新米エルフとぶらり旅

椎井瑛弥

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第二章 第一部

旅の再開とホルスト市、そして種族について

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 ユーヴィ市まで行って妙に疲れたけど、今日から旅を再開する。でも大森林の様子の確認と魔素吸引丸太の設置もあるから、たまに森に行って、また旅の続きをして、という繰り返しになりそう。




 さてと……旅の方は王都を出たところだから、五日ほどで二重都市群の内側のホルスト市。そこから五日ほどで二重都市群の外側のカルスナ市。そこから一〇日ほどでポーリ市。ポーリ市はトゥーリ市の反対側、直轄領の東の入り口だね。

 これからホルスト市へ向けて歩くけど、カロリッタは斥候として先行し、リゼッタは少し後ろを歩いている。

 リゼッタはガイド、カロリッタは護衛として、以前は僕の側を離れなかった。でも半年近くも経てばもう実力の点では心配はないから、そろそろ一人で行動しても大丈夫だろうという話になったらしい。二人とも過保護だよね。

 そして今日はセラとキラも外を歩いている。二人とも小柄だけど元気だから、僕が歩くペースでも全然問題なさそう。

 ちなみにセラがシスター服なのは分かるとして、なぜかキラも色違いのシスター服を着ている。セラがネイビーで、キラはグレー。歩くのに向いている服装だとは思わないけどね。

 二人はシスター服の上に金属製の胸鎧を着けて、ハルバードを片方の肩に乗せている。武器が欲しいと言ったので、手持ちの武器を一通り見せたらハルバードが気に入ったらしい。二人とも小柄だから、ハルバードが背丈の倍以上ある。

 町に入る時は邪魔になるからマジックバッグを渡して、そこに入れるのように言ってある。僕が作ったマジックバッグで、今は腰の後ろに付けている。

「セラは服装にこだわりはないって言ってなかった?」
「この服です? もうシスター修女を続ける意味はないですが、エリーさんが渡してくれたです」
「差別化は重要」
「ドワーフでシスター修女というのは、先生の頭の中にはあまりないとマイカさんが言ってたです。これなら差別化が可能だと」
「身内で差別化を図る必要はないと思うよ」

 この二人とのやり取りにもだいぶ慣れたなあと思う。やや癖のある話し方のセラと言葉少なめのキラ。いいコンビではあるよね。

「二人は東から来たんだよね。あっちの山の向こうだっけ?」
「はい。ディキリという町です。特に何もない田舎町です」
「本当に何もない」

 直轄領の東から南東にかけては大きな山があり、その山の北がトゥルヴァ伯爵領、その山の東がカルキ男爵領。ディキリ町はカルキ男爵領の一番西の端にある山裾の町。

「歩くのは得意です。ずっと歩いて王都まで来たです」
「歩いて節約」

 キラが言いたいのは、馬車に乗るとお金がかかるから、歩いて節約した分を食事代に回したってことだろう。

「山の麓をずっと歩いてきました。山にあるものを食べていたので飢えることはありませんでした。直轄領に入るまで、ほとんどお金はかからなかったです」
「猪も狩って食べた」
「怪我しなかった?」
「怪我はなかったです。でも槍を折ってしまいました。武器がないのは少し心細かったです」
「解体用のナイフだけ」
「嬉しいのは分かるけど振り回さないようにね」

 うれしそうにハルバードを持ち上げて振り回す二人に注意した。

「このまま直轄領を抜けて進むけど、その先のトゥルヴァ市は少し北になるから、どうしようかと考えてるんだよね」

 王都ヴィリョンからホルスト市、そしてカルスナ市までは真っ直ぐ東に向かうからいいとして、そこからポーリ市、そしてトゥルヴァ伯爵領の領都トゥルヴァ市までの街道は北東に向かうから、どう進もうかと考えている。山と森があるから、主街道は大きく迂回してるんだよね。

 今のところはこの国の一番東にあって、エリーの故郷でもあるヴァリガ市を目指してるんだけど、そこは王都から見ると真東よりやや南になる。このまま真東に向かって、山の麓をかすめるように進むか、いっそのこと山の中を通ればかなりのショートカットになる。街道じゃないところを通るのは今さらだから。

「案内というほど詳しくはないですが、ある程度の道はわかりますよ?」
「山は得意」
「山ではなぜか迷わないです」
「それは種族の特徴だろうねえ。まあ山に入るのはいいんだけど、ディキリ町の近くまで行くけどいいの?」
「今はここが居場所なので」
「そうそう」

 二人して僕の腕をポンポンと叩く。前もやってたよね。何かが意味あるのかな?

