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本編
2 出会い
しおりを挟む「え?旦那、それにするんですか?」
「…ああ、そうだ。これに決めた」
「そちらは旦那の要望とは全く違いますが…」
「いいんだ。彼に決めた」
アルヴィンの、正確に言えばセレスの要望は[女性、避妊済み、五体満足]と言うものだった。
出来れば体格が良く、血筋が良さそうな躾やすそうな者、とまであったがあまり理想が高くても値段が跳ね上がるし現実的では無い為そこそこ動けそうな者ならば男女は問わないつもりでアルヴィンはいた。
しかしいざ奴隷市場に足を運び店主の案内で商品を見たがどれもこれもパッとしなかった。
また良い商品が入った時にするか、それともここよりかなり距離がある市場を観に行くかアルヴィンは悩んだ。だがセレスの事を考えるとあまり悠長にはしていられない。
妥協してそこそこましな者を購入しよかと思った所で…ふと市場の端の檻に意識が引き寄せられた。
そこはこの場の闇を煮詰めたような澱んだ空気が停滞し、湿り気を帯び、血と膿と糞便の臭いが漂った。
お世辞にも綺麗だと言えない市場の中で、さらに汚く近寄り難いそこに彼はいた。
暴虐の限りを尽くされたであろう身体は傷だらけで、その傷口が閉じる前に膿んで化膿したのか酷い有様だった。大柄な体格だが痩せ細り辛うじて呼吸をしているのが窺えた。左脚は関節部分は残っている物の、脛から下が無かった。
その傷口もまともに治療は行っていないのであろう。グジュグジュと膿、虫が湧いてるのが分かった。
そして、真っ赤な色だ。
1番初めは頭部から出血しているのかと勘違いした。血潮を思い浮かばせるほどの鮮烈な赤髪だった。
薄汚れくすんでいても分かる美しいその髪にアルヴィンは見惚れた。
そうして見つめていると目の前の男の瞼が震え、開かれた。
その下から表れたのは…
輝く、黄金の、美しい瞳。
その瞳と目が合った瞬間にアルヴィンの口は勝手に言葉を紡いでいた。
「店主、これを貰おう」
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