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第三章 第三部
卵を確保せよ
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「やっぱり卵がないとレパートリーが広がらないね。ただでさえ魚介類がないから余計にレパートリーが狭くなっているのに」
「それなら卵だけじゃなくて牛乳も欲しいですね。エリーさんとも話しましたけど、やっぱり子供は卵と牛乳を使った料理が好きですから。ミシェルちゃんもカリンちゃんもリーセちゃんも。牛じゃなくて山羊とかでもいいですけど。ニワトリや家畜を育てませんか?」
「近くで手に入らないないからそうするしかないね。飼育する場所は確保する必要があるかな」
「ただ、ニワトリや牛をずらっと一列に並べるのは、この世界には似合わない気がするんですけど、そこをどうしましょうか?」
「できるかぎり放し飼いでいいと思うよ」
マイカと料理教室の話をすると、やっぱり卵と牛乳がないとレパートリーが限られるという話になった。
ニワトリはこの世界にもいる。でも白い卵はこれ、褐色の卵はこれ、鶏肉はこれ、という風に品種を作り出しているわけじゃなく、例えば名古屋コーチンのように卵も鶏肉も使う品種がたくさんいる感じになっている。若いうちは卵を産ませ、産まなくなったらシメて肉にするのが一般的。品種改良なんて一般的じゃないし、地域地域によって飼っている品種が違うのが普通。
その他には蛇の卵も食べるし、魔獣の卵だって食べる。味に関しては蛇よりもニワトリの卵が美味しくらしい。魔獣の卵はニワトリの卵よりも美味しいものもあるそうだ。そう聞くと、ニワトリ以外は当たり外れが大きいようだ。
日本ではニワトリかウズラくらいしか食べなかったけど、海外に行くとアヒルやガチョウ、ダチョウやエミューなど、ニワトリよりも大きい卵を見かけることがあった。ダチョウの卵はまず大きさにびっくりして、それから硬さにびっくりする。人が乗っても割れないから。
牛もこの世界にいるし、水牛や山羊、羊、ロバなどからもミルクが得られる。ミルクはある程度は豆乳で代用できるからまだマシかな。煮立てると分離するから注意が必要だけど。
酪農をするならそれなりに広い場所が必要だから、それも考えないと。そう考えると鶏はまだスペース的にはマシかな。よし、とりあえずまずはニワトリからいこうか。
「チャボという鳥の卵を食べていましたよ?」
「卵は小さいけれど味が濃い」
「チャボ?」
「ニワトリに似ていますが、もっと小柄で足が短い鳥です。山にいましたよ?」
「いい値で売れた」
「なるほど」
キラは卵を売って食べ物を買っていたと。卵一個じゃお腹が膨れないだろうから、それなら商店に売って稼ぐのも一つの手段か。それなりにいい値段になるからね。
「私も山で卵を採ったことがありましたねぇ。何の卵かは分かりませんでしたが」
「それは食べたの? それとも売ったの?」
「売っていました。そのお金を活動費に回す方が効率がいいですから」
マノンも冒険中に山で採ることもあったと。
卵は町によっては売られていることもある。問題は日本のような養鶏場があるわけじゃないから生産量が一定しないこと。ニワトリは産んでも毎日一個だから、よほどの数を飼わないと売るほどの数が集まらない。野鳥は繁殖期には産むけど、それ以外はないからね。
養鶏場を作ろうと思えば作れなくはないけど、個人的には、ねえ。偽善だと言われるかもけど、無理にそこまで大量に生産しなくてもいいとは思う。ただ、もう少し手に入りやすくしたい。だからこれまでのやり方をもう少し大きくした養鶏場を作る。基本は放し飼いで卵は勝手に産ませてそれを集める。少し高いけどたまには奮発して使う食材くらいになればいいと思う。
◆ ◆ ◆
「できる限り色々と混ぜてください」
「分かりました。それにしても綺麗なニワトリですね」
「ホワイトレグホーンという品種ですね。このあたりにはいないんじゃないでしょうか。飼い方は同じで問題はないはずです」
まずは日本でお馴染みのホワイトレグホーン。略称白レグ。白い体に赤い鶏冠と肉垂のニワトリ。飼育を任せることになった人たちが真っ白な羽毛に驚いている。このあたりどころかこの世界にはいないと思うよ。飼育員さん、すみません。
なぜここにいるかと言うと、マジックバッグに入ってたから。おそらくマイカかエリーからカローラに伝わり、それでカローラの部下の誰かが気を利かせて入れてくれたと思うんだけど、大丈夫なのは分かっているけど怖いので生き物は入れないでください、と手紙を入れておいた。
わざわざ養鶏場を作るために町を拡張したわけじゃないけど、養鶏場を作る場所ができたのでちゃちゃっと用意した。管理と卸は農畜水産物ギルドにやってもらう。あまり負担をかけるのも問題があるけど、卵だけ別のギルドにするのもねえ。
エサとして使うのはトウモロコシ、米、小麦、大豆、ヒエ、アワ、キビなどの穀物類と、米ぬかや小麦のふすまなどを合わせた配合飼料。ニワトリがつつきやすいように、大きなものはある程度小さく砕いてある。これだけだとカルシウムが足りない気がするので、海から貝殻を集めて洗浄したら砕いてエサに混ぜる。カルシウムも貝殻以外から用意できればいいんだけどね。そうなると石灰石かな。精製してから食べやすい大きさの粒になるようにすればいいか。
それとは別に、養鶏場内にはあえていくつか雑草を植えている。ニワトリは雑草も食べる。土や砂利も食べる。土を食べるのは、エサからでは摂れない栄養素もあるからだとか。砂利を食べるのは、鳥には歯がないので、砂利を一緒に食べて砂嚢と呼ばれる筋肉でできた器官でエサをすり潰すためだとか。砂嚢って要するに砂肝のこと。
他には……有精卵と無精卵の判別器と、雄雌の判別機でも作っておこうか。なるべく有精卵は孵化させる方向で。
◆ ◆ ◆
もう一つ大事なことは、ニワトリ以外で食べられる卵を増やすこと。蛇を育てるのはできれば遠慮したいけど、ニワトリ以外の鳥を育てられたら面白いと思う。そのためには採取依頼に鳥を入れることにする。
「領主様が山に入った方が見つけるのは早くないですか?」
「早いか遅いかで言えば早いですけど、冒険者に仕事をね」
「ああ、そちらの心配でしたか。それならギルドからの依頼として鳥の捕獲依頼を出します」
「よろしくお願いします」
ギルドから何種類かの鳥の捕獲依頼を出してもらう。卵をよく産むと言われている鳥だ。鳥を捕まえる依頼はこれまでにはなかったと思う。卵についてはたまにあるみたいだし、冒険者が仕事のついでに偶然見つけることもある。こともあるという程度で、冒険者が積極的に卵だけを探すことは普通はない。
卵で得られるお金は一攫千金とはもちろん言えないけど、貴族や食通の人たち、あるいはちょっといい料理を出すお店などは好んで買うので、場合によっては銀貨くらいになる。だからその卵が町中で買えるようになれば、そういった小遣い稼ぎができなくなってしまう。僕も冒険者の一人として、冒険者の稼ぎを増やしたいとは思っても減らしたいとは思わない。だから代わりに鳥の捕獲依頼を出す。鳥を捕まえるのは大変だと思うけど、その分だけ依頼料は高めにしてある。
現在ユーヴィ男爵領で冒険者が一番こなしている仕事は商隊の護衛。街道を整備したり詰所を作ったりして危険性はかなり減ったけど、それでも野獣も魔獣も出る時は出る。パダ町と中央街道の間にある森は魔獣は出なくなったようで、たまに野獣が出るくらい。でも中央街道より北やヴァスタ町より南は油断できない。だから護衛は未だに必要。減ったけど盗賊もまだたまに出るからね。
ギルドで鳥の捕獲依頼は出したけど、僕は僕で鳥を捕まえに行く。ディキリ町の西の山にはあのあたりでチャボと呼ばれている鳥がいるそうだから、飼ってみて卵の味を確認したい。
◆ ◆ ◆
「あれかな?」
チャボを探しに来たけど別の鳥でも問題ないので、とりあえず[地図]で鳥を検索して探す。あまり人里に近いと迷惑がかかるかもしれないので、できる限り離れた場所を選ぶ。
まとまって引っかかったので気配を消してそのあたりに近付くと……日当たりのいい岩の上で固まって寝てるね。猿団子や猫団子は見たことがあるけど鶏団子はなかったなあ。鶏団子って書くとつくねみたい見える。今晩はつくねでも焼いてみようか。それは後でいいや。目の前にいるのは、白レグに少し似た白と赤のニワトリ。尻尾の先が茶色っぽいし、体が小さくて足が短いから違うのは分かる。知っているチャボだね。
そっと[魔力手]を使って、エサを用意してある仮の異空間に入れる。南の方にまとまった反応があったので移動すると川があり、池になっているところにはアヒルやガチョウっぽい鳥がいたので同じように異空間に入れておく。野生だからアヒルとガチョウじゃなくてカモと雁かな? でも色は白。範囲を広げて探してみたけど、さすがにダチョウやエミューサイズの鳥はいなかった。
「いましたか?」
「チャボと他にも何種類か鳥がいたから連れて来たよ」
異空間にはエサを入れておいたので問題は……ないね。必死にエサをつついている感じだ。
アヒルやガチョウのエサってニワトリのエサに少し手を加えたもので問題ないけど、放し飼いをするなら飼育場所には水場が必要になる。あまり長時間歩くと足を痛めるらしい。だから水に浮いているそうだ。
何もない異空間はちょっと寂しいので、家の方にあるサランたちの訓練施設と畑の間に種類ごとの飼育小屋や水場を作ってしばらく飼うことにした。
「逃げ出したりしたら教えてくれる?」
《了解であります》
エサはサランのセロリと同じように勝手に育つようにしたし、水も問題ない。基本的には飛ぶのが苦手な鳥ばかりだけど、逃げようと思えば逃げられるだろう。まあどこまで逃げても草原が広がっているだけなんだけど。
冒険者が鳥を捕まえてくれるかどうかは分からないけど、いずれは色々な鳥の卵が口に入るようになればいいね。卵だけね。肉は……どうだろう。そこまで大量に飼育するつもりもないから、食肉にするのは難しいかな。肉なら魔獣の肉があるし、鶏肉っぽいものならあの蛇でいいから。狩りに行くたびにお尻を狙われるのが問題だけど。
「それなら卵だけじゃなくて牛乳も欲しいですね。エリーさんとも話しましたけど、やっぱり子供は卵と牛乳を使った料理が好きですから。ミシェルちゃんもカリンちゃんもリーセちゃんも。牛じゃなくて山羊とかでもいいですけど。ニワトリや家畜を育てませんか?」
「近くで手に入らないないからそうするしかないね。飼育する場所は確保する必要があるかな」
「ただ、ニワトリや牛をずらっと一列に並べるのは、この世界には似合わない気がするんですけど、そこをどうしましょうか?」
「できるかぎり放し飼いでいいと思うよ」
マイカと料理教室の話をすると、やっぱり卵と牛乳がないとレパートリーが限られるという話になった。
ニワトリはこの世界にもいる。でも白い卵はこれ、褐色の卵はこれ、鶏肉はこれ、という風に品種を作り出しているわけじゃなく、例えば名古屋コーチンのように卵も鶏肉も使う品種がたくさんいる感じになっている。若いうちは卵を産ませ、産まなくなったらシメて肉にするのが一般的。品種改良なんて一般的じゃないし、地域地域によって飼っている品種が違うのが普通。
その他には蛇の卵も食べるし、魔獣の卵だって食べる。味に関しては蛇よりもニワトリの卵が美味しくらしい。魔獣の卵はニワトリの卵よりも美味しいものもあるそうだ。そう聞くと、ニワトリ以外は当たり外れが大きいようだ。
日本ではニワトリかウズラくらいしか食べなかったけど、海外に行くとアヒルやガチョウ、ダチョウやエミューなど、ニワトリよりも大きい卵を見かけることがあった。ダチョウの卵はまず大きさにびっくりして、それから硬さにびっくりする。人が乗っても割れないから。
牛もこの世界にいるし、水牛や山羊、羊、ロバなどからもミルクが得られる。ミルクはある程度は豆乳で代用できるからまだマシかな。煮立てると分離するから注意が必要だけど。
