元ロクデナシで今勇者

椎井瑛弥

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第六部:公爵邸披露パーティー

買い物の続き

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 話が逸れた。
 まあメイドたちが俺にスカートの中を見せても誰も損をしないのは事実なんだ。彼女たちはいずれ俺に手を出されようとしてるわけで、今はそのためにアピールしてる段階だからな。
 ただチップを渡し始めると不公平感が出るから、その代わりに一律で渡すものを考えようかということだ。現金を渡してもいいんだろうけど、それも味気ないからなあ。
 メイドは仕事内容のわりには給料が安い。食費や宿泊費はかからないし、うちはメイド服は支給している。紅茶や砂糖もある程度は好きに使えるようにした。だから屋敷で暮らすだけならほとんど金は使わない。でも彼女たちは町で買い物することはほとんどない。そもそも休みがないし、買えるものがそれほど多くないからだ。何とかしてやりたいけど難しい。
 よくある金の使い道として実家に手紙を書くというのがある。日本のように葉書を買って投函すれば届くわけじゃない。荷物の配達と同じで配達人に頼む必要があって、しかもそれなりの代金を取られる。しかも確実に届くとは限らない。
 食べ物以外で必要なものは衣類だろう。それだってけっして安くはないから、穴が空けばそこを繕って使い続ける。だから最低限の針仕事を覚えてから奉公に出る。
 そうそう、うちは揃いのメイド服は支給してるけど、自前で用意しなければならないことも多いらしい。そうすると地方の貧しい家なら借金をしてでも娘に何着か服を用意して送り出すそうだ。彼女たちはその借金を返済するために働くと。そうやってでも奉公に出さなければ娘が働く場所がないそうだ。
 俺はまだこっちに来て日が浅いから金についての肌感覚が間違ってるかもしれないけど、庶民が買えるものはの三種類だ。ものなんて存在しない。
 その一方でライ麦やジャガイモのように命に直結するものは安い。だからパンも手に入りやすい。
 パンといっても俺の知ってる食パンとかフランスパンとかじゃなく、ライ麦の全粒粉で作った黒パンだ。ちょっと酸味があって硬い。一度適当な店に入って食べたけど、あれはあれでアリだと俺は思った。
 黒パンは焼いてから数か月は持つらしいけど、塊のままだとナイフも通らないくらい硬くなるそうで、薄く切って保存するらしい。
 その黒パンだけど、地球のライ麦と栄養価が違うのか、黒パンと水しか口にしなくても死なないらしい。水でパンを食べるのは味気ないけど、それで生きていけるのはファンタジーだ。ファンタジーと言えばいいわけじゃないだろうけど。
 とりあえず命に直結するもの以外は高いってことだ。だから服でも何でも直して使い続ける。
 直す、か……。
 そういや補強に使いそうな厚手の布もあるけどアップリケは見かけないな。どうせ穴を塞ぐだけにしても、少しデザイン性の高いアップリケなら見栄えが良くなるだろう。候補に入れるか。

「この奥はアレか?」
「はい。ご覧になりますか?」
「ああ、見せてもらおう」
 奥は軽く目隠しがされ、アダルトコーナーのように少し仕切られた感じになっている。ていねいに棚に並べられたアダルトグッズ。部屋の中央には一段高くなった場所があり、そこには大型の器具が並べられていた。
 魔道具ばかりじゃないけど庶民にはかなりの贅沢品だろう。貴族がよく買いにくるというのも分かる。ここにあるのはなくても問題ないものばかりだからな。あれば捗るけど。
「なるほど。一通り揃うんだな」
「はい。当店はこの分野では王都でも唯一無二だという自負がございます」
 お忍びで来てるわけだからケントさんの名前は出せないけど、ケントさんが見本を作り、それを元にしてここの職人たちが作ってるんだろう。さすがにケントさんでも全部自分で作ることはないはずだ。趣味で作っててもおかしくはないだろうけど。
 もし俺がケントさんの立場なら……コレットさんに使う分だけは自分で作り、同じものをいくつか作って店にサンプルとして渡すだろうな。
「これとこれと、それとこれも貰おうか。それとさっきの布や革を」
「ありがとうございます。配達は必要でしょうか?」
「それは大丈夫だ。持って帰れるから問題ない」
 俺はマジックバッグに見せかけた古いカバンを見せた。代金を支払うとそこに買ったものを詰め込む。
「またのお越しをお待ちしております」
「ああ、近いうちにまた」
 ローションなどの消耗品はここで買うことにするかな。

