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第二章 第二部
屋台を開く
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開店二日目、うん。混雑。ここまで混むとは思っていなかった。
出だしは昨日と同じくほとんどお客さんがいなかった。特に宣伝もしていないから当たり前だろう。ところがお昼くらいになったら増え始めた。どうやら商人ギルドや薬剤師ギルドの女性たちが宣伝してくれたらしい。
この店のことを気にしていたのはセニヤさんだけじゃなかった。商人ギルドや薬剤師ギルドの女性たちが仕事帰りに寄ってくれた。
そして今日になって商人ギルドと薬剤師ギルドを訪れた人たちが、受付の女性が着ている服や、ツヤツヤになった髪や肌を見て、今度はその人たちが買いに来たと。
この店で扱っているものは基本的に女性向けの商品ばかりだけど、男性が買っていくこともある。もちろんプレゼント用だ。店構えを見て入りにくそうにしている男性がいれば、僕が声をかけて店内に迎え入れるようにしている。
一度だけ、この店の商品を仕入れることができないかと聞かれたけど、『今は無理』とお断りした。卸すのはしばらくは断るというのをマイカが決めているからだ。
建前として、服は大量に仕立てることができないし化粧品は日持ちがしないと説明した。本音としては、まずはこの町の女性たちに着てもらいたいし、他の店から警戒されることを避けたいとかかな。
この店はあくまで小売りで、今のところは町中で布を扱っている店から布を仕入れ、それを仕立てて販売する形を当面は続けるそうだ。
「思った以上に大変でした」
「女性のおしゃれへの熱意を感じたね。どの世界でも同じだね」
バテ気味のマイカを労う。カローラも頭を撫でてほしそうなので一緒に撫でた。
「しかし次はどのタイプにするかを考えないとのう」
「次はもっとふわっとしたタイプはどうでしょうか?」
エリーとマイカは次にどのような服を売るかを考えている。この町の人口は一六〇〇人もいない。そしてこの町は男性の方が多いので、女性の数は八〇〇人を切る。同じ服ばかりを売り続けるわけにもいかない。
もちろん気に入った服がダメになったので買い換えたいという需要もあるだろう。だから、これまで売っていたものをいきなりなくすことはないと思うけど、ある程度は入れ替えをしないといけない。
「やはりキリッとした服装が一番かと」
「ゆるふわもいいですよ~」
「旦那様の好きな着物はいかがでしょうか?」
「チャイナドレスは?」
「スカートにプリーツを入れたいんですけど、消えやすいんですよね」
「プリーツはまだまだ改良が必要じゃろう」
「腕を上げやすいのが一番ですよ」
「しゃがみやすさは重要」
「ピシッと背筋が伸びるようなスーツもいいですね」
「多少は派手な色でもいいと思いますけどねぇ」
みんなが好き勝手に発言するから収拾がつかない。
さすがに二日終わっただけで次のことを考えるのは早すぎるだろうということで、とりあえずは現状維持、次に販売する服については今後も話を続ける、ということで落ち着いた。
◆ ◆ ◆
開店三日目。店の方も落ち着いてきた。
お客さんは朝からそれなりに多いんだけど、売る側が慣れてきたので、さばくのが上手になった感じだろうか。セラとキラも自分たちなりに一生懸命説明している。
昨日はギルドに行った人たちが話を聞いて帰りに寄った感じだから、今日からはもう少し緩やかになるんじゃないかな。
店の方にはリゼッタ、エリー、マイカ、マリアン、セラ、キラ、カローラを残し、カロリッタ、ミシェル、マノンを連れて屋台の準備に向かった。
屋台はすでにできているので、冒険者ギルドの前で取り出す。特に呼び込みはしない。横にごみ箱は置いておこう。
すでにクレープはそれなりの数を焼いているけど、何枚か焼いて客寄せにしようと思う。
まずは生地を伸ばして焼いていく。普通のクレープよりも少し厚め。横でチーズを溶かしておく。生地が焼けたら上にレタスを乗せ、その上に先ほど溶かしたチーズを乗せ、軽く焼いた薄切りのハムを乗せる。
まずは二つに折って、さらに二つに折る。漏斗状に丸めた葉っぱにクレープを入れ、渡す。
「ミリヤさん、試食をおねがいします」
「催促したみたいで悪いですねえ!」
「催促も何も、ガン見してたじゃないですか」
仕事はいいのかな?
「毎日ここで出すのか?」
「しばらくはそうするつもりです。僕はいないこともあると思いますけど。はい、ルボルさん」
「おう、すまねえな」
「みなさん、仕事はいいんですか?」
「匂いが気になって仕事にならねえ。金は払うから、みんなの分を焼いてやってくれ」
「それではまずは食事になる方を焼いていきますね」
軽食メニューはハム&チーズ、BLT、鳥マヨの三種類。
次に甘い方も用意する。デザートメニューはベリー&カスタード、焼きリンゴ&シナモン、キャラメル&コーヒーの三種類。
マノンとミシェルにどんどん配ってもらう。
「値段は?」
「一応ここに書きましたけど、すべて三フローリンです。メニューは暫定的ですね」
「たまに新しいものを入れてくれると飽きなくていいな」
「作る方もそうですけどね。一度にあまり多くすると作るのが大変ですから、これくらいが限界ですね」
ギルドの人たちに行き渡ったあたりで、他のお客さんたちも寄ってきたので注文を受ける。
三フローリンというのは、このあたりなら飲食店で座って食べるよりも高いこともある。でも明らかに安くすると揉めることになりそうだから、この値段にした。
デザートメニューの方もそう。ちょっとだけ高めにすることで、いわゆる非日常感というか、特別感を出したい。どうしても屋台の食べ物は安くて量は多いけど味が微妙なことが多いんだよね。
巻いては渡し、巻いては渡し、巻いては渡し……。
やはりチーズ、ベーコン、ハムを焼いた匂いに人は引き寄せられるのか、短い列ができた。
「値段とボリュームはどうですか?」
「まずいパンとスープよりはこれの方がいいかな。ボリュームはもう少しあってもいいかもしれないけど、それで高くされたら困るよな」
「まだ、試行錯誤中なんですよ。ボリュームは検討してみます」
「ああ、また買いに来るから頼むよ」
店の前で食べているお客さんにたまに声をかけて反応をチェックする。味については問題なさそう。問題はボリュームか。
先ほどのお客さんも言っていたけど、一フローリンや二フローリンで買える屋台の食事は、お店で食べるよりは手軽だけどハズレも多い。でもボリュームだけはあることが多い。硬くて大きなパンと野菜くずが入った塩スープ。パンをスープに浸けて柔らかくして食べる。たしかに腹は膨れる。
クレープにスープでも付けることもできなくはないけど、デザートのクレープにスープはおかしいよね。ジュースでも付けようか。それならもう少しボリュームを増やすか。
試しにクレープをもう少し大きくする。
「お得な雰囲気がプンプンします」
「鼻が利きますね。今日が初日ですけど、さっそく新しいサイズを試しているところです。感想を聞かせてもらえますか?」
薬剤師ギルドのセニヤさんたちがやって来たので新しくなったクレープを試してもらうことにした。
「これが三フローリンなら十分だと思います。巻かずにお店で出してもいいくらいですよね?」
「サイズを二種類作るのもありではないですか?」
「このサイズで三フローリン、もう少し小さいものが二フローリンなら嬉しいですね」
みなさんからそんな意見が出たので、やや小さめも作ってみる。最初に用意していたものを一とすると、大が一・二、小が〇・八くらいかな。
「軽食メニューは、大きいサイズでは女性にはきついかもしれません」
「デザートメニューはどれだけ大きくてもお腹に入りますけどね」
「さすが女性の好みを知り尽くしているだけはありますよね」
リゼッタかカロリッタかカローラの三人が何か余計なことを言ったんだろう。でも貴重な意見はもらえた。初日の途中からだけど、値段とサイズを変更することにした。大は三フローリン、小は二フローリン。
「どう、疲れていない?」
「いえ、大丈夫です」
「わたしもだいじょうぶ」
「まだまだいけますよ~」
僕とマノンとカロリッタの三人のうち、二人が作り、手が空いている人とミシェルで接客をしていた。長蛇の列になることもなく、変な客に絡まれるようなトラブルもなかった。まあギルドの前だからかもしれないけどね。
