新米エルフとぶらり旅

椎井瑛弥

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第一章 第一部

独白:あるギルド受付のつぶやき(一)

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 ミリヤです。牛人です。ユーヴィ市冒険者ギルドの受付係です。種族的にがあります。どことは言いませんが肉体の一部に。でも、なかなかその包容力を発揮する機会がありません。

 他人に言わせると私はがっつき過ぎらしいですが、今どき草食の牛人なんて流行りませんよ! 世の中は弱肉強食です。負けて悔やんでも遅いんですよ! 即断即決そくだんそっけつ即決速攻そっけつそっこう堅忍果決けんにんかけつ捲土重来けんどちょうらい剛毅果断ごうきかだん金剛不壊こんごうふえ。それが私のモットーです。



 今日は受付が一人足りなくて、ギルド長のルボルさんが受付に座っていました。たまにこういうことがあるんですよ。もっとも誰も近寄らないので暇そうでしたけど。しわ寄せがこちらに来るんですけどねえ。

 そう、今日はものすごい美形が来ました。エルフですよ、エルフ! エルフの美青年! じゅるっ。年齢ははっきりしませんが、となりの美少女がまだ若そうでしたので、そこまで年上でもないと思います。

 まあ仮にずいぶん年上だったとしても、あれだけの美形なら年齢のことなんかポイってできますねどね、ポイって。美形は正義です!

 さあ受付はぜひ私の窓口で!

 ……と思っていたら、何の迷いもなくルボルさんのところに向かいました。ホワイ?

 そのエルフさんはルボルさんと笑いながら話をしています。もしかしたらの人? あんなおっさんがいいのでしょうか。でも隣りにいるのは美少女ですよねえ。女性に興味はあるはずですよねえ。

 二人は依頼票を手にしたらまたルボルさんの方へ。そして話をしてから三人で裏の方へ向かってまた戻ってきました。何をしていたのかよく分かりません。

 二人が帰った後で、どうしてこっちに仕事を振ってくれなかったのかとルボルさんに聞いたら、ただ空いている窓口が一つだけだったと。あー、あの時にジャンが目の前にいなければ……くーっ、アイツ、次に会ったら〆る!

 ルボルさんが戻ってきたのでそろそろ休憩をいただきます。それほど人が来ないギルドとは言え、二人ではきついんですよ。声を出すから喉も痛くなるし。私の喉は繊細なんです! この美声を維持するのは大変なんですよ! お茶でも飲みながらクッキーでも摘んで……



 ここは休憩室のはずですよね~。

 床の上に何かがありますね~。

 これってあれですよね~。

 ホーンラビットの生首ですよね~。

 なんでこんなに山盛りあるんですか~?

 みんな恨めしそうにこっちを見てますね~。

 目が合ってますよ~。

 ものすごく血なまぐさいですよ~。



 ウギャーーーーーーーーーー!
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