元ロクデナシで今勇者

椎井瑛弥

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第七部:商会と今後のこと

錬金術師という職業の性(さが)

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「おあおうおあいあふ」
「ああ、おはよう、ていうかまだ日も昇ってないぞ。それに口にモノを入れて喋るのは行儀が良くないな」
「ふみまへん。いひどぬきまふね」
 そう言うとイネスは頭を激しく動かし始めた。抜く意味が違うな。拒否したりはしないけど。

 イネスは俺の周りにはいないタイプだ。強いて言えばエミリアとリュシエンヌのハイブリッドに近いか? でもエミリアよりも謙虚と言ったらいいのか流されるままと言ったらいいのか。ある意味ではなすに任せよレッセフェールの極意だった。
 一方でリュシエンヌのように、好きなものに関してはとことん突き詰めるような、探究心の旺盛さも見えた。錬金術師と薬剤師という仕事柄か、イネスは嗅覚と味覚はかなり敏感なようだ。その彼女が何よりも興味を持ったのが俺のアレ、つまり男のシンボルだった。
 行為を終えた後、イネスは俺の性剣を手に取ってマジマジと眺め、しごいて大きくするとそのまま頬張った。しばらくして俺が口の中に出すと、彼女は精液を手の平に出して匂いを確認したり触って糸を引くのを眺めた。まあ分析を始めたわけだ。
 寝る前には二人でシャワーを浴びた。でも男の匂いでも残ってたのかもしれないし、朝立ちに興味があっただけなのかもしれない。ただ股間に違和感を感じて目を覚ますと、そこにはイネスの頭があった。それがさっきの挨拶だ。
 俺と目が合った瞬間に「おはようございます」と彼女は言ったはずだけど、咥えたままだからその微妙な振動がアレに伝わっていい感じに刺激されたと言っておこう。二回りほど大きくなったからな。
 結局イネスが俺のモノを口から離すまでにそれなりに時間がかかり、俺は目が覚めてから五回ほど彼女の口の中に放った。俺のムスコは朝から元気だ。節操がないとも言える。
 かなり深くまで咥え込まれたから、喉の奥に放ったはずだ。俺は無理やり咥えさせるのは好きじゃないけど、イネスがそうしたいなら止めたりはしない。ただ男としては、無理やり喉の奥まで突っ込んでもそこまで気持ちいいわけじゃない。あくまで征服欲だけだろう。でもイネスがそうしてほしいのならしよう。
「少しよろしいですか?」
「どうした?」
「いえ、公爵様のモノを鎮めるつもりでしたが、私が鎮まらなくなりました」
 そんなことを可愛く言ってモジモジとするイネス。でも可愛く言えばいいわけじゃないぞ。
「お前はもう少し先のことを考えてから行動しような?」
 イネスは実家に金を出してもらって王都に出てきて、予算のことを考えずにマジックバッグを買ったり店を借りたり、あるいは高価な素材を買ったりしたそうだ。そのせいで金欠になって一日一食の黒パンで凌いでいた。俺が美容液を買う直前は一日一食も怪しかったらしい。
「でもそれなら公爵様にお会いできていませんでした」
「いや、別の仕事をしてても俺と会ったかもしれない。でもそれこそ運命論か」
 人は自分がどういう人生を送るかは全く分からない。右足から踏み出すか左足から踏み出すか、ただそれだけで人生が変わる可能性もある。そんなこといちいち考えても仕方がない。
「まあそんなことを口にする前に、俺のコレとお前のソレを落ち着かせよう。ほら、挿れるぞ」
「公爵様、できればもう少し雰囲気をですね……」
「昨日から思ってたけど、お前を相手に雰囲気なんて必要か? 俺の愛棒だって研究対象だろう。ほら、突っ込まれたいなら股を開け。何度でも出してやる」
「分かりました。いつでもどうぞ」
 イネスはそう言うと上を向いて足を開いた。さあどうぞと言わんばかりのM字開脚だ。犬か? ワンコを思い出すな。