「キラは黙って家を出てきたんでしょ? 気分的にどうかなと思ってね。家族に何か言われないか心配かな」
「大丈夫。もう気にしない」
「キラが気にしないと言えば本当に気にしないので大丈夫です」
「分かったよ。じゃあそちらに進むことも考えるね」



 それから四日、東へ進みつつも暇を見て西の大森林へ魔素吸引丸太を置くというのを繰り返した。でも毎日一時間程度ではそこまで数を置くことはできないので、かなり気の長い作業になりそう。


◆ ◆ ◆



 ホルスト市が近付いてきた。ここも人口は七〇〇〇人程度。特殊な産業などはないけど、東から人と物が流れてくる。

 さて、この町に入るのに馬車に乗るかどうかという話になったら、「できれば乗らずに済ませたいです」とマイカが言ったので、普通に歩いて入ることになった。

 マイカとしてはあまり貴族の娘ということを意識したくないらしい。でも城門で長い時間待つとミシェルが疲れるので、早く入れるように貴族の身分証を見せることもあった。もう馬車はスーレ市と王都に入る時くらいでいいと。

 それならここからは希望者のみで町に入るということになった。みんなで並んで入るのは僕の変なこだわりなだけだから無理して続ける必要はないんだよね。そういうわけで、今日のところは僕とセラとキラが町に入ることになった。

 いつも一緒のリゼッタとカロリッタは、今日は大森林へ魔素吸収丸太を設置に行ってくれている。このままチマチマ設置するよりも、まとめて済ませた方が旅を楽しめるからだそうだ。

 それにカローラさんが丸太の追加を作ってくれているから、なかなか減りそうで減らないというのもある。とりあえずこの三人には後日お礼をすることになっている。



 城門では特に何の問題もなく、そのまま町中へ向かった。途中で商業地区の場所を聞き、まずは食事をしてから買い物をすることになった。

「食べたいものを食べたらいいからね」
「舌が肥えて外食がつらくなるかもしれないです」
「あの頃には戻りたくない」
「本当に苦労してたんだね……」

 うちのご飯は美味しいからね。

 最初は僕がエリーに教えていたけど、マイカが来てからは彼女がエリーに教えるようになった。最近のエリーの腕はかなり上達したと言っていい。レオンツィオ殿下の離宮にいた時も、エリーが料理長に教えていたくらいだからね。

 王族の離宮だけあって、料理長の腕は確かだし、他の料理人たちも上手だった。でもレパートリーが少ない。食材も豊富だし、調味料などもそれなりにあったからもっと作れそうなものだけど、やっぱり一つの国だけではそこまでレパートリーが広がらないんだね。

 日本にいたら和洋中のどれでも食べられたし、レシピも検索すればどんなものでも出てきたけど、ここではなかなか難しい。

 とりあえず食事は普通の食堂っぽいところでいいかな。前みたいに大食い専門店じゃなくて、普通に選べるところがいい。

 三人で歩きながら選んだ店はそれなりにボリュームもあって美味しく、二人の心配も気にならないほどだった。



 この国では、王都よりも東の方が町が多いから、集まってくる種族も東の方が多い。王都より西を考えると、ラクヴィ市は領主が犬人だから獣人が多かったけど、他の町には人間以外の種族はあまりいなかったんだよね。少なくとも親しいと言えるほどには……あ、ユーヴィ市にはミリヤさんがいたか。そしてこの町の商業地区にも様々な種族が集まっている。探せばエルフもいるだろう。

 種族について言えば、以前セラが「おそらく二人ともドワーフ」と言ったのを聞いて少しおかしいなと思っていた。セラは神父に拾われたらしいからはっきりとは分からないにしても、キラには両親はちゃんといるはずだから分かるはず。それなのにどうしてなのかと思ったら、やはり異世界では地球の常識は通じなかった。

 地球なら遺伝子は父親と母親から半分ずつ受け継ぐことになる。だから理屈の上では父親の特徴と母親の特徴が半分ずつ現れる。でもここでは話が違った。

 カローラさんから聞いた話によれば、父親も母親も人間だとしても、血筋の例えばエルフなりドワーフなりが入っていれば、生まれてくる子供はエルフやドワーフになることもある。そしてこの世界では、『人』であれば種族に関係なく子供を作ることが可能。だから混ざり具合がかなり高く、自分は人間だと思っていても、遡ればどこかにエルフやドワーフや獣人や妖精の血が入っていても全然おかしくない。

 その結果、兄弟全員が種族が違うということすら可能性としてはあり得る。それで普通に生活しているらしいからすごいよね。このように子供の種族が決まるから、ハーフエルフのように『ハーフ○○なになに』と呼ばれる存在はほとんどいないらしい。もちろん両親が人間なら子供は人間であることが多いのは間違いないらしい。

 でも親としてはできれば自分と同じ種族で生まれてほしいと思うのは仕方のない話で、疎ましく思うほどではないにしても、やはり扱いが違ってくることもあるらしい。だから自分は捨てられたのではないかとセラは言っていた。そう決めつけるのもどうかと思うけどね。

 そういうわけで、この世界の種族というのは思った以上にややこしかった。そしてこの商業地区もかなりカオスだね。そもそもどこまでが『人』でどこからが『人』でないのかも僕には判断ができないけど、向こうにはおそらくラミアとハーピーとケンタウロスがいる。

 これらの種族は『亜人』、つまり『人』に近しいものと見なされる世界もあれば、『魔物』や『魔獣』と見なされる世界もある。この世界では『亜人』らしい。では『人』が何かと言えば、人間と同じような顔と手足があるのが『人』で、頭や手足が違えば『亜人』、意思疎通ができなければ『魔物』や『魔獣』となるそうだ。



 昼食も済ませたところで、次は買い物。僕が買うのは食材が多いので、それらの店が集まっている場所を聞いて向かう。

 角のところに果物を扱っている店があったので覗いてみることにした。見たことのある果物がほとんどみたいだけど、店長さんは人がよさそうだったので色々と聞いてみることにした。

「すみません。これは種しかないのですか?」
「さすがに生の果物は腐るからねえ。一応ここに写真はあるから、こういうものだと想像してもらうしかないね」

 隣国からやって来ているものもあるけど、さすがに生の果物はほとんどない。種は写真と説明を添えて売られているみたいだ。これはバナナとパイナップルだね。日本で見たものと違ってまだ品種改良されていないから種があるのか。植えてみようかな。

「乾物になった果物ならあるけど、生のものは富裕層向けだからねえ。ほとんどマジックバッグを使って王都に運ばれてるよ」

 しまった、王都で買っておくべきだった。芝居を見に行ったり大聖堂の見学に行ったりはしたけど、思ったほど買い物はしなかったんだよね。次に戻った時に買いに行こうか……。でも育てた方が早いかな?

「ではこの二つと、他に何か珍しいものはありますか?」
「珍しいものねえ……」

 そう言うと店主はカウンターの横にある棚から箱を取り出した。

「うちに持ち込まれた中でも珍しいのはこれだけどね、商品として扱うのは正直言って割に合わないね」

 箱の中には大きな茶色の塊。ココナッツだね。ヤシの実とも言う。これが種なんだよね、大きいけど。

「これはいくつありますか?」
「それも入れて全部で七つかな。まとめて買ってくれるならおまけするよ」
「では全部買います」
「持って帰れるかい?」
「大丈夫です」

 バナナとパイナップルの種、それとココナッツの代金を払って店を出た。

「かなり大きいですが、本当に種です?」
「魔獣の頭みたい」
「これはココナッツ。ヤシの実という言い方もあるね。ココヤシという植物の種だよ。若いうちは緑色で、成熟すると茶色になる。ここから芽が出て大きな木になるからね」

 若い実の中に入っているのがココナッツジュース。成熟した実の中の白い部分がココナッツミルクやココナッツフレークになる。

 ココナッツの使い方を説明しながら次の店を探していた。
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