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第一章 第三部
教会再訪、そして驚くべき事実
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早い方がいいだろうと、今日は朝から教会に向かっている。ところであの教会、[地図]にマークしてたからいいけど、普通は迷うよこれ。町の中ではできれば[転移]は使わないようにしているから歩いてるけど、[地図]がなければ絶対に[転移]を使ってたね。
ボロボロの教会に行くと、シスター服のセラフィマが出迎えてくれた。
「おはようございます、ここまで迷わなかったです?」
「大丈夫だよ。それよりキラちゃんはいる?」
「呼んできます」
お茶をいただきながら待っているとすぐにキラちゃんを連れて戻ってきた。
「昨日の話だけど、キラちゃんはここを出て僕のところに来てもいいの?」
「大丈夫」
「家族と話したけど、キラちゃんが自分で来てもいいと言ったら引き取ることにしたんだ」
「付いていく」
「それならいつ行こうか? 急がなくてもいいよ」
「すぐでいい。準備はできてる」
「そ、そう? じゃあセラフィマさん、手続きとかはどうなの?」
「何もないですよ。もう連れて行きます?」
「ええ、本人がそう言ってるからね」
「では荷物を取ってきます。玄関を出たところにいてもらえます?」
「分かった。じゃあキラちゃん、玄関で待ってようか」
玄関で庭を眺めながら待っているとセラフィマさんが大きなリュックを背負ってやってきて、『閉鎖』と書かれた紙を貼り付けた。
「では向かうのはどちらです?」
「あれ? セラフィマさんも来るの?」
「?」
そんなに可愛く首を傾げても……。
「いや、『何をわけの分からないことを言ってるの、この人は?』みたいな顔で見られても困るんだけど」
「一人も二人も同じですよ」
「セラも一緒」
「あ、うん、とりあえず連れて行くね。その荷物は僕が持つよ」
「いえ、これくらいは大丈夫です」
なかなか力持ちだな。
「ケネスさん、私のことはセラと呼んでください。名前は呼び捨てでいいです」
「いいの?」
「はい、これからお世話になりますし」
「お世話になります」
「僕のことは好きに呼んだらいいよ」
「では先生で」
「なんで先生?」
「教会では上の人を先生と呼びますよ?」
「何の宗派? そもそも僕は神父じゃないよ?」
「でもそれでいいです」
「キラも好きに呼んでいいよ」
「先生」
「はいはい」
向かう先は貴族たちが暮らす一等地を抜けたさらに先。かなり離れているのでゆっくりと時間をかけて歩く。
僕の右には大きなリュックを背負ったシスター服の小柄なセラ、左には僕の手を握った小柄なキラ。これで一等地を歩いていると目立つけど、場所が場所だけに人通りは少なくて助かる。でもどの家の門衛からも怪訝な目で見られるけど。
昼前には離宮に到着。門衛に二人のことを伝えてから離れに向かった。
「ただいま」
「旦那様、次の写真は神父とシスターでいきますか?」
「違うよ。まずは紹介くらいさせてよ。こちらが昨日言っていたキラ。それで一緒に付いてきたこちらのシスター見習いがセラフィマ」
「セラフィマと言います。セラと呼んでください。シスター見習いです。こちらはキラ。幼馴染です」
「え、幼なじみ? キラは孤児じゃなかったの?」
「キラが孤児だと言ったことはありませんよ? むしろ孤児は私です」
「私は売られそうになったから町を出ただけ」
「ん? あー、たしかに言われて……ないね……そういうことか。嘘をつかれたわけではないね……」
セラが元孤児でシスター見習い。キラはセラの幼なじみ。セラが王都に来る時に、売られそうになったキラと一緒に来た。そしてセラは教会でシスター見習い、キラは孤児じゃないけど孤児院で暮らしていた。そんなところだろう。僕が勝手にキラのことを最後まで残ってしまった孤児だと思い込んでいただけなのか。
「キラです」
