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第三章 第三部
農畜水産物ギルド、そして町の拡張
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「ラデクという名前の商人が最近店を開いていませんか? もし分かるようならどのあたりか分かりますか?」
「少々お待ちください。……ラデク……ラデク……あ、ありました。東門からしばらく西へ進んで北のあたりですね。職人が多いあたりの端あたりでしょうか」
「ありがとうございます」
服飾ギルドでラデクさんの店の場所を確認するとそちらへ向かう。探しているのはご本人ではなく奥さんのハンナさんだ。
先月でキヴィオ市の冒険者ギルドを退職し、ユーヴィ市にいる夫の店を手伝うかギルドで仕事を探すかと言っていた。働いてくれれば一番だけど、無茶は言えないね。
「いらっしゃいませ——って、領主様!」
「こちらはラデクさんのお店ですよね。ラデクさんとハンナさんはいますか?」
「ええ、奥におります。呼んで参ります」
「お願いします」
店にいたのはラデクさんでもハンナさんでもなかったから、雇われている店員さんだろうか。
ラデクさんのお店には布そのものもあるけど、仕立てた服も多い。自分で仕立てるってハンナさんも言っていたから、これらもラデクさんが作ったんだろうか。
店の中を見ていると、ラデクさんとハンナさんがやってきた。
「領主様、ラデクです。以前はお世話になりました。少し前からこちらで店を開いております」
「ケネスさん、あ、ケネス様、お久しぶり……というほど経っていませんね」
「先月お会いしましたからね。今日はいきなりなんですが、ハンナさんをスカウトしに来ました」
「「スカウト?」」
奥へ案内してもらってから、あたらめてスカウトの話をする。
「ギルドの仕事です。確実に堅実に仕事をしてくれる人を探していましてね」
「私でいいのですか? 近いうちにギルドに求人の確認に行こうと思っていたので非常に助かるのですが」
「ええ、ぜひ。最近はマシになってきましたが、人が少なくて人材が不足気味の領地なので、あちこちから引っ張ってきてなんとか形になってきたところです」
元々あったギルドは冒険者と商人と薬剤師だけだったからね。市民生活は薬剤師ギルドのイルジナさんがギルド長になった。土木のゴルジェイさんと大工のアルカジーさん、酒造のボグダンさんは元々王都にいたドワーフの職人だし、服飾のペトラさんはエリーたちの弟子だから。
「それで、ラデクさんの方は大丈夫ですか? ハンナさんが働きに出ると困ったりはしませんか?」
「店の方は大丈夫です。私が裏で仕立てていて、店番は雇っていますから」
「そうですか。ではハンナさん、よろしくお願いします」
「分かりました。ところで、どのギルドの仕事でしょうか? 全部のギルドが一緒の建物に入っていると聞きましたが」
「新しく作ることになった農畜水産物ギルドです」
「農畜水産物ですか」
「水産物はほぼありませんので、肉と麦、それと名産の果物くらいですけどね。そこのギルド長をお任せします」
「分かりま——え? ギルド長?」
「はい、ギルド長です」
「……ギルド長……ギルド長? …………無理無理無理無理!」
「いえ、大丈夫ですよ。初心者のギルド長もそれなりにいますので」
「初心者がいるって言われても、私は単なる受付だったんですよ?」
「現在は八部門ありますが、半数はギルド職員ですらありませんでしたから。服飾ギルドのペトラさんはうちの妻たちの弟子だったくらいです。ハンナさんの人柄なら問題ありませんよ」
「え~、でも……」
まあダメ元で聞いてみたけど、これではちょっと無理かな。
「ハンナ、やってみたらどうだ?」
「え?」
「ギルド長ってなろうと思ってなれるものでもないだろ?」
「それはそうだけど……」
ラデクさん、グッジョブ! その援護射撃が欲しかった。
「僕としても、できないと分かっている人にさせるつもりはありませんよ」
「……本当ですか?」
「もちろんです。ハンナさんなら分かると思いますけど、基本的な仕事は一般のギルド職員がします。ハンナさんは部下からの報告を見て、問題がないかどうか確認し、問題があればそれを指摘してくれればいいんです」
「本当に、私に、できますか?」