 ◆◆◆

「なかなか鎮まらないものですね」
 イネスが俺の愛棒を見ながら言う。まあ簡単には鎮まらない。ステータス的にこれが鎮まることはないんじゃないかと思う。普通に到達できる人間としての一番上だからな。
 もちろん年中勃ちっぱなしってわけじゃないけど、いつでもすぐに臨戦態勢に入れる。そして弾切れにもならない。回復力も相当あるからな。実際に昨日の夜から先ほどまでで出したのは……二〇回以上になるな。
「俺の方はこんなもんだ。イネスはどうだ?」
「もう無理です。さすがに腰が……」
 腰が細かく震えていた。立ち上がれば生まれたばかりの仔馬のようになるだろう。
「それなら【体力回復】と【精力回復】をかければ問題ない。まだ朝食まで一時間くらいあるな。媚薬を使うか?」
「まだするのですか⁉」
 イネスが愕然とした表情をした。やろうと思えばどれだけでもできるぞ。ミレーヌをして底なしと言わしめたからな。回復魔法を使えばエンドレスだろう。二四時間耐久とかできるかもな。空腹は感じるだろうけど。
「まあ今日のところは無理はさせないな。でも今後は一晩とかありえるぞ。普段からもう少し体を動かしとけよ。座りっぱなしだと体に悪いぞ」
「分かりました。少し鍛えます」
 イネスは日中は商会にある自分の調合室からほとんど出ないそうだから、場合によっては無理やり引っ張り出して運動させることも必要だろう。運動不足は美容の敵だからな。
 運動か。夜の運動は十分だろうけど、昼間はな。昼に夜の運動をするか?
 そんなことを考えていると、イネスが自分の股間をマジマジと見た。さっき出したものが垂れていた。
「これを元にして何かが作れないでしょうか?」
 イネスは自分の股間を覗き込みながらそんな品のないことを口にする。どこからそんな発想が出るんだ?
「作るとしたら赤ん坊くらいだろう。今は【避妊】を使ってるから無理だけど、来年あたり、ミレーヌの後でいいよな?」
「はい。お願いします、ってそうではなくて、何となくですが先ほどよりも魔力が充実したような気がしまして」
「ああ、俺は魔力が多いからな。精液を介して移ったんじゃないか?」
「なるほど。あり得そうですね」
 イネスは指に付けた精液をじっと見つめた。そしてとんでもないことを言った。
「いくらでも出てくる精液を元にしてポーションが作れれば費用が下がります」
「それは俺が嫌だ」
 そもそも売れるか? もし【鑑定】で成分を見たら吹き出すぞ。マニアになら売れるかもしれないけど。オットセイのアレやタマを精力剤にするのとは違うだろう。
「イネスも自分の愛液がポーションの元にできると分かったら作るか?」
「……心が揺れます。高値で売れるなら」
 一応考えるのか……。性別の違いか? 女だから男の精液で作ったポーションが嫌でないとか。愛液でできたとすればどうなるんだ?
「なあ。もし自分の祖母や母親が愛液でポーションを作ったとしたらどうだ? 貰ったとしても使いたいか?」
「……ちょっと嫌です」
「そういうことだ」
 性別の問題でもなさそうだ。顔が浮かぶからかもしれないな。もしミレーヌの愛液を元にしてポーションを作ったとすれば……他のヤツにはやらん。独占する。使うかどうかは別としてな。
 とりあえず俺を利用したポーション計画は中止させたけど、このままだとイネスが何を作り始めるか分かったものじゃない。間もなくナントカッソンの支店も立ち上げられるはずだ。そうなったら薬草を使った普通の美容液が作れるようになる。
 実はイネスが作ったあの媚薬は、媚薬を作ろうとしてできたものじゃなかった。薬草と茸から抽出した成分を肌に塗ったら潤った気がした。試しに舐めたら気分が良くなったからむしろ媚薬が作れるんじゃないかって頭を切り替えて作ったそうだ。とりあえず何でも口に入れる傾向がある。子供か?
 美容液を作るついでに媚薬を作ってしまうような、天才なのか何なのかよく分からない錬金術師だ。でも結果としてうちの商会になくてはならない人材になった。男女としても切っても切れない縁になったな。
「臍の緒みたいですね」
「いや、あれは切るだろ?」
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