「でも二人とも似ていますね。姉妹と言ってもいいくらいですね、ケネス」
「マスターの意表を突くとは~なかなか強かですね~。そういうのは嫌いじゃないですよ~」
「先輩、家の横に教会でも建てますか?」
「建てようと思えば建てられるけど、そもそも必要?」
「神父さんに拾ってもらったので教会でシスター見習いをしていました。この服装を続ける必要もないです」
「セラ様、服装も一つの個性です。大切にすべきですよ」
「ねえねえ、キラちゃんはいくつ?」
「一六」
「「「「え?」」」」
「ちなみに私は二〇です」
「その娘らはドワーフじゃろ。背が低くて当然じゃ」
「二人とも人間じゃなかったの?」
「はっきりしたことは分かりませんが、おそらく二人ともドワーフです」
「年も聞かれなかった」
「いや、普通は会っていきなり年齢や種族は聞かないと思うけど……」
【名前:[セラフィマ]】
【種族:[ドワーフ]】
【年齢:[二〇]】
【名前:[キラ]】
【種族:[ドワーフ]】
【年齢:[一六]】
うん、確認したら二人とも種族がドワーフだね。ドワーフって人間より背が低いとは聞いていたけど、こういう見た目だとは……。勝手にもう少しゴツいと思い込んでた。
たしかによく見れば目鼻立ちは子供ではないなあ。でも背が低いから、どうしても幼く感じてしまう。耳がほんの少し尖ってるけど髪に隠れがちだし、よく見ないと分からない。エルフの僕の耳もそんなに長くないしね。
うちの家族でミシェルを除けば背が高い方から僕、マリアン、エリー、カロリッタ、マイカ、リゼッタの順。その下にセラ、キラ、そしてミシェルと続くようだ。
僕は日本人時代と背が変わっていないようなので一八〇弱。頭の位置で考えると、マリアンは僕より少し低い一七五くらい。エリーとカロリッタはマリアンより少し低いから一七〇前後。マイカは一六〇くらいかな。リゼッタは一五〇あるかどうか。セラが一四〇くらいでキラが一三〇くらい。ミシェルは五歳としては少し高くて一二〇くらい。
「まあ色々驚いたけど、人がいなくなってもあの教会にいたのはなんで? 言いにくいこともあると思うけど」
「私は町の教会の神父さんに拾われて教会で暮らしていたです。それで教会でシスター見習いをしていたです。それから王都の教会に来ることになりました。キラは口減らしで売られそうになったので誘いました。王都に入るのに身分証がなかったので私の妹ということにしたです。それで教会にも入りました。一週間も経たないうちに他の人はいなくなったので、それからは毎日食っちゃ寝でした」
「二人ともよく食べる」
「食い潰したんじゃないだろうね?」
「それは大丈夫です。食い潰すほど残ってなかったです」
「備品を売ってお金に替えてた。椅子とか机とか」
「壁の石材はだいぶ売ったので、もう床しか残ってなかったです。あれ以上壁を売ると屋根が崩れます」
「ボロボロにしたのは自分で?」
「神父のパオロさんは田舎に帰る前に、『もう君の教会だ』『売るも壊すも立て直すも自由だ』と言ったです。だから食費を稼ぐのに売って、結果としてボロボロになったです。いい材料を使っていましたから、なかなかいい値で売れましたよ?」
こういうのもたくましいと言うんだろうか。
「ところでキラ、昨日は僕の方をじっと見て何も言わなかったけど、あれはなんで?」
「観察」
「観察? 僕を?」
「そう。ドワーフだと気付いてなかった。いい人っぽい。そして表情からロリコンじゃない」
「嫌な観察のされ方もあったもんだ……」
「それでここに来たら奥さんがいっぱい。ロリコンじゃない。そして私は子供じゃない。だからOK」
そう言いながら親指をグッと突き出すキラ。
「何がOK?」
「それを女性に言わせるのはダメ」
「……」
「私たちもびっくりするくらい強かですね~、エリーさん」
「はい、素晴らしい理論と押しですね。旦那様がまったく言い返せていませんね」
「キラは少し言葉が足りないですが、意見ははっきり言います。そのキラがOKというならOKです。ちなみに私もOKです」
「押し売りは結構です」
◆ ◆ ◆
「ところで先生」
「ん?」
「おなかが空きました」
「空腹」
「もうすぐお昼だね」
「味はどんなものでも大丈夫です。とにかくたくさん必要です」
「あればあるだけいい」
「あればあるだけって……リゼッタ、お昼はどうする予定だったの?」
「はい、おそらくケネスは早く戻ってくると思ったので、帰ってきてから決めてもいいのではと話していました」
「いや、この離れをお借りしてるのに、急に厨房を使ったりするのは迷惑がかかるんじゃない?」
「それは大丈夫ですよね~エリーさん」
「はい、旦那様。料理長から旦那様の料理を見てみたいと言われています」
「先輩、バーベキューとかどうですか?」
王族の離宮の庭でバーベキューとかいいの? 広さはいいけど、ガーデンパーティーとか大丈夫なんだろうか。
「ここで? まあ、庭を借りればできると思うけど、いいのかなあ」
「お前様、そのバーベキューというのは、たしか肉を焼いたりする料理ではなかったかのう?」
「そうだよ。安全な河原でしたりするね。本来は半日とか一日かけてじっくり焼くものだけど」
「それなら、みなも呼んで食べればいいと思うのじゃが」
「マイカ、殿下たちに許可と参加のことを聞いてもらえる?」
「分かりました」
「そういうわけで、セラ、キラ、許可が出たら庭で肉を焼くからね」
「分かりました」
「分かった」
とりあえず、食材はいくらでもある。焼き肉ならタレが必要か。何種類か作っておこうか。
「先輩、庭を使っても大丈夫だそうです。姉たちも参加すると」
「よし、肉は大量に漬け込んだから、これから庭で準備をしようか」
「それが、離宮の使用人のみんなも参加させてほしいそうです」
「え? じゃあけっこう多い?」
「四〇人くらいです。みんな先輩が何か作るんじゃないかと期待していたそうで、料理長たちも今日は何も作らずに待っていたそうです。庭で肉を焼きながら食べるというのが気になるそうですね」
「何やってんの……。そりゃそれだけ期待されたら作るけどね。僕が戻らなかったらお昼なしだったんじゃない?」
「その時は急いで何か作るつもりだったそうです」
「……うん、まあいいや。じゃあすぐに用意をするから、みんな手伝って」
「「「「はい」」」」
ボロボロの教会に行くと、シスター服のセラフィマが出迎えてくれた。
「おはようございます、ここまで迷わなかったです?」
「大丈夫だよ。それよりキラちゃんはいる?」
「呼んできます」
お茶をいただきながら待っているとすぐにキラちゃんを連れて戻ってきた。
「昨日の話だけど、キラちゃんはここを出て僕のところに来てもいいの?」
「大丈夫」
「家族と話したけど、キラちゃんが自分で来てもいいと言ったら引き取ることにしたんだ」
「付いていく」
「それならいつ行こうか? 急がなくてもいいよ」
「すぐでいい。準備はできてる」
「そ、そう? じゃあセラフィマさん、手続きとかはどうなの?」
「何もないですよ。もう連れて行きます?」
「ええ、本人がそう言ってるからね」
「では荷物を取ってきます。玄関を出たところにいてもらえます?」
「分かった。じゃあキラちゃん、玄関で待ってようか」
玄関で庭を眺めながら待っているとセラフィマさんが大きなリュックを背負ってやってきて、『閉鎖』と書かれた紙を貼り付けた。
「では向かうのはどちらです?」
「あれ? セラフィマさんも来るの?」
「?」
そんなに可愛く首を傾げても……。
「いや、『何をわけの分からないことを言ってるの、この人は?』みたいな顔で見られても困るんだけど」
「一人も二人も同じですよ」
「セラも一緒」
「あ、うん、とりあえず連れて行くね。その荷物は僕が持つよ」
「いえ、これくらいは大丈夫です」
なかなか力持ちだな。
「ケネスさん、私のことはセラと呼んでください。名前は呼び捨てでいいです」
「いいの?」
「はい、これからお世話になりますし」
「お世話になります」
「僕のことは好きに呼んだらいいよ」
「では先生で」
「なんで先生?」