酪農をするならそれなりに広い場所が必要だから、それも考えないと。そう考えると鶏はまだスペース的にはマシかな。よし、とりあえずまずはニワトリからいこうか。
「チャボという鳥の卵を食べていましたよ?」
「卵は小さいけれど味が濃い」
「チャボ?」
「ニワトリに似ていますが、もっと小柄で足が短い鳥です。山にいましたよ?」
「いい値で売れた」
「なるほど」
キラは卵を売って食べ物を買っていたと。卵一個じゃお腹が膨れないだろうから、それなら商店に売って稼ぐのも一つの手段か。それなりにいい値段になるからね。
「私も山で卵を採ったことがありましたねぇ。何の卵かは分かりませんでしたが」
「それは食べたの? それとも売ったの?」
「売っていました。そのお金を活動費に回す方が効率がいいですから」
マノンも冒険中に山で採ることもあったと。
卵は町によっては売られていることもある。問題は日本のような養鶏場があるわけじゃないから生産量が一定しないこと。ニワトリは産んでも毎日一個だから、よほどの数を飼わないと売るほどの数が集まらない。野鳥は繁殖期には産むけど、それ以外はないからね。
養鶏場を作ろうと思えば作れなくはないけど、個人的には、ねえ。偽善だと言われるかもけど、無理にそこまで大量に生産しなくてもいいとは思う。ただ、もう少し手に入りやすくしたい。だからこれまでのやり方をもう少し大きくした養鶏場を作る。基本は放し飼いで卵は勝手に産ませてそれを集める。少し高いけどたまには奮発して使う食材くらいになればいいと思う。
◆ ◆ ◆
「できる限り色々と混ぜてください」
「分かりました。それにしても綺麗なニワトリですね」
「ホワイトレグホーンという品種ですね。このあたりにはいないんじゃないでしょうか。飼い方は同じで問題はないはずです」
まずは日本でお馴染みのホワイトレグホーン。略称白レグ。白い体に赤い鶏冠と肉垂のニワトリ。飼育を任せることになった人たちが真っ白な羽毛に驚いている。このあたりどころかこの世界にはいないと思うよ。飼育員さん、すみません。
なぜここにいるかと言うと、マジックバッグに入ってたから。おそらくマイカかエリーからカローラに伝わり、それでカローラの部下の誰かが気を利かせて入れてくれたと思うんだけど、大丈夫なのは分かっているけど怖いので生き物は入れないでください、と手紙を入れておいた。
わざわざ養鶏場を作るために町を拡張したわけじゃないけど、養鶏場を作る場所ができたのでちゃちゃっと用意した。管理と卸は農畜水産物ギルドにやってもらう。あまり負担をかけるのも問題があるけど、卵だけ別のギルドにするのもねえ。
エサとして使うのはトウモロコシ、米、小麦、大豆、ヒエ、アワ、キビなどの穀物類と、米ぬかや小麦のふすまなどを合わせた配合飼料。ニワトリがつつきやすいように、大きなものはある程度小さく砕いてある。これだけだとカルシウムが足りない気がするので、海から貝殻を集めて洗浄したら砕いてエサに混ぜる。カルシウムも貝殻以外から用意できればいいんだけどね。そうなると石灰石かな。精製してから食べやすい大きさの粒になるようにすればいいか。
それとは別に、養鶏場内にはあえていくつか雑草を植えている。ニワトリは雑草も食べる。土や砂利も食べる。土を食べるのは、エサからでは摂れない栄養素もあるからだとか。砂利を食べるのは、鳥には歯がないので、砂利を一緒に食べて砂嚢と呼ばれる筋肉でできた器官でエサをすり潰すためだとか。砂嚢って要するに砂肝のこと。
他には……有精卵と無精卵の判別器と、雄雌の判別機でも作っておこうか。なるべく有精卵は孵化させる方向で。
◆ ◆ ◆
もう一つ大事なことは、ニワトリ以外で食べられる卵を増やすこと。蛇を育てるのはできれば遠慮したいけど、ニワトリ以外の鳥を育てられたら面白いと思う。そのためには採取依頼に鳥を入れることにする。
「領主様が山に入った方が見つけるのは早くないですか?」
「早いか遅いかで言えば早いですけど、冒険者に仕事をね」