「はい、できる限りのサポートはしますよ」
「……分かりました。では引き受けます。よろしくお願いします」
「こちらこそ無理を言ってすみません。ラデクさんにもご迷惑をおかけします。では明日の午前中にギルドに来てください。ギルドの中を案内します」
◆ ◆ ◆
「後ろで働くギルド職員は共通ですが、受付は分けています。農畜水産物ギルドの受付はあのあたりになります」
「あの階段から上がるんですね」
「はい。最初は一階にしか受付がなかったのですが、拡張した結果、二階部分にも受付ができました」
さすがに一階に全ての受付を並べるのは無理だった。今後のことも考えて、一部は二階に受付がある。
「ここがギルド長室です」
「広くて眺めがいい……って、この子は何ですか?」
「その子はアンゴウカウサギという種族の魔獣です。領内で[念話]を使った連絡係をしてくれています。こちらの話していることは理解していますので、筆談で伝えてくれます」
『よろしくお願いします』
「あ、よろしくお願いします」
いつものように紙に文字を書いて頭上に掲げるサラン。この子はサランAC。
「この子たちは交代で来ていますので、今日と明日で来る子は違いますが、どの子もサランで通じます。この子たちは離れていてもお互いに意思疎通できますので、その場にいる子に僕に伝えたいことを言えば、僕の方に連絡が来ます」
「可愛いですね」
「戦う力はあまりありませんが逃げ足が速く、姿を隠すのが得意で、どんな場所にも入り込めます。優秀な諜報員です」
それからギルド内を一通り歩いて説明する。サポートすると言ったからにはきっちりとサポートする。
すれ違った職員たちには、新しいギルド長だと説明しておく。職員たちは礼儀正しく、お辞儀もきれいだ。
「でもケネスさん……ではなくケネス様、このギルドで働いている女性たちって、かなり優秀じゃないですか?」
「優秀ですね。読み書き計算はできますし、妻たちの弟子だった女性たちは基本的な礼儀作法も身に付けています」
「その中からギルド長を選ぶことはできなかったのですか?」
「優秀さだけならできなくはないのですが……」
そう、みんな優秀なんだよ。特定の方向にもね。
「何か選べない理由があったのでしょうか?」
「ええとですね……今でこそ少しマシにはなりましたが、僕が領主になったころ、この町の人口はキヴィオ市の一五分の一くらいでした。そして男性の方が多い上に、女性は働ける場所も少なかった。するとどうなるでしょう?」
「なるほど。つまり押し売りされるわけですね。彼女たちはより条件のいい男性を探す余裕がある。それで私ですか」
「それも理由の一つなんですが、まず昨日も言ったように、ハンナさんが確実に堅実に仕事ができるというのが一番の理由です。そこでさらに既婚者であれば、このように一対一で話をしても安心できます」
「たくさん妻を持ってもいいんじゃありませんか?」
「現在で九人います」
「すみません、無理を言いました」
そう、これ以上増やしてもね。増えそうなんだけどね。
「では男性はどうなのですか?」
「人間族の男性の間では、今は各町の公営商店の方へ出張に行く方が人気です」
「ギルド長の方が待遇がいいのではないですか?」
「ギルド長になるよりも平の職員の方が、町の中で出会いがあるからだとか」
「キルド内も女性が多いと思いますが」
「なまじしっかりした女性が多いので、気後れすることも多いそうです」
「鍛えすぎたわけですね」
そうなんだよね。ピシッと伸びた背筋、ハキハキとした挨拶。そんな女性がギルドにどんどん入ったわけで。別に男性職員がどうとか言うわけじゃないんだけどね。男性職員だって十分優秀だから。
「それと、新しく入ったギルドの男性職員はドワーフ族が多くてですね、読み書き計算はできてもこだわりが強いんですよ」
「食料関係を嫌がったのですか?」
「嫌がるのではありませんが、向いていないと言われました。彼らは土木、大工、酒造などには熱心ですが、食べることには元々それほどこだわりがありませんので。手を抜くわけではないのですが、興味がある仕事をさせる方が効率はいいでしょう。どの醸造所でどれだけの期間にどれだけエールが製造できるかは彼らにとって暗記で十分ですから」
「たしかに適材適所ですね」
◆ ◆ ◆