「教会では上の人を先生と呼びますよ?」
「何の宗派? そもそも僕は神父じゃないよ?」
「でもそれでいいです」
「キラも好きに呼んでいいよ」
「先生」
「はいはい」
向かう先は貴族たちが暮らす一等地を抜けたさらに先。かなり離れているのでゆっくりと時間をかけて歩く。
僕の右には大きなリュックを背負ったシスター服の小柄なセラ、左には僕の手を握った小柄なキラ。これで一等地を歩いていると目立つけど、場所が場所だけに人通りは少なくて助かる。でもどの家の門衛からも怪訝な目で見られるけど。
昼前には離宮に到着。門衛に二人のことを伝えてから離れに向かった。
「ただいま」
「旦那様、次の写真は神父とシスターでいきますか?」
「違うよ。まずは紹介くらいさせてよ。こちらが昨日言っていたキラ。それで一緒に付いてきたこちらのシスター見習いがセラフィマ」
「セラフィマと言います。セラと呼んでください。シスター見習いです。こちらはキラ。幼馴染です」
「え、幼なじみ? キラは孤児じゃなかったの?」
「キラが孤児だと言ったことはありませんよ? むしろ孤児は私です」
「私は売られそうになったから町を出ただけ」
「ん? あー、たしかに言われて……ないね……そういうことか。嘘をつかれたわけではないね……」
セラが元孤児でシスター見習い。キラはセラの幼なじみ。セラが王都に来る時に、売られそうになったキラと一緒に来た。そしてセラは教会でシスター見習い、キラは孤児じゃないけど孤児院で暮らしていた。そんなところだろう。僕が勝手にキラのことを最後まで残ってしまった孤児だと思い込んでいただけなのか。
「キラです」
「でも二人とも似ていますね。姉妹と言ってもいいくらいですね、ケネス」
「マスターの意表を突くとは~なかなか強かですね~。そういうのは嫌いじゃないですよ~」
「先輩、家の横に教会でも建てますか?」
「建てようと思えば建てられるけど、そもそも必要?」
「神父さんに拾ってもらったので教会でシスター見習いをしていました。この服装を続ける必要もないです」
「セラ様、服装も一つの個性です。大切にすべきですよ」
「ねえねえ、キラちゃんはいくつ?」
「一六」
「「「「え?」」」」
「ちなみに私は二〇です」
「その娘らはドワーフじゃろ。背が低くて当然じゃ」
「二人とも人間じゃなかったの?」
「はっきりしたことは分かりませんが、おそらく二人ともドワーフです」
「年も聞かれなかった」
「いや、普通は会っていきなり年齢や種族は聞かないと思うけど……」
【名前:[セラフィマ]】
【種族:[ドワーフ]】
【年齢:[二〇]】
【名前:[キラ]】
【種族:[ドワーフ]】
【年齢:[一六]】
うん、確認したら二人とも種族がドワーフだね。ドワーフって人間より背が低いとは聞いていたけど、こういう見た目だとは……。勝手にもう少しゴツいと思い込んでた。
たしかによく見れば目鼻立ちは子供ではないなあ。でも背が低いから、どうしても幼く感じてしまう。耳がほんの少し尖ってるけど髪に隠れがちだし、よく見ないと分からない。エルフの僕の耳もそんなに長くないしね。
うちの家族でミシェルを除けば背が高い方から僕、マリアン、エリー、カロリッタ、マイカ、リゼッタの順。その下にセラ、キラ、そしてミシェルと続くようだ。
僕は日本人時代と背が変わっていないようなので一八〇弱。頭の位置で考えると、マリアンは僕より少し低い一七五くらい。エリーとカロリッタはマリアンより少し低いから一七〇前後。マイカは一六〇くらいかな。リゼッタは一五〇あるかどうか。セラが一四〇くらいでキラが一三〇くらい。ミシェルは五歳としては少し高くて一二〇くらい。
「まあ色々驚いたけど、人がいなくなってもあの教会にいたのはなんで? 言いにくいこともあると思うけど」
「私は町の教会の神父さんに拾われて教会で暮らしていたです。それで教会でシスター見習いをしていたです。それから王都の教会に来ることになりました。キラは口減らしで売られそうになったので誘いました。王都に入るのに身分証がなかったので私の妹ということにしたです。それで教会にも入りました。一週間も経たないうちに他の人はいなくなったので、それからは毎日食っちゃ寝でした」
