1 / 28
第1話 恐れられた頭文字、再び(1)
しおりを挟む
第1章 プロローグ
都会の片隅に巣くう悪党ども、奴らがいる限りその悪行は人知れず社会に蔓延るしかなかった。
しかしそんな中、それを許さんとばかりに決起した強者も現れる。自らの危険も顧みず、果敢に戦うことを宿命とする戦士。その比類なき豪傑さで、これまで幾度となく悪を懲らしめてきたというのだ。
そのため、悪党どもが警戒するあまり、いつの間にか〝その名〟は裏社会で知られるようになっていた。ただ、幸運なことにその素顔はまだ悪党どもに悟られていない。
どこの誰なのか? 奴らに知る由もなく、その神出鬼没の登場だけは常に恐怖を抱かれていた。
そして、今日もまた――強拳が冴え渡った!
「ぎゃあー!」瞬時に男をなぎ倒した。次に別の男にも蹴りを入れ、床に這わせる。
「て、てめー!」今度はドスを持った男が切りつけてきた。けれど華麗に剣先をかわし、電光石火、正拳を食らわす。男はうしろの壁まで吹っ飛んだ。
続いて一際貫禄のある中年男が目を見開き必死の形相で「やれ、あいつを生きて帰すな!」と声を荒げた。
何が起こっているのだろうか? それは繁華街の一角に設けたある組事務所で、突如激しい抗争が勃発していたのだ。とはいえ、大人数の男たちを相手に戦っているのは……たった一人! 何と、一人だけで気がつけばもう数十人の男たちを叩きのめしていた。凄まじい強さだ! 哀れな子分たちは痛みを訴え、テーブルや椅子の下でのた打ち回っている。
加えて男たちの中には、「うわー、逃げろ!」その強拳を目の当たりにして、顔を強張らせ逃げ出す族もいた。
そして一時も経てば、とうとう親分だけが残された。周りは這い蹲って苦しむ、多くの子分たちで埋め尽くされている。
「クソッ!」その現状に、親分の方は覚悟を決めた様子だ。壁にかけられていた刀を急いで掴み取り、ギラリと抜いた!
対する攻め手は、構うことなく悠々と近づいていく。
直後……一気に振り下ろしてきた! が、即座の回し蹴り、刀を弾き飛ばし強力な拳を返す。
「うっ!」親分は呆気なくその場に倒れ込み、「き、きさま、どこの組のもんだ? あけぼの組と知っての出入りか!」と口元からの鮮血も痛々しく、仰向けのまますごすごと退きながら訊いた。
するとその醜態を、フルフェイスメットで隠れた目線が見下ろす。
「俺の名は……」と籠った声で、名前を明かしたのだ!
「何! お前が?」それを聞いた途端、親分が驚いたように叫んだ。同時に焦りの色も浮かべて。
やはりその名は、奴らにとってはこの世で一番耳にしたくない、脳裏に刻まれた戦慄のイニシャルだったに相違ない。
ひれ伏させた悪党どもの顔に、無念さが滲み出ていた!
都会の片隅に巣くう悪党ども、奴らがいる限りその悪行は人知れず社会に蔓延るしかなかった。
しかしそんな中、それを許さんとばかりに決起した強者も現れる。自らの危険も顧みず、果敢に戦うことを宿命とする戦士。その比類なき豪傑さで、これまで幾度となく悪を懲らしめてきたというのだ。
そのため、悪党どもが警戒するあまり、いつの間にか〝その名〟は裏社会で知られるようになっていた。ただ、幸運なことにその素顔はまだ悪党どもに悟られていない。
どこの誰なのか? 奴らに知る由もなく、その神出鬼没の登場だけは常に恐怖を抱かれていた。
そして、今日もまた――強拳が冴え渡った!
「ぎゃあー!」瞬時に男をなぎ倒した。次に別の男にも蹴りを入れ、床に這わせる。
「て、てめー!」今度はドスを持った男が切りつけてきた。けれど華麗に剣先をかわし、電光石火、正拳を食らわす。男はうしろの壁まで吹っ飛んだ。
続いて一際貫禄のある中年男が目を見開き必死の形相で「やれ、あいつを生きて帰すな!」と声を荒げた。
何が起こっているのだろうか? それは繁華街の一角に設けたある組事務所で、突如激しい抗争が勃発していたのだ。とはいえ、大人数の男たちを相手に戦っているのは……たった一人! 何と、一人だけで気がつけばもう数十人の男たちを叩きのめしていた。凄まじい強さだ! 哀れな子分たちは痛みを訴え、テーブルや椅子の下でのた打ち回っている。
加えて男たちの中には、「うわー、逃げろ!」その強拳を目の当たりにして、顔を強張らせ逃げ出す族もいた。
そして一時も経てば、とうとう親分だけが残された。周りは這い蹲って苦しむ、多くの子分たちで埋め尽くされている。
「クソッ!」その現状に、親分の方は覚悟を決めた様子だ。壁にかけられていた刀を急いで掴み取り、ギラリと抜いた!
対する攻め手は、構うことなく悠々と近づいていく。
直後……一気に振り下ろしてきた! が、即座の回し蹴り、刀を弾き飛ばし強力な拳を返す。
「うっ!」親分は呆気なくその場に倒れ込み、「き、きさま、どこの組のもんだ? あけぼの組と知っての出入りか!」と口元からの鮮血も痛々しく、仰向けのまますごすごと退きながら訊いた。
するとその醜態を、フルフェイスメットで隠れた目線が見下ろす。
「俺の名は……」と籠った声で、名前を明かしたのだ!
「何! お前が?」それを聞いた途端、親分が驚いたように叫んだ。同時に焦りの色も浮かべて。
やはりその名は、奴らにとってはこの世で一番耳にしたくない、脳裏に刻まれた戦慄のイニシャルだったに相違ない。
ひれ伏させた悪党どもの顔に、無念さが滲み出ていた!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる