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第三章 第四部
多少の融通
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管理者の心得として、あまり世界に大きな影響を与えてはいけないというものがある。管理者はあくまで管理をする。不必要に発展させるのも問題になる場合がある。
そうは言っても問題ない範囲で多少は融通を利かせるものだろう。特に身内には。
「ではこれがマイカのものとペアになっています。こちらから入れれば向こうに届きます。危ないのでけっして無理に突っ込まないようにしてください……ってデボラさん、頭は入っても肩が通りませんよ」
「残念ですわ」
この人、言葉遣いはお嬢様っぽいのに、残念感が半端ない。
アンナさんに渡したのは小型の転移ドア。これまで作っていたドアは人が通れる大きさだったけど、手元にあるのは三〇センチ四方くらいのもの。ちょっとした荷物や手紙などを渡すのにちょうどいい。元になった転移ドアと同様に[転移]は使っていない。
そしてアンナさんが手に持ったドアに、横から顔を突っ込んでいるのがデボラさん。その顔はマイカの持つドアから出ている。マイカがちょっと嫌そうな顔をしているのは仕方ない。そもそも顔を突っ込まなくても向こう側が映るから、話をすることもできるからね。空間を繋いでいるから。
とりあえずこれを、アンナさんとマイカ、デボラさんとロシータさん、ロシータさんとマイカ、という三組分を作って、王都まで渡しに来ている。なぜ王都かと言うと、エリアスさんが陞爵することになったから。その式典に僕も参加することになっている。当のエリアスさんは僕の前で渋い顔をしているけどね。
「こんなめでたい時に貴様の顔を見せられるとは思わなかったが……くたばってなかったようだな」
「まあそろそろ怒りを収めましょうよ、お義父さん」
「誰がお義父さんだ‼」
「あなたのことで……しょっ!」
ガスッ!
「ぐあっ……」
アンナさんが貫手……ではなく肘打ちを入れる。うん、さすがに式典前だから血まみれになるのは問題だからね。
「あなたもいい加減にしなさい。マイカだって来年の春には母親になるのに、あなたがそんなことでどうするのですか?」
「つーーーっ。あーくそっ」
不承不承という顔だけど、エリアスさんが拳を収めた。
「いいか貴様、俺に倒される前に勝手に死ぬなよ! それにアンナとデボラとテスは奪わせんぞ!」
「私たちは戦利品でしたの?」
「ちょっと面白そうだけど。将来性もありそうだし」
エリアスさんの声にデボラさんとテスさんが反応する。いや、人妻はいりませんよ。
「はいはい、あなたはさっさと準備に向かいなさい。また肋骨を折り抜きますよ。今度は何本?」
「あーもう、分かった分かった。じゃあ後でな」
折り抜く?
エリアスさんはノッシノッシと王宮の奥へ向かった。着替えをしたり式典の最後の打ち合わせをしたりするんだろう。
「ケネスさん、ごめんなさいね。あの人はもう本当に意固地になって」
「あれは意固地なんですか?」
「最初の頃はあなたを叩きのめす気満々だったようだけど、あなたと戦ったら負けると分かってしまったから、ああやって吠えるしかできなくなって。あれでも振り上げた拳を下ろす場所を探しているのよ」
「実害はないのでかまいませんよ。それだけマイカのことがショックだったということでしょう」
アンナさんが頭を下げるけど、まあ毎度のことでもあるからね。それは今さら気にはしていない。できれば祝福して欲しいとは思うけど。
「でも父は姉様にはそれほど執着してませんよね」
「私の場合は結局相手が王族だから、結婚してしまえば強くは出られないのよ。最初は揉めたけど、結局はあの時だけだったわ」
立ち去ったエリアスさんのことを話していると、「ああ、いたいた」と誰かを探していたような声が聞こえてきた。振り返るとそこにいたのは犬人の男性だから、まあ関係者だろうね。僕よりも下かな?
「あら、ラディム。もう仕事は終わりましたの?」
「はい、母上。一通り終わったらこちらに出るようにと上司から言われました」
ああ、デボラさんの息子さんか。エリアスさんの次男で、王宮で働いているという。スーレ子爵のところもそうだけど、若いうちは社会勉強として王宮勤めをさせることが多いんだろうか。
僕は殿下の離宮には顔を出すけど、王宮の方には授爵の時と脱走の時くらいしか来ていないので、まだ息子さんとは面識がなかった。
「ケネスさん、これが息子のラディムですわ。父親に似ず、至って大人しい子ですのよ」
「初めまして、ラディムです。父がいつも迷惑をかけてすみません。おそらく多少は母も」
「こちらこそ初めまして、ケネスです。でもそれはラディムさんが謝ることでもないでしょう」
真面目で腰が低い人だな。エリアスさんとデボラさんの子供とはとても思えない。むしろアンナさんに似ているかも。あるいはスーレ子爵。
「先輩が何を考えているか分かりますよ」
「マイカもそう思ってるわけでしょ?」
ラディムさんは目の前で苦笑いしている。よく言われるんだろう。
「父にも母にも似ていないとはよく言われます。初めて聞いた人には間違いなく驚かれます。細かな種族の違いが出ているそうですが」
「やはり髪の色の違いとかで種族が分かれるのですか?」
「我々は犬ではありませんが、それでも細かな種族があるらしいです。私の場合は母の父に似ているそうです」
「デボラさんのお父さんですか」
デボラさんは残念お嬢様系。その父親が大人しく真面目な性格。デボラさんは母親似?
「ケネスさんケネスさん、そんなところで男同士で話をしていないで、こっちで一緒にどう?」
「いえ、何か危険そうなので遠慮します」
テスさんが近寄って声をかけてくるけど、この人は何となく危険な気がする。気安いのは気安いけど。
「それならこっちで話す。私が生まれ育った町は獣人、特に犬人が多くてね、勝った者は負けた者からすべて奪うという土地柄」
「その言葉だけで想像できますよ。エリアスさんに挑んだんでしょ?」
「よく分かったわね。勝てると思って挑んだんだけど負けちゃって、それであの人の妻になったんだけどね。今の生活も悪くはないけど少し物足りなくて。あの人を倒してくれない?」
倒してどうするの。エリアスさんと戦いたいとは思わないよ。負けるとは思わないけど。
「嫌ですよ。倒したら何かあるんですか?」
「総取りだから、私はケネスさんの妻になる。ついでにデボラも付けるわよどう?」
「勝手に巻き込まないでいただけます?」
テスさんとデボラさんが言い合いを始める。冗談で言っているのは分かるし、二人の仲が良いのも分かるけど、僕を巻き込むのは勘弁願いたい。
「テスさんって、初めて会ったけどざっくりしてるね」
「享楽的というわけではないですけど、楽しく生きたいという人ですね。昔からああでした」
「ビックリするほど三者三様だね」
「うちのみんなもよく似た感じですけどね」
リゼッタ、カロリッタ、エリー、マイカ、マリアン、セラ、キラ、カローラ、マノン、ジェナ、フロレスタ。エルケも?
「そう言われると否定できないか」
◆ ◆ ◆
僕の授爵の時とは違ってきちんと予定通りに進んでいる。あのいつもピリピリしたエリアスさんも、さすがに陛下の前では大人しい。
そのまま滞りなく式典は進み、何のトラブルもなく終わった。いや、それが一番なんだけど、これだけ色々起きる人生だと、常に何かに巻き込まれるような感じになって、何もないと拍子抜けすると言うか物足りないと言うか。トラブル慣れしてきたかな?
そんなことを考えながら広間を出ると、少し進んだところで殿下から声をかけられた。
「ケネス殿、この後少し話をしてもいいか?」
トラブル慣れなんて言ったから、トラブルが寄って来たんだろうか。殿下自身のことじゃなくて話の内容ね。
「ええ、問題ありません。マイカは先に戻っておいてくれる?」
「分かりました」
マイカたちには殿下と話をすることを伝えて、先に下がってもらうことにした。僕は王宮内の殿下の部屋にお邪魔する。
「わざわざすまない。あまり王宮内では広げられたくない話でな」
「それを聞くだけで身構えてしまうのですが」
「いや、悪い話ではないが、今の段階ではあまり広まるのは好ましくなくてな。それで、いきなりだが、ケネス殿は領地を広げるつもりはないか?」
おもむろにそんなことを聞かれた。まあ森は切り拓けるけど、南か北かなあ。大森林はちょっとね。それならわざわざ聞かないかな?
「広げるって、もしかして大森林の方にですか?」
「いや、ここだけの話だが、また直轄領のいくつかの町で領主が変わりそうだ。それで、飛び地になるが一つどうだろうかと。ケネス殿なら[転移]で移動できるから距離は問題ないだろうと思って、聞いておこうと」
理屈ではそうだけど、そこまで簡単ではないと思うよ。
「それはさすがに無理でしょう。今でも手一杯ですから」
「そうか。最終的にはどれだけが入れ替わることになるのか分からないが、半数近くまで行きそうだということだ」
「ちょっと多すぎますね。それだけ結託して利益を上げていたということですよね?」
「ああ、陛下はこの際できる限り掃除をするらしい。まだまだラクヴィ伯爵……いや、侯爵の出番があるだろう。とりあえず、人格的にも能力的にも領主ができる人材が、とりあえず最低三人は必要そうだ」
全体像が見えている人がどれだけいるか分からないけど、元タルティ公爵と元パルツィ子爵を中心に、大規模な不正が行われていたことは分かっている。不正な蓄財は何百年も前から続いていて、一部は特権と結びついていた。でも盗賊と結託して商人を襲わせるなどのやり方はそれを超えているだろう。
追加情報として殿下から聞いたのは、どうも二重都市群の中だけじゃなくて、もう少し東の方でも色々とありそうだという話。経済的には東の方が活発だからね。どうしても西は経済的には弱いから。
「ケネス殿なら、形だけでも上手くやれるとは思うが」
「私はどちらかと言えば田舎の方が落ち着きますので。今は領地をお隣に負けないくらい大きくするので精一杯です」
そこまで駆け引きは得意じゃないから。
そうは言っても問題ない範囲で多少は融通を利かせるものだろう。特に身内には。
「ではこれがマイカのものとペアになっています。こちらから入れれば向こうに届きます。危ないのでけっして無理に突っ込まないようにしてください……ってデボラさん、頭は入っても肩が通りませんよ」
「残念ですわ」
この人、言葉遣いはお嬢様っぽいのに、残念感が半端ない。
アンナさんに渡したのは小型の転移ドア。これまで作っていたドアは人が通れる大きさだったけど、手元にあるのは三〇センチ四方くらいのもの。ちょっとした荷物や手紙などを渡すのにちょうどいい。元になった転移ドアと同様に[転移]は使っていない。
そしてアンナさんが手に持ったドアに、横から顔を突っ込んでいるのがデボラさん。その顔はマイカの持つドアから出ている。マイカがちょっと嫌そうな顔をしているのは仕方ない。そもそも顔を突っ込まなくても向こう側が映るから、話をすることもできるからね。空間を繋いでいるから。
とりあえずこれを、アンナさんとマイカ、デボラさんとロシータさん、ロシータさんとマイカ、という三組分を作って、王都まで渡しに来ている。なぜ王都かと言うと、エリアスさんが陞爵することになったから。その式典に僕も参加することになっている。当のエリアスさんは僕の前で渋い顔をしているけどね。
「こんなめでたい時に貴様の顔を見せられるとは思わなかったが……くたばってなかったようだな」
「まあそろそろ怒りを収めましょうよ、お義父さん」
「誰がお義父さんだ‼」
「あなたのことで……しょっ!」
ガスッ!
「ぐあっ……」
アンナさんが貫手……ではなく肘打ちを入れる。うん、さすがに式典前だから血まみれになるのは問題だからね。
「あなたもいい加減にしなさい。マイカだって来年の春には母親になるのに、あなたがそんなことでどうするのですか?」
「つーーーっ。あーくそっ」
不承不承という顔だけど、エリアスさんが拳を収めた。
「いいか貴様、俺に倒される前に勝手に死ぬなよ! それにアンナとデボラとテスは奪わせんぞ!」
「私たちは戦利品でしたの?」
「ちょっと面白そうだけど。将来性もありそうだし」
エリアスさんの声にデボラさんとテスさんが反応する。いや、人妻はいりませんよ。
「はいはい、あなたはさっさと準備に向かいなさい。また肋骨を折り抜きますよ。今度は何本?」
「あーもう、分かった分かった。じゃあ後でな」
折り抜く?
エリアスさんはノッシノッシと王宮の奥へ向かった。着替えをしたり式典の最後の打ち合わせをしたりするんだろう。
「ケネスさん、ごめんなさいね。あの人はもう本当に意固地になって」
「あれは意固地なんですか?」
「最初の頃はあなたを叩きのめす気満々だったようだけど、あなたと戦ったら負けると分かってしまったから、ああやって吠えるしかできなくなって。あれでも振り上げた拳を下ろす場所を探しているのよ」
「実害はないのでかまいませんよ。それだけマイカのことがショックだったということでしょう」
アンナさんが頭を下げるけど、まあ毎度のことでもあるからね。それは今さら気にはしていない。できれば祝福して欲しいとは思うけど。
「でも父は姉様にはそれほど執着してませんよね」
「私の場合は結局相手が王族だから、結婚してしまえば強くは出られないのよ。最初は揉めたけど、結局はあの時だけだったわ」
立ち去ったエリアスさんのことを話していると、「ああ、いたいた」と誰かを探していたような声が聞こえてきた。振り返るとそこにいたのは犬人の男性だから、まあ関係者だろうね。僕よりも下かな?
「あら、ラディム。もう仕事は終わりましたの?」
「はい、母上。一通り終わったらこちらに出るようにと上司から言われました」
ああ、デボラさんの息子さんか。エリアスさんの次男で、王宮で働いているという。スーレ子爵のところもそうだけど、若いうちは社会勉強として王宮勤めをさせることが多いんだろうか。
僕は殿下の離宮には顔を出すけど、王宮の方には授爵の時と脱走の時くらいしか来ていないので、まだ息子さんとは面識がなかった。
「ケネスさん、これが息子のラディムですわ。父親に似ず、至って大人しい子ですのよ」
「初めまして、ラディムです。父がいつも迷惑をかけてすみません。おそらく多少は母も」
「こちらこそ初めまして、ケネスです。でもそれはラディムさんが謝ることでもないでしょう」
真面目で腰が低い人だな。エリアスさんとデボラさんの子供とはとても思えない。むしろアンナさんに似ているかも。あるいはスーレ子爵。
「先輩が何を考えているか分かりますよ」
「マイカもそう思ってるわけでしょ?」
ラディムさんは目の前で苦笑いしている。よく言われるんだろう。
「父にも母にも似ていないとはよく言われます。初めて聞いた人には間違いなく驚かれます。細かな種族の違いが出ているそうですが」
「やはり髪の色の違いとかで種族が分かれるのですか?」
「我々は犬ではありませんが、それでも細かな種族があるらしいです。私の場合は母の父に似ているそうです」
「デボラさんのお父さんですか」
デボラさんは残念お嬢様系。その父親が大人しく真面目な性格。デボラさんは母親似?
「ケネスさんケネスさん、そんなところで男同士で話をしていないで、こっちで一緒にどう?」
「いえ、何か危険そうなので遠慮します」
テスさんが近寄って声をかけてくるけど、この人は何となく危険な気がする。気安いのは気安いけど。
「それならこっちで話す。私が生まれ育った町は獣人、特に犬人が多くてね、勝った者は負けた者からすべて奪うという土地柄」
「その言葉だけで想像できますよ。エリアスさんに挑んだんでしょ?」
「よく分かったわね。勝てると思って挑んだんだけど負けちゃって、それであの人の妻になったんだけどね。今の生活も悪くはないけど少し物足りなくて。あの人を倒してくれない?」
倒してどうするの。エリアスさんと戦いたいとは思わないよ。負けるとは思わないけど。
「嫌ですよ。倒したら何かあるんですか?」
「総取りだから、私はケネスさんの妻になる。ついでにデボラも付けるわよどう?」
「勝手に巻き込まないでいただけます?」
テスさんとデボラさんが言い合いを始める。冗談で言っているのは分かるし、二人の仲が良いのも分かるけど、僕を巻き込むのは勘弁願いたい。
「テスさんって、初めて会ったけどざっくりしてるね」
「享楽的というわけではないですけど、楽しく生きたいという人ですね。昔からああでした」
「ビックリするほど三者三様だね」
「うちのみんなもよく似た感じですけどね」
リゼッタ、カロリッタ、エリー、マイカ、マリアン、セラ、キラ、カローラ、マノン、ジェナ、フロレスタ。エルケも?
「そう言われると否定できないか」
◆ ◆ ◆
僕の授爵の時とは違ってきちんと予定通りに進んでいる。あのいつもピリピリしたエリアスさんも、さすがに陛下の前では大人しい。
そのまま滞りなく式典は進み、何のトラブルもなく終わった。いや、それが一番なんだけど、これだけ色々起きる人生だと、常に何かに巻き込まれるような感じになって、何もないと拍子抜けすると言うか物足りないと言うか。トラブル慣れしてきたかな?
そんなことを考えながら広間を出ると、少し進んだところで殿下から声をかけられた。
「ケネス殿、この後少し話をしてもいいか?」
トラブル慣れなんて言ったから、トラブルが寄って来たんだろうか。殿下自身のことじゃなくて話の内容ね。
「ええ、問題ありません。マイカは先に戻っておいてくれる?」
「分かりました」
マイカたちには殿下と話をすることを伝えて、先に下がってもらうことにした。僕は王宮内の殿下の部屋にお邪魔する。
「わざわざすまない。あまり王宮内では広げられたくない話でな」
「それを聞くだけで身構えてしまうのですが」
「いや、悪い話ではないが、今の段階ではあまり広まるのは好ましくなくてな。それで、いきなりだが、ケネス殿は領地を広げるつもりはないか?」
おもむろにそんなことを聞かれた。まあ森は切り拓けるけど、南か北かなあ。大森林はちょっとね。それならわざわざ聞かないかな?
「広げるって、もしかして大森林の方にですか?」
「いや、ここだけの話だが、また直轄領のいくつかの町で領主が変わりそうだ。それで、飛び地になるが一つどうだろうかと。ケネス殿なら[転移]で移動できるから距離は問題ないだろうと思って、聞いておこうと」
理屈ではそうだけど、そこまで簡単ではないと思うよ。
「それはさすがに無理でしょう。今でも手一杯ですから」
「そうか。最終的にはどれだけが入れ替わることになるのか分からないが、半数近くまで行きそうだということだ」
「ちょっと多すぎますね。それだけ結託して利益を上げていたということですよね?」
「ああ、陛下はこの際できる限り掃除をするらしい。まだまだラクヴィ伯爵……いや、侯爵の出番があるだろう。とりあえず、人格的にも能力的にも領主ができる人材が、とりあえず最低三人は必要そうだ」
全体像が見えている人がどれだけいるか分からないけど、元タルティ公爵と元パルツィ子爵を中心に、大規模な不正が行われていたことは分かっている。不正な蓄財は何百年も前から続いていて、一部は特権と結びついていた。でも盗賊と結託して商人を襲わせるなどのやり方はそれを超えているだろう。
追加情報として殿下から聞いたのは、どうも二重都市群の中だけじゃなくて、もう少し東の方でも色々とありそうだという話。経済的には東の方が活発だからね。どうしても西は経済的には弱いから。
「ケネス殿なら、形だけでも上手くやれるとは思うが」
「私はどちらかと言えば田舎の方が落ち着きますので。今は領地をお隣に負けないくらい大きくするので精一杯です」
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