「では大きな開発は後日になると思いますが、とりあえず城壁だけ移動させますね」
「了解しました。住民にはできる限り近付かないように伝えていますが、まあ無理でしょうな」
「娯楽になるでしょうからね」
土木ギルドのゴルジェイさんには、工事の時には城壁に近付かないように住民に通達を出してもらっているけど、まあ娯楽がそこまで多くない町だから、暇なら見に来るよね。さすがに城壁の側にはいないけど、城壁が見える位置にはそれなりに集まっている。
今回はユーヴィ市の城壁を移動させ、町を少し拡張する。移動と言ったけど、実際は造り直しになる。近付いたら危ない場所には木で作った赤いロードコーンが置かれている。白の下地を塗った上に赤の塗料を塗っている。これは危険を知らせるために工事現場に置かれるものだということを土木ギルドや大工ギルドにも伝えてあり、今後は住民にも知ってもらうつもりだ。
この国の平民の識字率はそれほど高くはないので、看板を立てても読めなければ意味がない。識字率を上げるためには子供を学校に通わせるのが一番だろう。領内の工事が落ち着けば、あらためて学校なども作れると思う。
まずは城門を三〇〇メートルほど今の城門の外側に作る。ただし城門の数を増やす。これまでは東西南北に一ヶ所ずつしかなかったものを間隔を空けて三ヶ所ずつにする。領内での移動も活発になってきたから、一ヶ所では心許なくなるかもしれない。あくまでかもだけど。
城壁が完成すればこれまでの城壁を取り壊す。なるべくホコリが立たないように結界を張りつつ解体する。解体で出た土砂は次の工事に使うためにブロック状に固めて収納する。
「本当に一日で終わるのですな」
「更地に造るのならもっと早く終わりますけど、観客がいましたからね」
「それでわざわざ曲芸のようなことをされていたのですか?」
「なかなか見る機会はないでしょうからウケたでしょう」
「たしかに子供は大喜びしていましたが……」
古い城壁を解体する時に出た土砂をブロック状に固めていたら、子供たちが興味を持ったようだったので、お手玉のように頭上で回したりしていた。
どうやって固めたのかって聞かれたから魔法だよって答えた。すると魔法使いになるって言い始める子がいたから、学校ができたら勉強しなさいと言っておいた。
学校はまだ構想段階だけど、読み書き計算だけではなく、工作や農業や魔法など、この国で役に立ちそうなものは何でも教えたいと思う。
「少々お待ちください。……ラデク……ラデク……あ、ありました。東門からしばらく西へ進んで北のあたりですね。職人が多いあたりの端あたりでしょうか」
「ありがとうございます」
服飾ギルドでラデクさんの店の場所を確認するとそちらへ向かう。探しているのはご本人ではなく奥さんのハンナさんだ。
先月でキヴィオ市の冒険者ギルドを退職し、ユーヴィ市にいる夫の店を手伝うかギルドで仕事を探すかと言っていた。働いてくれれば一番だけど、無茶は言えないね。
「いらっしゃいませ——って、領主様!」
「こちらはラデクさんのお店ですよね。ラデクさんとハンナさんはいますか?」
「ええ、奥におります。呼んで参ります」
「お願いします」
店にいたのはラデクさんでもハンナさんでもなかったから、雇われている店員さんだろうか。
ラデクさんのお店には布そのものもあるけど、仕立てた服も多い。自分で仕立てるってハンナさんも言っていたから、これらもラデクさんが作ったんだろうか。
店の中を見ていると、ラデクさんとハンナさんがやってきた。
「領主様、ラデクです。以前はお世話になりました。少し前からこちらで店を開いております」
「ケネスさん、あ、ケネス様、お久しぶり……というほど経っていませんね」
「先月お会いしましたからね。今日はいきなりなんですが、ハンナさんをスカウトしに来ました」
「「スカウト?」」
奥へ案内してもらってから、あたらめてスカウトの話をする。
「ギルドの仕事です。確実に堅実に仕事をしてくれる人を探していましてね」
「私でいいのですか? 近いうちにギルドに求人の確認に行こうと思っていたので非常に助かるのですが」
「ええ、ぜひ。最近はマシになってきましたが、人が少なくて人材が不足気味の領地なので、あちこちから引っ張ってきてなんとか形になってきたところです」
元々あったギルドは冒険者と商人と薬剤師だけだったからね。市民生活は薬剤師ギルドのイルジナさんがギルド長になった。土木のゴルジェイさんと大工のアルカジーさん、酒造のボグダンさんは元々王都にいたドワーフの職人だし、服飾のペトラさんはエリーたちの弟子だから。
「それで、ラデクさんの方は大丈夫ですか? ハンナさんが働きに出ると困ったりはしませんか?」
「店の方は大丈夫です。私が裏で仕立てていて、店番は雇っていますから」
「そうですか。ではハンナさん、よろしくお願いします」
「分かりました。ところで、どのギルドの仕事でしょうか? 全部のギルドが一緒の建物に入っていると聞きましたが」
「新しく作ることになった農畜水産物ギルドです」
「農畜水産物ですか」
「水産物はほぼありませんので、肉と麦、それと名産の果物くらいですけどね。そこのギルド長をお任せします」
「分かりま——え? ギルド長?」
「はい、ギルド長です」
「……ギルド長……ギルド長? …………無理無理無理無理!」
「いえ、大丈夫ですよ。初心者のギルド長もそれなりにいますので」
「初心者がいるって言われても、私は単なる受付だったんですよ?」
「現在は八部門ありますが、半数はギルド職員ですらありませんでしたから。服飾ギルドのペトラさんはうちの妻たちの弟子だったくらいです。ハンナさんの人柄なら問題ありませんよ」
「え~、でも……」
まあダメ元で聞いてみたけど、これではちょっと無理かな。
「ハンナ、やってみたらどうだ?」
「え?」
「ギルド長ってなろうと思ってなれるものでもないだろ?」
「それはそうだけど……」
ラデクさん、グッジョブ! その援護射撃が欲しかった。
「僕としても、できないと分かっている人にさせるつもりはありませんよ」
「……本当ですか?」
「もちろんです。ハンナさんなら分かると思いますけど、基本的な仕事は一般のギルド職員がします。ハンナさんは部下からの報告を見て、問題がないかどうか確認し、問題があればそれを指摘してくれればいいんです」
「本当に、私に、できますか?」
「はい、できる限りのサポートはしますよ」
「……分かりました。では引き受けます。よろしくお願いします」
「こちらこそ無理を言ってすみません。ラデクさんにもご迷惑をおかけします。では明日の午前中にギルドに来てください。ギルドの中を案内します」
◆ ◆ ◆
「後ろで働くギルド職員は共通ですが、受付は分けています。農畜水産物ギルドの受付はあのあたりになります」
「あの階段から上がるんですね」
「はい。最初は一階にしか受付がなかったのですが、拡張した結果、二階部分にも受付ができました」
さすがに一階に全ての受付を並べるのは無理だった。今後のことも考えて、一部は二階に受付がある。
「ここがギルド長室です」
「広くて眺めがいい……って、この子は何ですか?」
「その子はアンゴウカウサギという種族の魔獣です。領内で[念話]を使った連絡係をしてくれています。こちらの話していることは理解していますので、筆談で伝えてくれます」
『よろしくお願いします』
「あ、よろしくお願いします」
いつものように紙に文字を書いて頭上に掲げるサラン。この子はサランAC。
「この子たちは交代で来ていますので、今日と明日で来る子は違いますが、どの子もサランで通じます。この子たちは離れていてもお互いに意思疎通できますので、その場にいる子に僕に伝えたいことを言えば、僕の方に連絡が来ます」
「可愛いですね」
「戦う力はあまりありませんが逃げ足が速く、姿を隠すのが得意で、どんな場所にも入り込めます。優秀な諜報員です」
それからギルド内を一通り歩いて説明する。サポートすると言ったからにはきっちりとサポートする。
すれ違った職員たちには、新しいギルド長だと説明しておく。職員たちは礼儀正しく、お辞儀もきれいだ。
「でもケネスさん……ではなくケネス様、このギルドで働いている女性たちって、かなり優秀じゃないですか?」
「優秀ですね。読み書き計算はできますし、妻たちの弟子だった女性たちは基本的な礼儀作法も身に付けています」
「その中からギルド長を選ぶことはできなかったのですか?」
「優秀さだけならできなくはないのですが……」
そう、みんな優秀なんだよ。特定の方向にもね。
「何か選べない理由があったのでしょうか?」
「ええとですね……今でこそ少しマシにはなりましたが、僕が領主になったころ、この町の人口はキヴィオ市の一五分の一くらいでした。そして男性の方が多い上に、女性は働ける場所も少なかった。するとどうなるでしょう?」
「なるほど。つまり押し売りされるわけですね。彼女たちはより条件のいい男性を探す余裕がある。それで私ですか」
「それも理由の一つなんですが、まず昨日も言ったように、ハンナさんが確実に堅実に仕事ができるというのが一番の理由です。そこでさらに既婚者であれば、このように一対一で話をしても安心できます」
「たくさん妻を持ってもいいんじゃありませんか?」
「現在で九人います」
「すみません、無理を言いました」
そう、これ以上増やしてもね。増えそうなんだけどね。
「では男性はどうなのですか?」
「人間族の男性の間では、今は各町の公営商店の方へ出張に行く方が人気です」
「ギルド長の方が待遇がいいのではないですか?」
「ギルド長になるよりも平の職員の方が、町の中で出会いがあるからだとか」
「キルド内も女性が多いと思いますが」
「なまじしっかりした女性が多いので、気後れすることも多いそうです」
「鍛えすぎたわけですね」
そうなんだよね。ピシッと伸びた背筋、ハキハキとした挨拶。そんな女性がギルドにどんどん入ったわけで。別に男性職員がどうとか言うわけじゃないんだけどね。男性職員だって十分優秀だから。
「それと、新しく入ったギルドの男性職員はドワーフ族が多くてですね、読み書き計算はできてもこだわりが強いんですよ」
「食料関係を嫌がったのですか?」
「嫌がるのではありませんが、向いていないと言われました。彼らは土木、大工、酒造などには熱心ですが、食べることには元々それほどこだわりがありませんので。手を抜くわけではないのですが、興味がある仕事をさせる方が効率はいいでしょう。どの醸造所でどれだけの期間にどれだけエールが製造できるかは彼らにとって暗記で十分ですから」
「たしかに適材適所ですね」
◆ ◆ ◆
「では大きな開発は後日になると思いますが、とりあえず城壁だけ移動させますね」
「了解しました。住民にはできる限り近付かないように伝えていますが、まあ無理でしょうな」
「娯楽になるでしょうからね」
土木ギルドのゴルジェイさんには、工事の時には城壁に近付かないように住民に通達を出してもらっているけど、まあ娯楽がそこまで多くない町だから、暇なら見に来るよね。さすがに城壁の側にはいないけど、城壁が見える位置にはそれなりに集まっている。
今回はユーヴィ市の城壁を移動させ、町を少し拡張する。移動と言ったけど、実際は造り直しになる。近付いたら危ない場所には木で作った赤いロードコーンが置かれている。白の下地を塗った上に赤の塗料を塗っている。これは危険を知らせるために工事現場に置かれるものだということを土木ギルドや大工ギルドにも伝えてあり、今後は住民にも知ってもらうつもりだ。
この国の平民の識字率はそれほど高くはないので、看板を立てても読めなければ意味がない。識字率を上げるためには子供を学校に通わせるのが一番だろう。領内の工事が落ち着けば、あらためて学校なども作れると思う。
まずは城門を三〇〇メートルほど今の城門の外側に作る。ただし城門の数を増やす。これまでは東西南北に一ヶ所ずつしかなかったものを間隔を空けて三ヶ所ずつにする。領内での移動も活発になってきたから、一ヶ所では心許なくなるかもしれない。あくまでかもだけど。
城壁が完成すればこれまでの城壁を取り壊す。なるべくホコリが立たないように結界を張りつつ解体する。解体で出た土砂は次の工事に使うためにブロック状に固めて収納する。
「本当に一日で終わるのですな」
「更地に造るのならもっと早く終わりますけど、観客がいましたからね」
「それでわざわざ曲芸のようなことをされていたのですか?」
「なかなか見る機会はないでしょうからウケたでしょう」
「たしかに子供は大喜びしていましたが……」
古い城壁を解体する時に出た土砂をブロック状に固めていたら、子供たちが興味を持ったようだったので、お手玉のように頭上で回したりしていた。
どうやって固めたのかって聞かれたから魔法だよって答えた。すると魔法使いになるって言い始める子がいたから、学校ができたら勉強しなさいと言っておいた。
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