50 / 52
遠き過ぎ去りし在りし日の日々
ジェフリー2
しおりを挟む
ブンッ…と木の枝が鳴る。
ジェフリーは再び腕を振り上げ、振り下ろす。
何度も何度も。それは騎士になると決めた日から繰り返されてきた日課だった。
「ジェフ!お前はまた棒っきれぶん回して…父ちゃんの手伝いはどうした?」
母が今年産まれたばかりのジェフリーの妹を背負いながら大量の洗濯物を抱えて問う。それに満面の笑みで答えた。
「もう終わったよ!収穫終えて街に持ってく野菜も詰め終えたし、南の畑も耕して堆肥撒いて畝も作った!!」
そこに斧を持った弟がやってきて母に言う。
「にーちゃん、薪割りも手伝ってくれたー」
「家畜の世話も手伝ってくれたよー」
と、卵の入った籠を持った姉がにこにこ歩いてきた。
それを聞いた母は驚いて目を丸くし、豪快に笑った。
「まぁ!かぁちゃんに似てジェフは働きもんだ!!棒振りが好きなのは父ちゃんに似たんだね…はは!…あんたまた教会に行くんだろ?そしたらパン焼いたから持ってってくれ。アンナが熱出した時に貰った薬草がよく効いてねぇ。こんな小さな村に来てくれた神父様には本当に感謝だよ」
「うん!母さんのパン美味しいからみんな喜ぶよ!」
「口まで上手いときた!あんた達もにいちゃん見習ってシャンとしな!」
2番目と3番目の弟がカエルを引っ掴んで走ってきた。母からの説教も耳に入っていないのかジェフリーに走り寄るとそれを自慢げに見せてきた。
「にーちゃんデッカいカエル!!」
「おれがみつけた!」
ジェフリーはその小さい頭を撫でるとしゃがんで目線を合わせた。
「キースは狩りの天才だな。でもカエルはバッタを食べてくれるから逃がそうな。ジョンは目がいいな。2人が大きくなって狩りをしたら腹一杯肉が食えそうだ」
「へへー!!」
「んふー!」
「あんたチビ達を甘やかして…。ジョン!キース!暇ならあんた達も教会行って勉強しておいで!それが嫌ならお手伝いしな!」
そう母が言うとジッとしている事が苦手な2人は駆けていってしまった。
「やだー!」
「カエルにがしてくるー!」
明るい笑い声が遠ざかっていく。弟達は今日も元気だった。
「まったく困った子達だ」
「じゃあ母さん、俺は教会に行ってくるね」
「頼んだよ。さーて洗濯洗濯…」
その母の後をついていこうとした姉は少し悩むように立ち止まりジェフをチラリと見た。ほんのり頬を赤く染め、素早く家に戻ると何かを手にしてジェフリーに駆けてくる。
「アーシェ姉さん、どうしたの?」
「その…これロイに…」
そうして差し出されたのは青いハンカチだった。端っこに【ロイ】と刺繍されている。
「この間…文字を教えてもらって……。その…お礼に…………じゃあ!!よろしく!!!」
姉は全力で走って母を追いかけて行った。
ジェフリーはいつも落ち着いている姉があたふたしている事を不思議に思いつつ、その綺麗なハンカチを汚さないよう大事に持つのだった。
ジェフリーは再び腕を振り上げ、振り下ろす。
何度も何度も。それは騎士になると決めた日から繰り返されてきた日課だった。
「ジェフ!お前はまた棒っきれぶん回して…父ちゃんの手伝いはどうした?」
母が今年産まれたばかりのジェフリーの妹を背負いながら大量の洗濯物を抱えて問う。それに満面の笑みで答えた。
「もう終わったよ!収穫終えて街に持ってく野菜も詰め終えたし、南の畑も耕して堆肥撒いて畝も作った!!」
そこに斧を持った弟がやってきて母に言う。
「にーちゃん、薪割りも手伝ってくれたー」
「家畜の世話も手伝ってくれたよー」
と、卵の入った籠を持った姉がにこにこ歩いてきた。
それを聞いた母は驚いて目を丸くし、豪快に笑った。
「まぁ!かぁちゃんに似てジェフは働きもんだ!!棒振りが好きなのは父ちゃんに似たんだね…はは!…あんたまた教会に行くんだろ?そしたらパン焼いたから持ってってくれ。アンナが熱出した時に貰った薬草がよく効いてねぇ。こんな小さな村に来てくれた神父様には本当に感謝だよ」
「うん!母さんのパン美味しいからみんな喜ぶよ!」
「口まで上手いときた!あんた達もにいちゃん見習ってシャンとしな!」
2番目と3番目の弟がカエルを引っ掴んで走ってきた。母からの説教も耳に入っていないのかジェフリーに走り寄るとそれを自慢げに見せてきた。
「にーちゃんデッカいカエル!!」
「おれがみつけた!」
ジェフリーはその小さい頭を撫でるとしゃがんで目線を合わせた。
「キースは狩りの天才だな。でもカエルはバッタを食べてくれるから逃がそうな。ジョンは目がいいな。2人が大きくなって狩りをしたら腹一杯肉が食えそうだ」
「へへー!!」
「んふー!」
「あんたチビ達を甘やかして…。ジョン!キース!暇ならあんた達も教会行って勉強しておいで!それが嫌ならお手伝いしな!」
そう母が言うとジッとしている事が苦手な2人は駆けていってしまった。
「やだー!」
「カエルにがしてくるー!」
明るい笑い声が遠ざかっていく。弟達は今日も元気だった。
「まったく困った子達だ」
「じゃあ母さん、俺は教会に行ってくるね」
「頼んだよ。さーて洗濯洗濯…」
その母の後をついていこうとした姉は少し悩むように立ち止まりジェフをチラリと見た。ほんのり頬を赤く染め、素早く家に戻ると何かを手にしてジェフリーに駆けてくる。
「アーシェ姉さん、どうしたの?」
「その…これロイに…」
そうして差し出されたのは青いハンカチだった。端っこに【ロイ】と刺繍されている。
「この間…文字を教えてもらって……。その…お礼に…………じゃあ!!よろしく!!!」
姉は全力で走って母を追いかけて行った。
ジェフリーはいつも落ち着いている姉があたふたしている事を不思議に思いつつ、その綺麗なハンカチを汚さないよう大事に持つのだった。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
悪役令嬢の兄、閨の講義をする。
猫宮乾
BL
ある日前世の記憶がよみがえり、自分が悪役令嬢の兄だと気づいた僕(フェルナ)。断罪してくる王太子にはなるべく近づかないで過ごすと決め、万が一に備えて語学の勉強に励んでいたら、ある日閨の講義を頼まれる。
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
悪役神官の俺が騎士団長に囚われるまで
二三@冷酷公爵発売中
BL
国教会の主教であるイヴォンは、ここが前世のBLゲームの世界だと気づいた。ゲームの内容は、浄化の力を持つ主人公が騎士団と共に国を旅し、魔物討伐をしながら攻略対象者と愛を深めていくというもの。自分は悪役神官であり、主人公が誰とも結ばれないノーマルルートを辿る場合に限り、破滅の道を逃れられる。そのためイヴォンは旅に同行し、主人公の恋路の邪魔を画策をする。以前からイヴォンを嫌っている団長も攻略対象者であり、気が進まないものの団長とも関わっていくうちに…。
【Amazonベストセラー入りしました】僕の処刑はいつですか?欲しがり義弟に王位を追われ身代わりの花嫁になったら溺愛王が待っていました。
美咲アリス
BL
「国王陛下!僕は偽者の花嫁です!どうぞ、どうぞ僕を、処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(笑)」意地悪な義母の策略で義弟の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王子のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯?(Amazonベストセラー入りしました。1位。1/24,2024)
転生悪役弟、元恋人の冷然騎士に激重執着されています
柚吉猫
BL
生前の記憶は彼にとって悪夢のようだった。
酷い別れ方を引きずったまま転生した先は悪役令嬢がヒロインの乙女ゲームの世界だった。
性悪聖ヒロインの弟に生まれ変わって、過去の呪縛から逃れようと必死に生きてきた。
そんな彼の前に現れた竜王の化身である騎士団長。
離れたいのに、皆に愛されている騎士様は離してくれない。
姿形が違っても、魂でお互いは繋がっている。
冷然竜王騎士団長×過去の呪縛を背負う悪役弟
今度こそ、本当の恋をしよう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる