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第三章 第三部
街道工事は順調に? 九月
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北街道の工事が始まって二か月ほどが経った。進捗状況は順調すぎるくらいだけど、順調に問題も増えていると連絡があった。
「以前からそうでしたが、作業員の中に女性が増えたため、いいところを見せようとする男性が増えました。それによって全体的に作業がかなり進んでいます」
「早く終わるには問題ないけど、わざわざ連絡をしてきたと言うことは……」
「はい、これもある程度は想定されていましたが、無理をして怪我をする作業員が増えています。いいところを見せようとするのも考えものです」
「無理をしなくてもいいように仕事の振り分けを考えるよ」
「よろしくお願いします」
作業員の男性と女性の比率はおよそ四対一。既婚の男性も多いので、三対一に近いとは聞いている。それでも男性の方が多いので、アピール合戦になることもある。その結果、無理をして怪我をしてしまうと。くっつきそうな人たちはくっつけてしまって、相手がいない男性にはお見合いパーティーでも企画した方がいいんだろうか? 怪我をさせたり揉め事を起こされたりするよりはマシだろう。作業員はドワーフが多いから、ドワーフのことはドワーフに聞くのが一番。
「ゴルジェイさん、ちょっと相談が」
「ワシですか? ワシにできることなら」
「連絡は受けていると思いますが、北街道の作業員たちの中で、異性にアピールしようとして怪我をする人が増えているみたいなんです」
「聞いています。無茶はしないように言ってもらっていますが、なかなか聞いてくれないようですなあ。ですが、そう言うしかないのが現状で」
「そのことなんですが、いっそのこと相手が見つかったカップルには別の場所で作業をしてもらうのはどうでしょうか? そして相手が見つかっていない男女には、街道が開通したら領地を挙げてお見合いパーティーをするので、そこで相手を探すようにしてもらおうと」
未婚者にユーヴィ市に集まってもらって相手を探してもらうという、大々的なお見合いパーティーだ。作業員限定ではないけど。
「お見合いパーティーですか?」
「ええ、ロジオンさんに頼んで作業員と一緒に集めてくれもらった移民たちがいますが、女性が多いんですよね。これまで二か月ほど、この領地に慣れてもらうために他の町も回ってもらって、自分が何をしたいかを探してもらっていました」
「ああ、そう言えば、もうユーヴィ市に戻っていましたな」
「ええ、今は訓練学校で勉強している人が多いですね。それで、周りに男性が少なかったので結婚は諦めかけていた人が多かったようですが、やはり結婚願望はあるようなんですね。それがここにきて一つ問題になっていましてね」
「この町なら相手はあちこちにいると思いますが?」
「それがですね、いすぎるのが問題なんです」
六月末にやってきた移民たちの大部分は女性だった。そして既婚の女性はかなり少なく、多くが未婚だった。つまり、集落の中に未婚の男性がいなかったために男性慣れしていなくて、どのように接したらいいのかが分からないという相談を受けていたそうだ。
「なるほど。きっかけ作りのお見合いパーティーですか」
移民たちの健康チェックはこっそりと済ませてある。男の子が生まれないのは何か理由があるのではないかと考えたからだ。でも男女ともにステータス上は何も問題なかった。強いて言えば、数少ない男性たちは子供を作らなければいけないというプレッシャーが原因なのか、あるいは複数の女性を相手にしている人が多いからか、元気がない人が多かった。
これらを考えると、すべてが悪い方へ悪い方へと向かっていたのが分かる。それはそうだろう。男性は複数の妻を持たされ、男の子を作ることを期待され、それでもほとんど男の子が生まれず、次第に心が弱っていく。今後は無理をしなくてもいいと言ったら大泣きされた。
頼まれてやってきた人がほとんどで、もしかしたら最初のころはハーレム状態に浮かれていたかもしれないけど、しばらくしたらとんでもない場所に来てしまったと思った人がほとんどだっただろう。だから町へ逃げ帰った人が多かった。
少し作為的なものを感じたのでカローラに聞いたところ、彼女も同じように思ったようで、知り合いを通じて少し調べてくれるということだった。現在はその結果待ち。向こうも忙しい仕事の合間に調べてくれるようだから無茶は言わない。「今日中じゃなくてもいいから後でいいからやっておいて」と言われて後回しにしていたら、昼頃になって「どうして終わっていないの?」と言われる理不尽さは社会人なら一度は経験するだろう。
「ワシらはまず仕事、次に酒、それから結婚相手ですから、仕事が落ち着けば次は異性でしょうな。そういうイベントを開催してもらえるなら張り切ることは間違いないでしょう。それに最近では作業員もドワーフだけではなく、力の強い獣人や亜人も増えてきました。どうやら腕力を生かせる仕事ができるという噂が広まったんでしょうな。ミノタウロスが集団で移住してきました。ギルドの公用馬車が悲鳴を上げたそうですな」
ミノタウロスは頭に水牛のような角のある。手足も顔も人間と同じだけど、この国では亜人になっている。ケンタウロスは王都で見たことがあったけど、あの人たちは下半身が馬だった。ケンタウロスやハーピーも亜人となっている。うちでは種族の差に関係なく受け入れるようにしているから、徐々に工事現場で増えてきている。
早い話が、王都で働くドワーフが減り、そこを亜人と呼ばれる人たちが埋めていたけど、それもうちの街道工事の話を聞いてこちらにやってきた、という流れらしい。ミノタウロスは力があるし、ケンタウロスは足が速い。ハーピーは空が飛べる。僕に連絡して遠くの現場に連絡を頼むよりは、新しく来た彼らに頼む方が手っ取り早いとして重宝されているようだ。
「力持ちが増えると助かりますね。ではとりあえず、まずは相手ができた、あるいはできそうな作業員だけ、先にパダ町周辺の街道に石畳を敷く工事を始めてもらいます。これは年明けの予定でしたが、早くできるならその方がいいですからね」
「分かりました。では石材の一部をパダ町の方へ回すようにソルディ町の担当者に伝えておきます」
「お願いします。僕は北街道の方を回ってきます」
北街道の作業現場を回り、担当者に予定の変更を伝える。
「助かりました。どうしても無茶をする人がいますので」
「まあアピールしたいのは分かります。ところで、何をして怪我をするのが多かったのですか?」
「『あの魔法ノコギリよりも早く木が切り倒せる』と言って両手で斧を持って振り回したりとかです」
「子供がおかしなことで競い合うのと似ているのかな? 両手で字を書けば半分の時間で書き終わると考えるのと同じかも」
「仕事があって、好きなお酒が飲めて、異性が近くにいて、彼らにとっては好景気そのものみたいです。多少は浮ついているのでしょう。大怪我をしていないのが救いです」
開拓現場を担当しているギルド職員たちに頼んだのは二点。相手が見つかりそう、あるいはもう見つかった作業員を見極めてパダ町の方へ移動させること、まだ相手のいない作業員には街道工事開通後に領地を挙げてお見合いパーティーをするので今は無理をしないように伝えること。
◆ ◆ ◆
さて、お見合いパーティーはどういう形式でしたらいいかな? まあ基本は軽い食事とお酒、そして会話となると……合コン? 残念ながら僕はそのようなイベントに参加したことはない。
同じ課にいた先輩の女性は、「さすがですね、知りませんでした、すごいですね、センスがいいですね、そうなんですね、の『さしすせそ』さえ覚えておけばバッチリよ」と言って結婚退職した。それに関しては男性陣はかなり引いていたけど、みんな心当たりがあったそうだ。
それ以外で社会人時代に経験したパーティーは、忘年会とかを除けば、まあ新人歓迎会のようなものかな。一年目は普通に参加して、二年目からは後輩の面倒を見るためという名目で参加させられた。ただまあ、僕もそれほど話が得意なわけじゃなかったからね。それにこっちの世界のパーティーって、そもそもほとんど経験がない。きちんとした食事は何回かあったけど。
「私は管理者になってケネスと知り合うまで、まともに男性と話したことがありませんでしたので、参考にはならないと思います」
「一緒に食事をしたいのは先輩くらいでしたね。昔も合コンとかに誘われましたが興味なかったので。先輩に誘われたらお泊まりする覚悟はできていましたけど。こちらでも父が断っていたというのはありましたけど、私もできる限り避けていました」
「私は両親から領主主催のパーティーなどに行かされましたが、正直あのような場所は苦手で。兄もそうでしたけど、適当に食べて帰ってくるばかりでした」
「私の場合はそもそもパーティーとは無縁でしたねぇ。異空間の家で歓迎会をしていただいたのが、一番豪勢な食事だったでしょうか」
「私はそもそも自分に自信がありませんでしたし、管理者になる前は地味で声をかけられることもありませんでした。あ、でもご主人様、もちろん知らない男性に付いていったことはありませんよ? あの時まできれいな体のままでしたから」
「ワシには食事はそれほど重要ではなかったからのう。まあ食べたい時に食べ、飲みたい時に飲み、寝たい時に寝る。参考にはならんじゃろうな」
「お腹いっぱい食べられることはなかったですよ?」
「いつも飢える一歩手前」
「こっちに来る直前に~作られたばかりですからね~」
「うーん、向こうではかなり生活に困っていたわね。こっちに来て生活が楽になったのはマリアンがまとめて買ってくれてからね。昔から比べると今は天国ね」
言葉には出さないけど、どれも参考にならない。とりあえずエリーは参加経験があると。
「閣下、立食のパーティーなら王宮で参加した経験がありますが」
「え? ちょっと教えてくれる?」
ここでまさかの情報が。
「どういう形式とか、どういう挨拶をしたとか、そのあたりは覚えてる?」
「はい。直近のものとしましては、王都からユーヴィ市に来る際の壮行会ですね」
「わざわざ壮行会があったの?」
ユーヴィ市行きを頼んでOKが出たから来たって言ってたけど。
「はい。魔道具について学びたいと言った者はもっとたくさんいましたが、最終的にあの人数に絞られました」
「女性が多かったね」
「はい。最初は男性もいたのですが、そもそも魔道具職人は圧倒的に女性が多いので、選ばれてあのようになりました」
「それで?」
「宰相閣下は挨拶で私たちにこう言いました。『頑張って落としなさい』と」
「意味は分かるけど参考にはならなかった」
「以前からそうでしたが、作業員の中に女性が増えたため、いいところを見せようとする男性が増えました。それによって全体的に作業がかなり進んでいます」
「早く終わるには問題ないけど、わざわざ連絡をしてきたと言うことは……」
「はい、これもある程度は想定されていましたが、無理をして怪我をする作業員が増えています。いいところを見せようとするのも考えものです」
「無理をしなくてもいいように仕事の振り分けを考えるよ」
「よろしくお願いします」
作業員の男性と女性の比率はおよそ四対一。既婚の男性も多いので、三対一に近いとは聞いている。それでも男性の方が多いので、アピール合戦になることもある。その結果、無理をして怪我をしてしまうと。くっつきそうな人たちはくっつけてしまって、相手がいない男性にはお見合いパーティーでも企画した方がいいんだろうか? 怪我をさせたり揉め事を起こされたりするよりはマシだろう。作業員はドワーフが多いから、ドワーフのことはドワーフに聞くのが一番。
「ゴルジェイさん、ちょっと相談が」
「ワシですか? ワシにできることなら」
「連絡は受けていると思いますが、北街道の作業員たちの中で、異性にアピールしようとして怪我をする人が増えているみたいなんです」
「聞いています。無茶はしないように言ってもらっていますが、なかなか聞いてくれないようですなあ。ですが、そう言うしかないのが現状で」
「そのことなんですが、いっそのこと相手が見つかったカップルには別の場所で作業をしてもらうのはどうでしょうか? そして相手が見つかっていない男女には、街道が開通したら領地を挙げてお見合いパーティーをするので、そこで相手を探すようにしてもらおうと」
未婚者にユーヴィ市に集まってもらって相手を探してもらうという、大々的なお見合いパーティーだ。作業員限定ではないけど。
「お見合いパーティーですか?」
「ええ、ロジオンさんに頼んで作業員と一緒に集めてくれもらった移民たちがいますが、女性が多いんですよね。これまで二か月ほど、この領地に慣れてもらうために他の町も回ってもらって、自分が何をしたいかを探してもらっていました」
「ああ、そう言えば、もうユーヴィ市に戻っていましたな」
「ええ、今は訓練学校で勉強している人が多いですね。それで、周りに男性が少なかったので結婚は諦めかけていた人が多かったようですが、やはり結婚願望はあるようなんですね。それがここにきて一つ問題になっていましてね」
「この町なら相手はあちこちにいると思いますが?」
「それがですね、いすぎるのが問題なんです」
六月末にやってきた移民たちの大部分は女性だった。そして既婚の女性はかなり少なく、多くが未婚だった。つまり、集落の中に未婚の男性がいなかったために男性慣れしていなくて、どのように接したらいいのかが分からないという相談を受けていたそうだ。
「なるほど。きっかけ作りのお見合いパーティーですか」
移民たちの健康チェックはこっそりと済ませてある。男の子が生まれないのは何か理由があるのではないかと考えたからだ。でも男女ともにステータス上は何も問題なかった。強いて言えば、数少ない男性たちは子供を作らなければいけないというプレッシャーが原因なのか、あるいは複数の女性を相手にしている人が多いからか、元気がない人が多かった。
これらを考えると、すべてが悪い方へ悪い方へと向かっていたのが分かる。それはそうだろう。男性は複数の妻を持たされ、男の子を作ることを期待され、それでもほとんど男の子が生まれず、次第に心が弱っていく。今後は無理をしなくてもいいと言ったら大泣きされた。
頼まれてやってきた人がほとんどで、もしかしたら最初のころはハーレム状態に浮かれていたかもしれないけど、しばらくしたらとんでもない場所に来てしまったと思った人がほとんどだっただろう。だから町へ逃げ帰った人が多かった。
少し作為的なものを感じたのでカローラに聞いたところ、彼女も同じように思ったようで、知り合いを通じて少し調べてくれるということだった。現在はその結果待ち。向こうも忙しい仕事の合間に調べてくれるようだから無茶は言わない。「今日中じゃなくてもいいから後でいいからやっておいて」と言われて後回しにしていたら、昼頃になって「どうして終わっていないの?」と言われる理不尽さは社会人なら一度は経験するだろう。
「ワシらはまず仕事、次に酒、それから結婚相手ですから、仕事が落ち着けば次は異性でしょうな。そういうイベントを開催してもらえるなら張り切ることは間違いないでしょう。それに最近では作業員もドワーフだけではなく、力の強い獣人や亜人も増えてきました。どうやら腕力を生かせる仕事ができるという噂が広まったんでしょうな。ミノタウロスが集団で移住してきました。ギルドの公用馬車が悲鳴を上げたそうですな」
ミノタウロスは頭に水牛のような角のある。手足も顔も人間と同じだけど、この国では亜人になっている。ケンタウロスは王都で見たことがあったけど、あの人たちは下半身が馬だった。ケンタウロスやハーピーも亜人となっている。うちでは種族の差に関係なく受け入れるようにしているから、徐々に工事現場で増えてきている。
早い話が、王都で働くドワーフが減り、そこを亜人と呼ばれる人たちが埋めていたけど、それもうちの街道工事の話を聞いてこちらにやってきた、という流れらしい。ミノタウロスは力があるし、ケンタウロスは足が速い。ハーピーは空が飛べる。僕に連絡して遠くの現場に連絡を頼むよりは、新しく来た彼らに頼む方が手っ取り早いとして重宝されているようだ。
「力持ちが増えると助かりますね。ではとりあえず、まずは相手ができた、あるいはできそうな作業員だけ、先にパダ町周辺の街道に石畳を敷く工事を始めてもらいます。これは年明けの予定でしたが、早くできるならその方がいいですからね」
「分かりました。では石材の一部をパダ町の方へ回すようにソルディ町の担当者に伝えておきます」
「お願いします。僕は北街道の方を回ってきます」
北街道の作業現場を回り、担当者に予定の変更を伝える。
「助かりました。どうしても無茶をする人がいますので」
「まあアピールしたいのは分かります。ところで、何をして怪我をするのが多かったのですか?」
「『あの魔法ノコギリよりも早く木が切り倒せる』と言って両手で斧を持って振り回したりとかです」
「子供がおかしなことで競い合うのと似ているのかな? 両手で字を書けば半分の時間で書き終わると考えるのと同じかも」
「仕事があって、好きなお酒が飲めて、異性が近くにいて、彼らにとっては好景気そのものみたいです。多少は浮ついているのでしょう。大怪我をしていないのが救いです」
開拓現場を担当しているギルド職員たちに頼んだのは二点。相手が見つかりそう、あるいはもう見つかった作業員を見極めてパダ町の方へ移動させること、まだ相手のいない作業員には街道工事開通後に領地を挙げてお見合いパーティーをするので今は無理をしないように伝えること。
◆ ◆ ◆
さて、お見合いパーティーはどういう形式でしたらいいかな? まあ基本は軽い食事とお酒、そして会話となると……合コン? 残念ながら僕はそのようなイベントに参加したことはない。
同じ課にいた先輩の女性は、「さすがですね、知りませんでした、すごいですね、センスがいいですね、そうなんですね、の『さしすせそ』さえ覚えておけばバッチリよ」と言って結婚退職した。それに関しては男性陣はかなり引いていたけど、みんな心当たりがあったそうだ。
それ以外で社会人時代に経験したパーティーは、忘年会とかを除けば、まあ新人歓迎会のようなものかな。一年目は普通に参加して、二年目からは後輩の面倒を見るためという名目で参加させられた。ただまあ、僕もそれほど話が得意なわけじゃなかったからね。それにこっちの世界のパーティーって、そもそもほとんど経験がない。きちんとした食事は何回かあったけど。
「私は管理者になってケネスと知り合うまで、まともに男性と話したことがありませんでしたので、参考にはならないと思います」
「一緒に食事をしたいのは先輩くらいでしたね。昔も合コンとかに誘われましたが興味なかったので。先輩に誘われたらお泊まりする覚悟はできていましたけど。こちらでも父が断っていたというのはありましたけど、私もできる限り避けていました」
「私は両親から領主主催のパーティーなどに行かされましたが、正直あのような場所は苦手で。兄もそうでしたけど、適当に食べて帰ってくるばかりでした」
「私の場合はそもそもパーティーとは無縁でしたねぇ。異空間の家で歓迎会をしていただいたのが、一番豪勢な食事だったでしょうか」
「私はそもそも自分に自信がありませんでしたし、管理者になる前は地味で声をかけられることもありませんでした。あ、でもご主人様、もちろん知らない男性に付いていったことはありませんよ? あの時まできれいな体のままでしたから」
「ワシには食事はそれほど重要ではなかったからのう。まあ食べたい時に食べ、飲みたい時に飲み、寝たい時に寝る。参考にはならんじゃろうな」
「お腹いっぱい食べられることはなかったですよ?」
「いつも飢える一歩手前」
「こっちに来る直前に~作られたばかりですからね~」
「うーん、向こうではかなり生活に困っていたわね。こっちに来て生活が楽になったのはマリアンがまとめて買ってくれてからね。昔から比べると今は天国ね」
言葉には出さないけど、どれも参考にならない。とりあえずエリーは参加経験があると。
「閣下、立食のパーティーなら王宮で参加した経験がありますが」
「え? ちょっと教えてくれる?」
ここでまさかの情報が。
「どういう形式とか、どういう挨拶をしたとか、そのあたりは覚えてる?」
「はい。直近のものとしましては、王都からユーヴィ市に来る際の壮行会ですね」
「わざわざ壮行会があったの?」
ユーヴィ市行きを頼んでOKが出たから来たって言ってたけど。
「はい。魔道具について学びたいと言った者はもっとたくさんいましたが、最終的にあの人数に絞られました」
「女性が多かったね」
「はい。最初は男性もいたのですが、そもそも魔道具職人は圧倒的に女性が多いので、選ばれてあのようになりました」
「それで?」
「宰相閣下は挨拶で私たちにこう言いました。『頑張って落としなさい』と」
「意味は分かるけど参考にはならなかった」
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