「やはり女性はデザートメニューの方に行きますね」
「おんなのひとは、さんたいいちくらいでデザートメニューのほうがおおかった。ちいさいのはふたりだけで、ほかのひとはおおきいの」
「男性は~軽食メニューがほとんどで~デザートメニューは少なかったですね~」
休憩しながら三人に感想を聞いたら、意外と言っては悪いけど、ミシェルが思った以上にしっかり観察していた。
お客さんの反応を見ていると、やはりサイズは二種類あったほうがよさそう。男性は大、女性は小を頼む傾向がある。でもデザートメニューについては女性は大を選ぶ方が多い。そしてメニューの種類を増やしてほしいと。
さすがに日本のクレープ屋みたいに種類を増やすのもどうかと思うから、基本は二、三種類にして、さらに二、三種類を期間限定にしようかな。
「マノンは何種類くらいなら大丈夫そう?」
「生地さえ前もって焼いてあれば、一〇種類くらいなら大丈夫だと思います。カロリッタさんは?」
「私も~それくらいなら問題ないですよ~。最近は[魔力紐]も使えますから~」
これはマリアンが背中のボタンを留めたり、マジックバッグに魔物を放り込んだりするのに使っていたのと同系統のスキル。[魔力糸][魔力紐][魔力手]がある。僕も使えるようになったから、まとめてクレープを焼く時に重宝している。[魔力糸]と[魔力紐]は魔力を糸や紐のように細く伸ばし、絡めたり束ねたりできる。[魔力手]は物を掴むことができる。
「私も覚えたいのですけど、なかなか難しいですねぇ」
「わたしもおぼえたい。くるくるしたい」
クルクルするのはピザの生地だけどね。
「カロリッタさん、コツはないでしょうか?」
「コツですか~。そうですね~。魔力の使い方ですからね~。縛られてみるといけるかもしれませんね~」
「しばられる?」
「そうそう~。マスターに~ぎゅ~って縛られたら覚えられるかも~」
「パパ、しばって!」
「ダメです!」
出だしは昨日と同じくほとんどお客さんがいなかった。特に宣伝もしていないから当たり前だろう。ところがお昼くらいになったら増え始めた。どうやら商人ギルドや薬剤師ギルドの女性たちが宣伝してくれたらしい。
この店のことを気にしていたのはセニヤさんだけじゃなかった。商人ギルドや薬剤師ギルドの女性たちが仕事帰りに寄ってくれた。
そして今日になって商人ギルドと薬剤師ギルドを訪れた人たちが、受付の女性が着ている服や、ツヤツヤになった髪や肌を見て、今度はその人たちが買いに来たと。
この店で扱っているものは基本的に女性向けの商品ばかりだけど、男性が買っていくこともある。もちろんプレゼント用だ。店構えを見て入りにくそうにしている男性がいれば、僕が声をかけて店内に迎え入れるようにしている。
一度だけ、この店の商品を仕入れることができないかと聞かれたけど、『今は無理』とお断りした。卸すのはしばらくは断るというのをマイカが決めているからだ。
建前として、服は大量に仕立てることができないし化粧品は日持ちがしないと説明した。本音としては、まずはこの町の女性たちに着てもらいたいし、他の店から警戒されることを避けたいとかかな。
この店はあくまで小売りで、今のところは町中で布を扱っている店から布を仕入れ、それを仕立てて販売する形を当面は続けるそうだ。
「思った以上に大変でした」
「女性のおしゃれへの熱意を感じたね。どの世界でも同じだね」
バテ気味のマイカを労う。カローラも頭を撫でてほしそうなので一緒に撫でた。
「しかし次はどのタイプにするかを考えないとのう」
「次はもっとふわっとしたタイプはどうでしょうか?」
エリーとマイカは次にどのような服を売るかを考えている。この町の人口は一六〇〇人もいない。そしてこの町は男性の方が多いので、女性の数は八〇〇人を切る。同じ服ばかりを売り続けるわけにもいかない。
もちろん気に入った服がダメになったので買い換えたいという需要もあるだろう。だから、これまで売っていたものをいきなりなくすことはないと思うけど、ある程度は入れ替えをしないといけない。