「ああ、そちらの心配でしたか。それならギルドからの依頼として鳥の捕獲依頼を出します」
「よろしくお願いします」
ギルドから何種類かの鳥の捕獲依頼を出してもらう。卵をよく産むと言われている鳥だ。鳥を捕まえる依頼はこれまでにはなかったと思う。卵についてはたまにあるみたいだし、冒険者が仕事のついでに偶然見つけることもある。こともあるという程度で、冒険者が積極的に卵だけを探すことは普通はない。
卵で得られるお金は一攫千金とはもちろん言えないけど、貴族や食通の人たち、あるいはちょっといい料理を出すお店などは好んで買うので、場合によっては銀貨くらいになる。だからその卵が町中で買えるようになれば、そういった小遣い稼ぎができなくなってしまう。僕も冒険者の一人として、冒険者の稼ぎを増やしたいとは思っても減らしたいとは思わない。だから代わりに鳥の捕獲依頼を出す。鳥を捕まえるのは大変だと思うけど、その分だけ依頼料は高めにしてある。
現在ユーヴィ男爵領で冒険者が一番こなしている仕事は商隊の護衛。街道を整備したり詰所を作ったりして危険性はかなり減ったけど、それでも野獣も魔獣も出る時は出る。パダ町と中央街道の間にある森は魔獣は出なくなったようで、たまに野獣が出るくらい。でも中央街道より北やヴァスタ町より南は油断できない。だから護衛は未だに必要。減ったけど盗賊もまだたまに出るからね。
ギルドで鳥の捕獲依頼は出したけど、僕は僕で鳥を捕まえに行く。ディキリ町の西の山にはあのあたりでチャボと呼ばれている鳥がいるそうだから、飼ってみて卵の味を確認したい。
◆ ◆ ◆
「あれかな?」
チャボを探しに来たけど別の鳥でも問題ないので、とりあえず[地図]で鳥を検索して探す。あまり人里に近いと迷惑がかかるかもしれないので、できる限り離れた場所を選ぶ。
まとまって引っかかったので気配を消してそのあたりに近付くと……日当たりのいい岩の上で固まって寝てるね。猿団子や猫団子は見たことがあるけど鶏団子はなかったなあ。鶏団子って書くとつくねみたい見える。今晩はつくねでも焼いてみようか。それは後でいいや。目の前にいるのは、白レグに少し似た白と赤のニワトリ。尻尾の先が茶色っぽいし、体が小さくて足が短いから違うのは分かる。知っているチャボだね。
そっと[魔力手]を使って、エサを用意してある仮の異空間に入れる。南の方にまとまった反応があったので移動すると川があり、池になっているところにはアヒルやガチョウっぽい鳥がいたので同じように異空間に入れておく。野生だからアヒルとガチョウじゃなくてカモと雁かな? でも色は白。範囲を広げて探してみたけど、さすがにダチョウやエミューサイズの鳥はいなかった。
「いましたか?」
「チャボと他にも何種類か鳥がいたから連れて来たよ」
異空間にはエサを入れておいたので問題は……ないね。必死にエサをつついている感じだ。
アヒルやガチョウのエサってニワトリのエサに少し手を加えたもので問題ないけど、放し飼いをするなら飼育場所には水場が必要になる。あまり長時間歩くと足を痛めるらしい。だから水に浮いているそうだ。
何もない異空間はちょっと寂しいので、家の方にあるサランたちの訓練施設と畑の間に種類ごとの飼育小屋や水場を作ってしばらく飼うことにした。
「逃げ出したりしたら教えてくれる?」
《了解であります》
エサはサランのセロリと同じように勝手に育つようにしたし、水も問題ない。基本的には飛ぶのが苦手な鳥ばかりだけど、逃げようと思えば逃げられるだろう。まあどこまで逃げても草原が広がっているだけなんだけど。
冒険者が鳥を捕まえてくれるかどうかは分からないけど、いずれは色々な鳥の卵が口に入るようになればいいね。卵だけね。肉は……どうだろう。そこまで大量に飼育するつもりもないから、食肉にするのは難しいかな。肉なら魔獣の肉があるし、鶏肉っぽいものならあの蛇でいいから。狩りに行くたびにお尻を狙われるのが問題だけど。
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