「二人ともよく食べる」
「食い潰したんじゃないだろうね?」
「それは大丈夫です。食い潰すほど残ってなかったです」
「備品を売ってお金に替えてた。椅子とか机とか」
「壁の石材はだいぶ売ったので、もう床しか残ってなかったです。あれ以上壁を売ると屋根が崩れます」
「ボロボロにしたのは自分で?」
「神父のパオロさんは田舎に帰る前に、『もう君の教会だ』『売るも壊すも立て直すも自由だ』と言ったです。だから食費を稼ぐのに売って、結果としてボロボロになったです。いい材料を使っていましたから、なかなかいい値で売れましたよ?」
こういうのもたくましいと言うんだろうか。
「ところでキラ、昨日は僕の方をじっと見て何も言わなかったけど、あれはなんで?」
「観察」
「観察? 僕を?」
「そう。ドワーフだと気付いてなかった。いい人っぽい。そして表情からロリコンじゃない」
「嫌な観察のされ方もあったもんだ……」
「それでここに来たら奥さんがいっぱい。ロリコンじゃない。そして私は子供じゃない。だからOK」
そう言いながら親指をグッと突き出すキラ。
「何がOK?」
「それを女性に言わせるのはダメ」
「……」
「私たちもびっくりするくらい強かですね~、エリーさん」
「はい、素晴らしい理論と押しですね。旦那様がまったく言い返せていませんね」
「キラは少し言葉が足りないですが、意見ははっきり言います。そのキラがOKというならOKです。ちなみに私もOKです」
「押し売りは結構です」
◆ ◆ ◆
「ところで先生」
「ん?」
「おなかが空きました」
「空腹」
「もうすぐお昼だね」
「味はどんなものでも大丈夫です。とにかくたくさん必要です」
「あればあるだけいい」
「あればあるだけって……リゼッタ、お昼はどうする予定だったの?」
「はい、おそらくケネスは早く戻ってくると思ったので、帰ってきてから決めてもいいのではと話していました」
「いや、この離れをお借りしてるのに、急に厨房を使ったりするのは迷惑がかかるんじゃない?」
「それは大丈夫ですよね~エリーさん」
「はい、旦那様。料理長から旦那様の料理を見てみたいと言われています」
「先輩、バーベキューとかどうですか?」
王族の離宮の庭でバーベキューとかいいの? 広さはいいけど、ガーデンパーティーとか大丈夫なんだろうか。
「ここで? まあ、庭を借りればできると思うけど、いいのかなあ」
「お前様、そのバーベキューというのは、たしか肉を焼いたりする料理ではなかったかのう?」
「そうだよ。安全な河原でしたりするね。本来は半日とか一日かけてじっくり焼くものだけど」
「それなら、みなも呼んで食べればいいと思うのじゃが」
「マイカ、殿下たちに許可と参加のことを聞いてもらえる?」
「分かりました」
「そういうわけで、セラ、キラ、許可が出たら庭で肉を焼くからね」
「分かりました」
「分かった」
とりあえず、食材はいくらでもある。焼き肉ならタレが必要か。何種類か作っておこうか。
「先輩、庭を使っても大丈夫だそうです。姉たちも参加すると」
「よし、肉は大量に漬け込んだから、これから庭で準備をしようか」
「それが、離宮の使用人のみんなも参加させてほしいそうです」
「え? じゃあけっこう多い?」
「四〇人くらいです。みんな先輩が何か作るんじゃないかと期待していたそうで、料理長たちも今日は何も作らずに待っていたそうです。庭で肉を焼きながら食べるというのが気になるそうですね」
「何やってんの……。そりゃそれだけ期待されたら作るけどね。僕が戻らなかったらお昼なしだったんじゃない?」
「その時は急いで何か作るつもりだったそうです」
「……うん、まあいいや。じゃあすぐに用意をするから、みんな手伝って」
「「「「はい」」」」
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