「やはりキリッとした服装が一番かと」
「ゆるふわもいいですよ~」
「旦那様の好きな着物はいかがでしょうか?」
「チャイナドレスは?」
「スカートにプリーツを入れたいんですけど、消えやすいんですよね」
「プリーツはまだまだ改良が必要じゃろう」
「腕を上げやすいのが一番ですよ」
「しゃがみやすさは重要」
「ピシッと背筋が伸びるようなスーツもいいですね」
「多少は派手な色でもいいと思いますけどねぇ」
みんなが好き勝手に発言するから収拾がつかない。
さすがに二日終わっただけで次のことを考えるのは早すぎるだろうということで、とりあえずは現状維持、次に販売する服については今後も話を続ける、ということで落ち着いた。
◆ ◆ ◆
開店三日目。店の方も落ち着いてきた。
お客さんは朝からそれなりに多いんだけど、売る側が慣れてきたので、さばくのが上手になった感じだろうか。セラとキラも自分たちなりに一生懸命説明している。
昨日はギルドに行った人たちが話を聞いて帰りに寄った感じだから、今日からはもう少し緩やかになるんじゃないかな。
店の方にはリゼッタ、エリー、マイカ、マリアン、セラ、キラ、カローラを残し、カロリッタ、ミシェル、マノンを連れて屋台の準備に向かった。
屋台はすでにできているので、冒険者ギルドの前で取り出す。特に呼び込みはしない。横にごみ箱は置いておこう。
すでにクレープはそれなりの数を焼いているけど、何枚か焼いて客寄せにしようと思う。
まずは生地を伸ばして焼いていく。普通のクレープよりも少し厚め。横でチーズを溶かしておく。生地が焼けたら上にレタスを乗せ、その上に先ほど溶かしたチーズを乗せ、軽く焼いた薄切りのハムを乗せる。
まずは二つに折って、さらに二つに折る。漏斗状に丸めた葉っぱにクレープを入れ、渡す。
「ミリヤさん、試食をおねがいします」
「催促したみたいで悪いですねえ!」
「催促も何も、ガン見してたじゃないですか」
仕事はいいのかな?
「毎日ここで出すのか?」
「しばらくはそうするつもりです。僕はいないこともあると思いますけど。はい、ルボルさん」
「おう、すまねえな」
「みなさん、仕事はいいんですか?」
「匂いが気になって仕事にならねえ。金は払うから、みんなの分を焼いてやってくれ」
「それではまずは食事になる方を焼いていきますね」
軽食メニューはハム&チーズ、BLT、鳥マヨの三種類。
次に甘い方も用意する。デザートメニューはベリー&カスタード、焼きリンゴ&シナモン、キャラメル&コーヒーの三種類。
マノンとミシェルにどんどん配ってもらう。
「値段は?」
「一応ここに書きましたけど、すべて三フローリンです。メニューは暫定的ですね」
「たまに新しいものを入れてくれると飽きなくていいな」
「作る方もそうですけどね。一度にあまり多くすると作るのが大変ですから、これくらいが限界ですね」
ギルドの人たちに行き渡ったあたりで、他のお客さんたちも寄ってきたので注文を受ける。
三フローリンというのは、このあたりなら飲食店で座って食べるよりも高いこともある。でも明らかに安くすると揉めることになりそうだから、この値段にした。
デザートメニューの方もそう。ちょっとだけ高めにすることで、いわゆる非日常感というか、特別感を出したい。どうしても屋台の食べ物は安くて量は多いけど味が微妙なことが多いんだよね。
巻いては渡し、巻いては渡し、巻いては渡し……。
やはりチーズ、ベーコン、ハムを焼いた匂いに人は引き寄せられるのか、短い列ができた。
「値段とボリュームはどうですか?」
「まずいパンとスープよりはこれの方がいいかな。ボリュームはもう少しあってもいいかもしれないけど、それで高くされたら困るよな」
「まだ、試行錯誤中なんですよ。ボリュームは検討してみます」
「ああ、また買いに来るから頼むよ」
店の前で食べているお客さんにたまに声をかけて反応をチェックする。味については問題なさそう。問題はボリュームか。
先ほどのお客さんも言っていたけど、一フローリンや二フローリンで買える屋台の食事は、お店で食べるよりは手軽だけどハズレも多い。でもボリュームだけはあることが多い。硬くて大きなパンと野菜くずが入った塩スープ。パンをスープに浸けて柔らかくして食べる。たしかに腹は膨れる。
クレープにスープでも付けることもできなくはないけど、デザートのクレープにスープはおかしいよね。ジュースでも付けようか。それならもう少しボリュームを増やすか。
試しにクレープをもう少し大きくする。
「お得な雰囲気がプンプンします」
「鼻が利きますね。今日が初日ですけど、さっそく新しいサイズを試しているところです。感想を聞かせてもらえますか?」
薬剤師ギルドのセニヤさんたちがやって来たので新しくなったクレープを試してもらうことにした。
「これが三フローリンなら十分だと思います。巻かずにお店で出してもいいくらいですよね?」
「サイズを二種類作るのもありではないですか?」
「このサイズで三フローリン、もう少し小さいものが二フローリンなら嬉しいですね」
みなさんからそんな意見が出たので、やや小さめも作ってみる。最初に用意していたものを一とすると、大が一・二、小が〇・八くらいかな。
「軽食メニューは、大きいサイズでは女性にはきついかもしれません」
「デザートメニューはどれだけ大きくてもお腹に入りますけどね」
「さすが女性の好みを知り尽くしているだけはありますよね」
リゼッタかカロリッタかカローラの三人が何か余計なことを言ったんだろう。でも貴重な意見はもらえた。初日の途中からだけど、値段とサイズを変更することにした。大は三フローリン、小は二フローリン。
「どう、疲れていない?」
「いえ、大丈夫です」
「わたしもだいじょうぶ」
「まだまだいけますよ~」
僕とマノンとカロリッタの三人のうち、二人が作り、手が空いている人とミシェルで接客をしていた。長蛇の列になることもなく、変な客に絡まれるようなトラブルもなかった。まあギルドの前だからかもしれないけどね。
「やはり女性はデザートメニューの方に行きますね」
「おんなのひとは、さんたいいちくらいでデザートメニューのほうがおおかった。ちいさいのはふたりだけで、ほかのひとはおおきいの」
「男性は~軽食メニューがほとんどで~デザートメニューは少なかったですね~」
休憩しながら三人に感想を聞いたら、意外と言っては悪いけど、ミシェルが思った以上にしっかり観察していた。
お客さんの反応を見ていると、やはりサイズは二種類あったほうがよさそう。男性は大、女性は小を頼む傾向がある。でもデザートメニューについては女性は大を選ぶ方が多い。そしてメニューの種類を増やしてほしいと。
さすがに日本のクレープ屋みたいに種類を増やすのもどうかと思うから、基本は二、三種類にして、さらに二、三種類を期間限定にしようかな。
「マノンは何種類くらいなら大丈夫そう?」
「生地さえ前もって焼いてあれば、一〇種類くらいなら大丈夫だと思います。カロリッタさんは?」
「私も~それくらいなら問題ないですよ~。最近は[魔力紐]も使えますから~」
これはマリアンが背中のボタンを留めたり、マジックバッグに魔物を放り込んだりするのに使っていたのと同系統のスキル。[魔力糸][魔力紐][魔力手]がある。僕も使えるようになったから、まとめてクレープを焼く時に重宝している。[魔力糸]と[魔力紐]は魔力を糸や紐のように細く伸ばし、絡めたり束ねたりできる。[魔力手]は物を掴むことができる。
「私も覚えたいのですけど、なかなか難しいですねぇ」
「わたしもおぼえたい。くるくるしたい」
クルクルするのはピザの生地だけどね。
「カロリッタさん、コツはないでしょうか?」
「コツですか~。そうですね~。魔力の使い方ですからね~。縛られてみるといけるかもしれませんね~」
「しばられる?」
「そうそう~。マスターに~ぎゅ~って縛られたら覚えられるかも~」
「パパ、しばって!」
「ダメです!」
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