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第十二部:勇者とダンジョンと魔物(一)
ダンジョン探索
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「勇者であるシュウジ様にこんなことを言うのは筋違いかもしれませんが、けっしてご無理はなさらぬよう、お願いいたします」
「俺は玉砕という言葉には興味がない。自分にできる範囲のことをするだけだ」
代官のポール殿が心配してくれるけど、その心配は無用だ。最初から無理をするつもりはない。暴走の第一陣は片付いた。第二陣との間はしばらく空くそうなので、この機会に単独でダンジョンに入って一部を狩る。
とりあえず俺にできる範囲で減らそうというだけだから、最深部まで行こうとかそういうつもりはない。そもそも今は魔物が多いはずだ。無理そうなら帰ってきたらいい。俺は戦闘で無双するタイプの勇者じゃないからな。
◆◆◆
朝食後、町を出ると小走りでダンジョンのある方に向かう。身体能力が上がってるから自転車より速いな。こっちに来てから走ったことってほとんどないけど、これなら馬車よりも速いんじゃないか?
そして山に向かうこと一時間半、場所は行ったら分かると聞いてたけど、まあたしかに分かる。ダンジョンは場合によっては恐ろしい場所だけど、資源の宝庫でもあるからだ。ようこそダンジョンへって感じだな。今は誰もいないけど、普段ならここに監視のための兵士がいるそうだ。そして冒険者相手に商売をする商人たちも普段はいるそうだ。
魔物の素材はこの領地の収入のかなりの部分を占めている。魔物がいなければ困るけど溢れたら困る。それでもできる限り被害を出さないようにしてるんだそうだ。
分かりやすいように旗が立った入り口から中を覗く。
「さてと、中はどうなっていますかね……ってただの通路か」
ここのダンジョンは石造りの通路っぽい見た目だった。でも人が作ったものじゃないそうなんだよな。それに朝になったら新しい部屋ができたってこともあるそうだ。要するに不思議な存在らしい。
出会い頭の遭遇戦を減らすために【索敵:Lv二】で周囲を探る。このあたりには。魔物はいない。そしていつの間にか【暗視:Lv一】ってあったから使ってるけど、これ色がおかしいな。緑色っぽくなる。これって暗視カメラか? 防犯カメラとかの。レベルが上がってもう少しマシになればいいな。
緑色でも見えることは見えるけど見づらいから、とりあえず進みながら別の方法を探すか。
松明もランプあるけど、片手が塞がる。それなら魔法しかない。前を【照明】で照ら——
「あぁぁ、目がぁ、目がぁ~~あああああああ~~~」
……俺はバカか。【暗視】で暗いところでも見えるようになってるのに、いきなり目の前に魔法の明かりなんか出したら目がやられるに決まってるだろう……。あー、ビックリした。【治療】で治せなかったらダンジョンの中で失明して魔物のエサだったかもしれないな。
一応【地図】は頭の中に表示できてるから、これを頼りに帰ることはできたかもしれないけど、考えなしに魔法を使うのはやめよう。冷や汗が出た。とりあえず視界が緑になるけど、移動中は【暗視】を使うか。【照明】は休憩の時くらいでいい。
「魔物は全然いないな。全部出たのか?」
通路は幅も高さも二〇メートルくらいある。これなら大型の魔物だって通れるな。さすがに巨大なドラゴンは難しいか。ドラゴンの子供なら通れそうだけど。
まあ倒せないくらい強い魔物が出たら逃げる。無茶はしない。【索敵】で調べつつ、いざとなったら【転移:Lv二】で後方へ逃げる。レベル二だからどちらも範囲は広くないけど、【石の玉】を撃ちつつ逃げれば逃げ切れると思う。あれを踏んだら足首を捻って転けるだろう。
しばらく進むと下へ進む道が見えた。
「あー、なるほどね」
階段がある。さっきのを地上階だとするとここは地下一階。魔物が……いるな。あれはオークか? イノシシっぽい牙の生えた二足歩行の魔物だ。サン=フォアにはほとんどいなかった。少なくとも俺は相手をしなかった。
「グガ?」
一体が俺に気づいたけど、その瞬間に【石の矢】を目に打ち込んだ。目の奥には脳がある。これはポール殿から教わった狩り方で、素材をできる限り傷めずに回収する方法だそうだ。
「フガ⁉」
「フゴッ⁉」
仲間が倒れたからか他のオークたちが騒ぎ始めた。でも遅い。俺を目にした瞬間に命を落とす。
彼らに恨みはないけど、親から生まれてくる生き物じゃない。それがどうして実体を持つのか理屈は分からないけど、神が地上世界にもたらした富でもあり災でもあると考えられてるそうだ。だからありがたく利用する。
ダンジョンの中には部屋もあるけど、ほとんどが幅も高さも一〇メートル少々の通路でできていた。でもたまに出っ張った部分や引っ込んだ部分があって、頭のいい魔物はそこで待ち伏せしたりするみたいだな。俺は【索敵】で魔物の居場所が分かるから意味がない。レベルが一だと何がいるかまでは分からないけど。
そして魔物は特に問題なく狩れている。一応全て保存してるから、帰ったら寄付するか売るか。そこはポール殿に相談しよう。俺が独占するのも都合が悪いだろう。このペースで狩るととんでもない数になりそうだ。無双するつもりはなかったけど無双状態になってしまった。
入った階を地上一階とすると、そこには魔物はいなかった。地下一階はオークが多く、ゴブリンやコボルドも少しいた。暴走の第一陣に参加しなかったヤツらだろう。それ以外にはオーガやトロルなんて大型の魔物もいた。ステータス的にはかなり強めだな。サン=フォアを囲んだのはレベルの低いゴブリン、コボルドが中心だった。
地下四階まで降りた。ここにも魔物が多い。ただ不思議なのは、魔物が強くなった感じはしない。ステータスを見てもそうだ。むしろ弱くなってる? ダンジョンって下に行けば行くほど敵が強くなるものじゃないのか? それなのにオーガやトロルが減り、強いオークが中心になった。でも相変わらず数は多い。暴走の第二陣って少ないんじゃなかったのか? 四階まででこれだけいたら大変だぞ。全部で五〇階まであるそうだからな。
数が多いと【石の矢】だけじゃ難しいから、剣で首を落とすこともある。どこが素材として使えるか分からないから、倒した側からストレージに入れる。首のない魔物の死体がどんどん追加される。もちろん首も収納してるぞ。首だけ落としてくのも気味が悪いからな。
でもこいつら……棍棒はどこから持ってくるんだ? 木が生えてるわけはないだろうしな。まさか棍棒を持って生まれてくるってわけじゃないだろうな?
「俺は玉砕という言葉には興味がない。自分にできる範囲のことをするだけだ」
代官のポール殿が心配してくれるけど、その心配は無用だ。最初から無理をするつもりはない。暴走の第一陣は片付いた。第二陣との間はしばらく空くそうなので、この機会に単独でダンジョンに入って一部を狩る。
とりあえず俺にできる範囲で減らそうというだけだから、最深部まで行こうとかそういうつもりはない。そもそも今は魔物が多いはずだ。無理そうなら帰ってきたらいい。俺は戦闘で無双するタイプの勇者じゃないからな。
◆◆◆
朝食後、町を出ると小走りでダンジョンのある方に向かう。身体能力が上がってるから自転車より速いな。こっちに来てから走ったことってほとんどないけど、これなら馬車よりも速いんじゃないか?
