい!」
俺はそんな亮が怖くて、思わず謝罪の言葉を口にし、ポロリと涙を零した。
「ッ……悪い、お前に怒ったんじゃない。お前を守りきれなかった、自分に腹が立ったんだ。俺、お前を二度と泣かせない……そう心に誓ったのに。俺、ホント駄目な奴だな……ごめんな、慎。」
「ちが……俺が、俺が駄目なの。あんな奴にキスされて……俺が──!」
「慎……お願いだ。それ……俺で上書きさせて?俺にあいつの痕、消させてくれるか?」
「うん、うん……!亮……今の俺が亮のものだって、改めて俺に刻み付けてよ……。俺を、沢山愛して──?」
※※※
「ん‥…ハアッ……!」
亮は俺をベッドに押し倒すと、始めは優しく……そして、次第に噛みつくような激しいキスをくれた。
そしてその唇は俺の首筋へ……そして、胸の飾りへと降りて行く。
俺の胸はプックリと立ち上がり、亮に可愛がって欲しいと主張をしていた。
亮は、そんな俺の片方の乳首を口内でネットリと舐め……もう片方はクリクリと手で弄る。
「…ッ、んあッ……や、りょう、きもちぃ……。」
「慎は、ここ可愛がられるの好きだもんな。」
「うん、すき、大好き……!ね……もぅ、下もさわってぇ……!」
俺のソレは、ズボンの中で苦しそうに主張をしていた。
それを見た亮は、俺のズボンと下着を取り払うと、震えるソレに優しく触れた。
「……うッ!」
彼の呻き声に下を見れば、ケージから飛び出たポメ吉が、その足をガブリと噛んでいるのが見えた。
「……このクソ犬!」
彼は近くにあったグラスを手に取ると、ポメ吉に投げつけようとした。
「や、辞めて!頼むから、この子に酷い事しないで!ポメ吉……ケージに戻って!」
「クゥ……。」
「チッ、これだから小型犬は……。俺とあなたが飼うなら、大型犬のもっと賢い犬にしましょうね?言ったでしょう、もうすぐ飼う予定があるって。」
そう言ってニッコリ笑う彼が、俺は心の底から恐ろしかった。
「あ……や……。」
「このまま、俺の家に行きましょう?それで、転勤先には一緒に付いて行ってもらいます。だって俺たち……元々この世界では、恋人同士なんですから。」
「お、れは……今は、リョウの……亮と──」
「あの男の名を呼ぶな!でないと……もう一度、その口を塞ぐぞ。」
「ッ……!」
そう言って近づく彼の顔に、俺は目に涙を滲ませた──。
※※※
「辞めろ!これ以上、慎に近づくな!」
その声と同時に、俺にのしかかっていた巽の身体が吹き飛んだ。
そして、押し倒されていた俺の身体が引き起こされ……恐怖に震え冷えていた俺の身体は、温かいものに包まれた。
「慎……遅くなってすまない!」
「あ、りょ、亮……?」
置き手紙、見てくれたんだ……。
俺は、その温もりと嗅ぎ慣れた匂いに心から安堵し、彼の身体に身を委ねた。
「や、辞めろ……シンさんの身体を抱くのは、俺だ!」
「違う!シンは今、慎としてここに生きている。そしてこの慎は、俺の恋人……愛する人だ。お前のものじゃない!TATSUMI……そして巽。お前の愛するシンは……ここにいる慎は……一生お前のものにはならない。」
「……ッ!何でだ……せっかく生まれ変わって出会えたのに……何でだよ──!」
巽は、床に突っ伏して泣いていたが……駆けつけた警官によって連れて行かれた──。
※※※
「……そう。田岡さんのお店に防犯カメラを……。警察も、田岡さんが呼んでくれたんだ。」
「閉まってるお前の店から、物音がするから心配になったって。それで、念の為にって。」
田岡さん……後でちゃんとお礼に行かないと。
あれから警察で一通り話を聞かれ、俺たちは昼近くになり、漸く家に帰って来た。
亮がお休みの日で良かった……これ以上、彼に迷惑はかけれない。
あいつにキスなどされてしまった……こんな俺なんかの為に──。
俯き黙り込んでしまった俺の頭を、亮はよしよしと撫でてくれた。
「裏でコソコソやってるのがお前に知られたら、お前が気を悪くすると思って言えなくて……。それに出来たら、俺の手で解決してやりたかったんだ。でもこんな事になるなら、お前に伝えてれば良かった。慎……怖い思いさせて、ごめんな?」
そして亮は、俺の頬に手を添え……俺にキスをしようとした。
「……ッ!」
だが俺は、思わず体をビクリと揺らし……彼から顔を背けてしまった。
「……慎?」
「ご、ごめん……なさい。亮、俺……あいつに──!」
俺の言葉に、亮は何があったかを悟ったらしく……怒りの表情を浮かべ、自身の拳をギュッと握りしめた。
「お、怒らないで……ごめんなさい!」
俺はそんな亮が怖くて、思わず謝罪の言葉を口にし、ポロリと涙を零した。
「ッ……悪い、お前に怒ったんじゃない。お前を守りきれなかった、自分に腹が立ったんだ。俺、お前を二度と泣かせない……そう心に誓ったのに。俺、ホント駄目な奴だな……ごめんな、慎。」
「ちが……俺が、俺が駄目なの。あんな奴にキスされて……俺が──!」
「慎……お願いだ。それ……俺で上書きさせて?俺にあいつの痕、消させてくれるか?」
「うん、うん……!亮……今の俺が亮のものだって、改めて俺に刻み付けてよ……。俺を、沢山愛して──?」
※※※
「ん‥…ハアッ……!」
亮は俺をベッドに押し倒すと、始めは優しく……そして、次第に噛みつくような激しいキスをくれた。
そしてその唇は俺の首筋へ……そして、胸の飾りへと降りて行く。
俺の胸はプックリと立ち上がり、亮に可愛がって欲しいと主張をしていた。
亮は、そんな俺の片方の乳首を口内でネットリと舐め……もう片方はクリクリと手で弄る。
「…ッ、んあッ……や、りょう、きもちぃ……。」
「慎は、ここ可愛がられるの好きだもんな。」
「うん、すき、大好き……!ね……もぅ、下もさわってぇ……!」
俺のソレは、ズボンの中で苦しそうに主張をしていた。
それを見た亮は、俺のズボンと下着を取り払うと、震えるソレに優しく触れた。
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