新米エルフとぶらり旅

椎井瑛弥

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余談

座談会(続・種族編)

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 この話はストーリーの進行とはまったく関係ありません。

 ただ単にメタな視点で設定や裏話を座談会のようにダラダラ続けるという内容です。

 ほぼ登場人物たちの会話で成り立っています。

 それでもよろしければどうぞ。

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「また『続』ですか。本当に第四章は大丈夫なのかが気になります。ああ、お茶とお茶菓子はそちらにありますので、欲しい方はどうぞ」
「はーい」
「では閣下、『人』以外の種族についてお願いします」

「まずはリゼッタ。この世界にはいない種族で、デュオやデュアルと呼ばれている、二つの種族を切り替えることのできる種族。リゼッタの場合は人間とリスのデュオということになる」
「デュオはこの世界には存在しませんので、普段は人間として活動していることになっています。妊娠中はリスになれませんでした」
「ちなみにリゼッタの人間の姿は、すごくリスっぽい見た目の小柄な委員長。焦茶の髪に薄茶のメッシュが入った髪をして、大きいキリッとした目をしている」
「領主夫人になってからは委員長という設定が役に立った気がします」
「屋敷を取り仕切っているからね」

「そしてもう一人はマリアン。そもそも人の姿は仮の姿だけど、山に住んでいた古代竜ということになっている」
「結局竜の姿に戻ったのは、お前様の妻になる前だけじゃったな。ところで、古代竜は結局どのような竜なのじゃ?」
「竜の中でも始祖に相当するような、いつの間にかこの惑星にいた竜ということで、属性はないんだって。ちなみに鱗は遠目には黒曜石っぽく見えるけど、薄く伸ばすとほとんど透明になる」
「ふむ。そう言えばワシは自分のステータスは見えぬと言ったと思うが、どうして自分の種族が分かったのじゃ?」
「ステータスが『よう見えぬ』と言ったから、名前とか種族とか、見える部分はあった、となっているそうだよ」
「こじつけじゃな」
「こじつけがなかったらこの話は成り立たないよ。縛りプレイが好きなわけじゃないけど、中途半端に設定を固めてやっているから、穴を探すのが大変なんだって」
「無駄な努力をしておるのう」

「それでは次は亜人と呼ばれる人たちです。亜人はこの国では『人』と呼ばれる中には入りませんが、閣下は普通に『人』として扱っていますので、ユーヴィ男爵領では扱いは『人』たちと変わりません。国によっては『人』だとされることもあります。ユーヴィ男爵領では街道などの工事現場で働いていることが多いですが、主要キャラには入っていません。では、まずはミノタウロスをお願いします」
「ミノタウロスは人間よりも頭一つくらい大きい。そしてこめかみの上あたりから水牛の角が生えている。オリックス・バファローズのマスコットのバファローブルとバファローベルを想像すれば分かりやすい。角はもっと長くて、岡本太郎がデザインした近鉄バファローズのロゴに近いかな」
「二メートル近い身長に角ですので、建物の改修がなかなか大変だったそうです」
「力があるから肉体労働が得意。でも建物の中での仕事は難しい場合もある。だからなかなか仕事がなかったらしい。結局は肉体労働の仕事が多い場所に働きに来ていて、そこからうちに引っ越したみたいだね。ちなみにミノタウロスはこの国では亜人とされているけど、人か亜人かの分け方に従えば、本来は人になる。手足も顔も人間と同じだからね。だから人とされている国もある」

「ケンタウロスをお願いします」
「ケンタウロスは馬の下半身に人の腰から上が付いているけど、馬の部分も体の一部だから、そこまで含めて服を着せることにした」
「こだわりですか?」
「こだわりと言うほどでもないけど、ケンタウロスだけ下半身を出してもいいっておかしくない?」
「言われればそうかもしれませんが……」
「彼らは服を着るのが普通だった、という設定だね」
「ところで、尻尾はどのようにしてスカート部分から出すのでしょうか?」
「壁のところにフックのような道具を付けて、それを使って上手に出すらしい」

「ではハーピーをお願いします」
「ハーピーは、この作品中では腕は鳥の羽、膝より少し下から鳥の足、卵ではなく子供を産む、そんな設定だったかな」
「普通に食事ができますね」
「鳥の羽と同じで、ちょうど曲がる部分に退化した指が爪のような骨になっているから、そこに専用のアタッチメントを付ければフォークとスプーンは使える。でもナイフは上手く使えない。引くのが苦手だから」
「寝相も色々ですね」
「鳥だって色々な寝相をするからね」

「そしてもう一つ、ユーヴィ男爵領には来ていませんが、ファンタジー作品の常連ラミアもいます」
「ラミアは女性の上半身と蛇の下半身を持つ、半人半獣の種族。だから分類としてはケンタウロスやハーピーと同じになる」
「どこからが蛇なのでしょうか?」
「イソベル・リリアン・グローグというイギリスの女性画家が一八九〇年頃に描いた『鬼女のキス』という絵があって、それを見ると太ももあたり、だから足が蛇になっている感じだね」
「鬼女……」
「英語では『The Kiss of the Enchantress』という名前になっているから、魔女とか魅力的な女性という意味だね」
「やはりこの世界では服は着ていますか?」
「もちろん、お尻が隠れるくらいの服を着てるよ。その下には腹巻きのような下着を付ける。そもそもラミアも卵生じゃないから」
「ケンタウロスと同じ理由でしたか」

「他にもこの世界には色々な種族がいるけど、交流がなくても生活するだけなら問題がないくらいに広い世界だから出会うことは少ないだろうけど、そこかで出て来るかもしれないね」



「それではまたここで質疑応答の時間です。何か質問のある方は——はい、キラさん」
「この国にはミノは多い?」
「そうやって略さない。モツっぽいから。ええっと、この国にはあまり多くはないけどいることはいる。元々は国の外から来たらしくて、今は王都を中心に生活している、ということらしい。牧場や農場、あるいは開拓現場などの力仕事で重宝されているらしい。一部はユーヴィ市に引っ越してきたけどね」
「迫害とか受けてるですか?」
「それはないよ。ただ、体格が違うから生活がしにくいということは多いらしい。だから仕事としては大都市周辺で、主に屋外での肉体労働が多いみたいだね」

「他には……はい、エリーさん」
「亜人の方たちの寿命や成長速度などはどうなっていますか?」
「そのあたりは人間とそれほど違わないね。エルフ、ドワーフ、妖精の寿命が長いのは、彼らの先祖が元々は精霊だったから。精霊は簡単に言えば超自然的な存在。それが地上世界で人の姿で定着したのがエルフ、ドワーフ、妖精。木の精霊ドライアドはこの話の中で半分ほど実体化しかけた精霊というポジションかな。だからまだ寿命という概念がない」
「はい。私たちは種族として過渡期にあるようで、もう精霊界に戻ることはできません。寿命で死ぬことはありませんので、この地上でのんびり過ごしている状態です」
「何をしてたの?」
「まあ、ぼーっと日向ぼっこなどを」

「ケネス、種族でハーフがいなかったのには、何か理由でもあるのですか?」
「ファンタジー物を読んでいる時に、ハーフエルフだけ存在しているのが不思議だったらしいよ。それに、仮に犬人と人間との間に子供ができたとすれば、特徴がどうなるのかとか、理屈で考えて自分でも分からなくなったらしい。耳が小さくなるのか、それとも耳の位置が人間との間を取って少し下がるのかとか、細かいことを考え始めたら書けなくなるから、それなら血を持っているどれかの種族になるってことにしたらしい」
「なるほど、八分の一が妖精で残りが人間なら、特徴としてはどうすればいいのか、ということですか。それではやはりクリスは特別ですか?」
「僕が絡むと種族に『?』が付くらしいけど、そうなるとこの世界のことわりから外れてハーフも生まれる、ということらしい。だからクリスの子供も『?』になるかも」
「では今後は種族が増えることになりますね」
「その可能性はあるかもしれないね。『?』が付くのは僕だけじゃなく、カローラたちも知らない世界から来た人には『?』が付いているらしいから、知られていないだけで実際にはそれなりにいるらしい」
「一般的にはステータスを見ることができないのも関係していますね」
「まあね。常に他人と比較するのも疲れるからね」
「では、エルフの耳がそれほど長くないのは、ハーフエルフという存在を作らないためだったのですか?」
「いや、あまり長いと、肩に乗ったリゼッタが弾き飛ばされる危険があるからから、らしい」
「ケネスと私はセットですからね」
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