そして山に向かうこと一時間半、場所は行ったら分かると聞いてたけど、まあたしかに分かる。ダンジョンは場合によっては恐ろしい場所だけど、資源の宝庫でもあるからだ。ようこそダンジョンへって感じだな。今は誰もいないけど、普段ならここに監視のための兵士がいるそうだ。そして冒険者相手に商売をする商人たちも普段はいるそうだ。
魔物の素材はこの領地の収入のかなりの部分を占めている。魔物がいなければ困るけど溢れたら困る。それでもできる限り被害を出さないようにしてるんだそうだ。
分かりやすいように旗が立った入り口から中を覗く。
「さてと、中はどうなっていますかね……ってただの通路か」
ここのダンジョンは石造りの通路っぽい見た目だった。でも人が作ったものじゃないそうなんだよな。それに朝になったら新しい部屋ができたってこともあるそうだ。要するに不思議な存在らしい。
出会い頭の遭遇戦を減らすために【索敵:Lv二】で周囲を探る。このあたりには。魔物はいない。そしていつの間にか【暗視:Lv一】ってあったから使ってるけど、これ色がおかしいな。緑色っぽくなる。これって暗視カメラか? 防犯カメラとかの。レベルが上がってもう少しマシになればいいな。
緑色でも見えることは見えるけど見づらいから、とりあえず進みながら別の方法を探すか。
松明もランプあるけど、片手が塞がる。それなら魔法しかない。前を【照明】で照ら——
「あぁぁ、目がぁ、目がぁ~~あああああああ~~~」
……俺はバカか。【暗視】で暗いところでも見えるようになってるのに、いきなり目の前に魔法の明かりなんか出したら目がやられるに決まってるだろう……。あー、ビックリした。【治療】で治せなかったらダンジョンの中で失明して魔物のエサだったかもしれないな。
一応【地図】は頭の中に表示できてるから、これを頼りに帰ることはできたかもしれないけど、考えなしに魔法を使うのはやめよう。冷や汗が出た。とりあえず視界が緑になるけど、移動中は【暗視】を使うか。【照明】は休憩の時くらいでいい。
「魔物は全然いないな。全部出たのか?」
通路は幅も高さも二〇メートルくらいある。これなら大型の魔物だって通れるな。さすがに巨大なドラゴンは難しいか。ドラゴンの子供なら通れそうだけど。
まあ倒せないくらい強い魔物が出たら逃げる。無茶はしない。【索敵】で調べつつ、いざとなったら【転移:Lv二】で後方へ逃げる。レベル二だからどちらも範囲は広くないけど、【石の玉】を撃ちつつ逃げれば逃げ切れると思う。あれを踏んだら足首を捻って転けるだろう。
しばらく進むと下へ進む道が見えた。
「あー、なるほどね」
階段がある。さっきのを地上階だとするとここは地下一階。魔物が……いるな。あれはオークか? イノシシっぽい牙の生えた二足歩行の魔物だ。サン=フォアにはほとんどいなかった。少なくとも俺は相手をしなかった。
「グガ?」
一体が俺に気づいたけど、その瞬間に【石の矢】を目に打ち込んだ。目の奥には脳がある。これはポール殿から教わった狩り方で、素材をできる限り傷めずに回収する方法だそうだ。
「フガ⁉」
「フゴッ⁉」
仲間が倒れたからか他のオークたちが騒ぎ始めた。でも遅い。俺を目にした瞬間に命を落とす。
彼らに恨みはないけど、親から生まれてくる生き物じゃない。それがどうして実体を持つのか理屈は分からないけど、神が地上世界にもたらした富でもあり災でもあると考えられてるそうだ。だからありがたく利用する。
ダンジョンの中には部屋もあるけど、ほとんどが幅も高さも一〇メートル少々の通路でできていた。でもたまに出っ張った部分や引っ込んだ部分があって、頭のいい魔物はそこで待ち伏せしたりするみたいだな。俺は【索敵】で魔物の居場所が分かるから意味がない。レベルが一だと何がいるかまでは分からないけど。
そして魔物は特に問題なく狩れている。一応全て保存してるから、帰ったら寄付するか売るか。そこはポール殿に相談しよう。俺が独占するのも都合が悪いだろう。このペースで狩るととんでもない数になりそうだ。無双するつもりはなかったけど無双状態になってしまった。
入った階を地上一階とすると、そこには魔物はいなかった。地下一階はオークが多く、ゴブリンやコボルドも少しいた。暴走の第一陣に参加しなかったヤツらだろう。それ以外にはオーガやトロルなんて大型の魔物もいた。ステータス的にはかなり強めだな。サン=フォアを囲んだのはレベルの低いゴブリン、コボルドが中心だった。
地下四階まで降りた。ここにも魔物が多い。ただ不思議なのは、魔物が強くなった感じはしない。ステータスを見てもそうだ。むしろ弱くなってる? ダンジョンって下に行けば行くほど敵が強くなるものじゃないのか? それなのにオーガやトロルが減り、強いオークが中心になった。でも相変わらず数は多い。暴走の第二陣って少ないんじゃなかったのか? 四階まででこれだけいたら大変だぞ。全部で五〇階まであるそうだからな。
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