 ◆◆◆

 屋敷に戻って変装を解く。
「お帰りなさいませ」
 ホッとした顔のエドの出迎えを受けた。寄り道するから先に戻ってくれと言ったからだ。何もないとは思ってても、従僕が主人を置いて帰ってくるのはどうなのかと思ってたんだろう。
「何も問題なかったから大丈夫だ。今日あったことは後でみんなに話すけど、とりあえずピトル伯爵からパーティー当日は使用人を借りることができる。ダヴィドにも伝えておいてくれ」
「畏まりました」
 エドと分かれて居間に向かう。この時間ならエミリアもマナー教室が終わってそっちにいるはずだ。リュシエンヌも伯爵令嬢としてエミリアに教えてくれている。
 エミリアは昼間はオレリーから貴族の妻としてのマナーを習い、ミレーヌ(化身アバター)はそれに付き合うという生活をしている。俺はリュシエンヌと一緒に勉強をすることが多い。
 ああ、真面目にやってるぞ。使はゼロとは言わないけど控えめだ。
「ここのところはリュシエンヌの相手が多かったからな。エミリア、ワガママを言ってもいいぞ。何をしてほしい?」
「いえいえ、伯爵家のご令嬢と私を同じ扱いにされては困ります。私は末席で構いません」
 エミリアはそんなことを言うけど、俺はそこまで下げる気はない。俺は側に置きたい女だけを側に置くつもりだ。
 俺は女を抱くのが好きだけど、それは自分が気持ちよくなりたいというだけじゃない。目の前の女を喜ばせたいというのもある。そういうわけでケントさんから渡された道具を使う時が来た。そう、アダルトグッズだ。夜の生活が充実するだろうと思ってさっそく今日から活用することにした。
 当たり前だけど三人は性格も違えば愛され方の好みも違う。
 ミレーヌはお互いに歯が浮くようなベタベタなセリフを口にしながら、ただただ甘々な雰囲気でひたすらイチャイチャし続けるのが好みだ。白い砂浜とどこまでも続く青い海が大きな窓から見えるリゾートホテルのベッドで、ただ体を重ねるだけってイメージプレイが一番のお気に入りだ。【幻覚】を使えばあっという間に部屋が南国になる。
 エミリアの場合は甘々というよりも、じっと目を見ながらストレートに愛情を表現するような、真剣な愛し方を喜んでくれる。でもバックの方が好きなんだよなあ。迎賓館で二人とも酒が入ってテンションが上がった時、「エミリアの尻は本当に美しいな。ここからの眺めが最高だ」とか言ったのが原因だろう。そうだな、俺が原因だ。
 リュシエンヌは知り合ってからまだそれほど経ってないけど、俺の所有物になったという気分を感じられるシチュエーションが好きなようだ。あの控えめな体にロープが食い込むとか、やっちゃった感が凄い。ヤっちゃったけどな。
 三人の性格が分かったと同時に、この国の女は性に対して寛容というか大らかというか積極的というか、まあ好き者が多いようだ。何となくそんな気はした。抱いたわけじゃないけど、王宮の図書室にいたオリエンヌとか、グイグイ来たからな。その気がないと言ったらすぐに離れたけど。
 そういうわけで大量のアダルトグッズを前にしつつ、どれを使ってみたいかと俺と三人で話し合っている。入手元はコレットさんの実家の商会ってことにしている。一部は店で買ったから嘘じゃない。
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